金魚と淡水魚の飼育
35話
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水換え人足&兵学校跡地

水カビはもう一カ月も継続して発生している。
換水してやるとすぐに元気になるのだけれど…


 いや、6月は大変だった。だった、といってもまだ続いているのであるが…。

 60cm水槽「海軍兵学校」は、5月の後半に発生した水カビでオヤジとオジサンを亡くしてから、水槽を大掃除し、パワーフィルター(フルーバル103)を洗浄し、大磯砂も洗ったのち、水草牧場として生体を入れずに回していた。なにせウチの金魚どもときたら、どんどん大きくなり食欲も頗る旺盛で、すぐに水草を坊主にしてしまう。オカヤドカリのガジュマル同様、水草も時々こちらで養生させ再生させれば、懐の痛みも軽くなると踏んでのことである。とりあえずそうしておいて、この空いた水槽を今後どう使用するかと考えていたのである。

 ひとつには、片付けてしまって世話の負担を軽くする手がある。これ、なんとも魅力的なのだが、いかんせんわが家に空き60cm水槽を保管しておくスペースなどない。またこれは家人の思うツボ。あっという間に水槽跡地は雑多なモノで埋め尽くされてしまうのは明白である。一旦撤退してしまえば同スペースに再びの設営は困難なのである。ふたつ目は、このまま水草牧場にしておき、金魚の巨大化により、もはや悲惨な魚口密度と化している本水槽金魚の分家・疎開先にする手。三つ目は、海水水槽にして、本格的にイソギンや海水魚の飼育スペースにするという、ますます自分を窮地に追い込みそうな魔の選択肢があった。

 他にもオカヤド舎を拡張化し、個体数を増やすという手がある。海水はやってみたいけれど、今の小さなデスクボーイでさえ、塩だれや比重・温度管理が大変なのだ。人工海水粉末も60cm水槽となると、交換時の出費を積算すると恐怖である。それに、そんなことにウツツを抜かしていられるほど、今のわたしを取り巻く経済環境は明るく無いのである。ま、無難なところを考えると、しばらくは金魚の予備タンクにしておくのが妥当なところであろう。

 てなことをぼんやり考えていたら、6月の声を聞いた途端、本水槽にも水カビが急激発生した。どうやらメンテ道具などを通して兵学校から伝染したようだ。ある朝、餌を与えようと覗いてみると、一夜のことなのに酷い状態になっていた。ジャンボの右目は真っ白に濁っているうえ、カビの塊が付着している。ハンサムは頭部が泥かぶり状態。カタメ、レフトは背ビレ尾ビレが裂け、ボロボロである。そのほかの金魚たちも、胸ビレや腹にカビが付着している。三代目のトメさえも。

 こりゃいかん! なにしろオヤジとオジサンを失った後だけに、なにはともあれ手早く処置を施した。すぐに3分の2換水し、ヒータを再び引っ張りだしてきて水温30℃に設定。真菌類は28℃あたりで死ぬとあるのだけれど、経験からいえば、ウチではそんなもんじゃどんどん増える。だいたい発生した時の水温は27℃以上あったのだ。そうした状態で一日様子をみたが、症状が変化しないので、翌日再度2分の1換水のうえ「フレッシュリーフ」を投入した。

 しかし次の日になっても症状は悪化の一途をたどり、金魚たちはさらに危険な状態に瀕したので、また換水し、今度は水草を疎開させて、薬剤を手持ちの「ニューグリーンF」に変えた。本当は「グリーンF」もしくは「グリーンFゴールド」が望ましいのだけれど、買うとなるといい値がする。恥ずかしながら今は購入する資金がシンドイ。「ニューグリーンF」が効かなかった場合に備えて、とりあえず薬より安い「塩」を購入に走った。ちょうどわが家の料理用食塩も欠乏中とのことで、普通の食塩なら100円で買えるところを、泣く泣く張り込んで300円の「伯方の塩」にしといた。サカナのおこぼれを人間が戴くわけである。

 薬浴は「数日続けたのち再び換水して再投入せよ」とあるのだが、薬浴中もミズカビ症状は進む一方。まあ、今までの経験から言えば、ウチの場合は水換えが1番なのであった。このまま薬効を期待して数日も換水を待っていれば十中八九死んでしまうので、薬浴を中止、金魚が弱っているので「伯方の塩」は最後の手段に取っておき、肩コリには厳しいが怒濤の水換えをする決心をした。それから一週間は一日おきの半量換水。やっぱりウチは薬よりこれである。金魚についていたカビはみるみる消滅し、濁り目も澄んできた。ちょっと治り始めたと思ったら、ウチの金魚ども、またもや即、餌ねだりである。しかしここは「アカン、絶食」と一括する。

