【鉄道むしかえしばなし023】
この日、デフに「三日月と跳ね鹿マーク」がある奈良運転所のD51882が臨客スズカランド号を牽くと聞いて、名所・加太の大カーブのお立ち台に急いだ中坊でしたが、好位置は既におっさん鉄が占領中。仕方なく高みの空いた場所に登って三脚を建てたんですが、かなりの俯瞰アングルになってしまいました。こちとらのカメラは親父に借りた48mm固定焦点のKonicaIII。汽車が遠いよ〜。
俯瞰を取りすぎると、蒸機の煙で列車が隠れてしまう事と、寄り構図で居並ぶファンが映り込んでしまうという事を憶えた中坊なのでありましたが、てめえの腕は棚に上げおき単焦点カメラの所為にして嘆いたもんです。以来、レンズ交換が可能な一眼レフを熱望するようになったのでありました。尚、上カットでは下部に映り込んだ鉄ちゃん達をトリミングしております。
加太〜中在家信号場間にある大築堤は「大カーブ」の俗称でファンに親しまれた有名撮影地です。25‰の急勾配に挑む候補機付きのD51長大貨物列車をスッキリ一枚に収めるのには最適のお立ち台でした。左手と奧に鈴鹿山地を望み、開けた右手には加太川の流れが見えます。
築堤のり面の雑草等が綺麗に刈り込まれていて、名所の名にふさわしい清々しいロケーションでした。蒸機の火の粉による野火事対策なんでしょうけど、当時の保線マンの御苦労が偲ばれます。またこの辺りの線路ぎわには「マムシに注意」の立て看がありましたが、あたしの数回の加太来訪時に蝮と遭遇したことはなかったですね。
1972.4.1撮影 KonicaIII A2.0 ヘキサノン48mm f2/NeopanSS