【鉄道むしかえしばなし010】
若菜・平和駅周辺の壮大なΩループ線を高所から眺めつつ勾配の線路を錦沢に向かって歩き、錦沢第三隧道の前で貨152レの9600後補機走行中開放を撮影。さて、ここまで来たからには錦沢のスイッチバックが撮りたい…しかし目の前には第三・第二のふたつの隧道があります。う〜んどうする。
あたりは羆が出そうな鬱蒼とした密林。こりゃ距離のある林道よりゃトンネルのほうがラクで安全かもと、線路伝いにふたつのトンネルを抜けた。トンネルを抜けると線路は大きく右に曲線を描きながら下っている。樹々の間から見下ろせば、窪地中央に繁みに埋もれつつある錦沢の三段スイッチバックや遊園地跡がちら見えた。
トンネル出口から少し降りたあたりで暫く待ってると、眼下に9600の牽くセキ列車貨151レが進入してきた。スイッチバックをいたりきたりする列車を透かし見つつ、最高点とおぼしきあたりの線路脇に三脚を立て、列車がループを登ってくるのを待った。発車の汽笛のあと、途切れ途切れにドラフト音が聴こえてくるのだけど、列車の姿はなかなか見えない。
漸く牛歩のように登ってきたのは北海道炭礦汽船夕張鉄道線の26号機。1962年に廃車ののち国鉄から譲渡された元29674で、新鶴見や田端区にいた都会育ちの罐だそうな。
撮影のあと、錦沢駅まで降りて遊園地の廃墟などを見てみたい思いにかられたけれど、ループを巻く徒歩距離と帰路の時間を鑑みて断念。再びふたつの隧道を抜け、平和経由で清水沢に戻りましたとさ。
1974.8.9撮影 Canon FTb FD50mm/f1.4 Ektachrome-X