 次の一週間も様子を見ていると、換水後二日経つとカビの症状が出始めるので、この週は中二日のローテーションで水換えした。三週目も中三日。ほぼひと月経過した今でも、換水後四日でカビ臭がしだすので、週二回の水換えが続いている。毎回バケツ10往復だから、筋肉は鍛えられるのだけれど、肩コリはますますひどくなる。本来は水槽と底砂とフィルターの完全殺菌・洗浄が必要なのだが、それはムリなのである。20cmの金魚10匹を一時疎開させられるのは、もはやバスタブしかない。これでは「母屋とられて銭湯通い」になってしまう。おまけにこの75cm/120リットル水槽、わたしは空の状態でもひとりで持ち上げることが出来ないのである。重いこともあるのだが、腰がやばくて。

 賢明な読者のみなさんは、すでにお気づきだろう。何故、ちょうど空いている60cm水槽に金魚を一時疎開させないのかと。そうなのであるが、実は、愚息がビンで飼っていたアカヒレと新たにクロメダカ、ヤマトヌマエビなどを入れてしまっていたのである。わたしは元来金魚など飼いたくもなかったのであるが、息子の金魚すくいからこんな大袈裟な羽目になってしまった。本当はどうせ飼うのなら鑑賞魚ではなく川魚を飼育してみたかったのである。生体のいない水草牧場を眺めていたら、その欲望がムズムズと沸き上がり、とうとう買ってきて入れてしまっていたのであった。従って、大飯喰らい金魚を疎開させると、アッという間にメダカたちは金魚の餌と化してしまうのであった。

 というわけで、本水槽は6月が終わろうという今も、週2回の換水が欠かせない。菌はまだ消滅しておらず、換水後4日も経つと再び増殖してくるからだ。しかし、メインパワーフィルターのエーハイムエコ2233を湯で洗い、ゼオライトも交換したうえ、兵学校で使っていたフルーバル103も追加。その上サブとしてミニゴン2もブチ込んで、大量排泄物に対する処理能力をアップした。ミニゴン2はあと2基予備があるのだが、夏場の水中モーターは発熱して水温を上げてしまうので、今のところは一基のみ使用している。換水するたびにみるみる元気になる金魚たちは、病中なのに大量のメシを要求し、喰らい、どんどん大きくなり、もはや泳いでいて互いにぶつかってしまうのが日常茶飯事になっている。

 この飼い主は、巨大化する9匹の20cm金魚と1匹の12cm金魚を、狭い75cm水槽内に封じ込めて、生存サバイバルをさせるつもりなのだろうか……悪魔のような奴だな。


水カビの猛威が一時にせよ治まると、急に元気を取り戻す。症状の進むのも急激だが、治癒(見かけの)も速い。換水後一昼夜で体に付着した白いカビは薄くなり消えてしまう。ただ、裂けた状態のヒレは治るのにもう少し時間を要する。
換水後、元気になればなったで、餌を要求して暴れ回る。腹を空かしては病後の体力もつかずに可哀相だと思い、しぶしぶ少量の餌を与えるが、数日経つと…
…また飼育水のカビ臭が強くなり、金魚の食欲も減退。しょぼくれた態度に戻ってしまう。この状態で放置すると、あれよあれよと白いカビに犯されて死んでしまうので、肩コリ持ちの水換え人足(わたし)が登場する羽目になる。

メダカ水槽 〜兵学校跡地〜
本文の通り、水草のみで回していた海軍兵学校跡地に、小さな生き物が登場した。右上に並んでいるのが石巻貝〈現在全3匹)。上手前でブレているのがクロメダカ(全2匹)。中央下は前回紹介したアカヒレ〈全2匹)。左下の水草上にヤマトヌマエビ(全3匹)がいる。このほかに、水カビ病の本水槽からオトシンクルスの「音信」がこちらに引っ越してきた。
クロメダカ。購入当初は4匹いたが、2匹は弱ってすぐ死んでしまった。小さいうえにアカヒレより注意深くて素早く動くので、マクロ撮影はかなり困難だ。数撃てば、そのうち静止した写真が撮れるだろうが…。
水質悪化のはなはだしい本水槽に長い間暮らしていた「音信」だが、よく見るといつの間にか両目玉が「水泡眼」になってしまっているではないか!このまま大飯喰らい金魚共の糞にまみれて過ごさせるのは可哀相なので、こちらに引越していただいた。目が治るといいのだが。
ヤマトヌマエビが大小3匹いる。ウィローモスを摘んでいるところ。「水槽の掃除屋」なんて重宝されている割に、メダカの餌が入ると一目散に水面まで駆けつけて餌を掴み、水草の上に持ち帰ってしまう。掃除に専念せい!

今後はこの「メダカ水槽」の記事も、金魚コーナー内に更新して行きます。
毎年梅雨どきは病気がちで、どうも冴えないのお。
(手前左から、ハンサム、ライト、俊太郎。上はトメ)
2003/06/27 (Fri)

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