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←【イボニシ(ハンニバル)】(追注:正しくはクリフレイシガイのようです)
ハンニバル・イボニシ博士がイボニシ2号を屠ったという噂は、濡れ衣だった。すまん。同居中の他の巻貝は全て食い尽くしたものの、その後は殊勝に、生ワカメや岩についた苔を舐めて過ごしていたが、クリルが投入されるやいなや一番に駆けつけるようになり、それで満足して悪さをしなくなったようだ。まあ、悪さをしようにも、もはや食べる相手がいないのだが。 |
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←【ヤマトホンヤドカリ】
脱皮もソツなくこなし、わが物顔で闊歩していたヤマトだが、ある日突然コロリと逝ってしまった。どうもヤマトは不可解な突然死が多い。デスクボーイの浅い水深が生態に合わないのかなあ。しかし、ピンピンしていてコロッと死ぬのは、この高齢化社会に暮らす人間も、ちっとは見習ったほうがいいと思うな。 |
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←【ホンヤドカリ】
クリルは、時間が経って水を含んでいても浮いてしまう。浮くとヤドカリたちが食べることができないので、オモリに挟んで沈めるようにして与えている。端から食べてくれれば良いものを、ヤドカリ達はお構いなしにどこからでも千切ってしまう。結局、しばらくするとプカリと浮いている羽目となる。 |
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←【イソスジエビ】
脱皮殻を見かけることはあまりなかったが、どんどん成長し、特にヒゲが長く伸びて、狭い水槽を持てあますようになっていた。他の生物に動じることもなくなり、自分のねぐらを岩穴の中央に決め、餌が入るとき以外はどっかりと腰を据えていたのだが、その息災さが仇となり心ならずの投身自殺をしてしまったとさ。 |
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←【ケブカガニ】
採集直後は時々底面を這っていたが、以来一切岩穴から出たところを見たためしがない。まあ、夜間に徘徊しているのかもしれないが。ちゃんと餌を摂れているのかどうかも不明である。煮干しやクリルをピンセットで摘んで岩穴に差しだしてやると、ハサミだけ出して受け取る。この写真のように目玉を見せるのすら稀である。 |
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←【イソガニ】
忠治もじわじわと大きくなっている。歴代の脱皮殻は4個を数えた。岩の隙間から身を乗り出し、下を通るヤドカリをハサミで威嚇するのも日課のひとつだ。イソスジエビがいなくなってからは、エビの跡地にねぐらを移したようだ。生ワカメやクリルを沈める鉛のオモリがどんどん不足してくると思ったら、犯人はこいつである。岩の下の穴にオモリもろとも引きずり込んで食べるので、オモリはそこに溜まっているのである。 |
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←【イボニシ2号】
ひょっこり出てきたイボニシ2号は死体愛好者だった。イソクズガニ、ヤマトホンヤドカリと、大物が死んだときには、必ずそれに吸い付いている変わり者。最近ハンニバルがクリルに目がないのを良いことに、地味に葬儀屋を決め込んでいる様子。葬式が無いときは、岩やガラスの目立たない場所で長い間じっとしている。2号の貝殻は、焦げ茶色で編目模様があり、なめらかで美しい。 |
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←ライブロックに付いているこのポリプ、なんだか知らないが、ずいぶん長い間喰われもせずに鎮座している。少しずつ大きくなってはいるようだが、発生当初に比べて、だんだんみすぼらしい色合いになってきた。 |