【鉄道むしかえしばなし035】
高校入学前の春、初の北海道撮影行であります。栗山で一日撮影したあと、札幌から稚内行の317レ夜行急行「利尻」自由席に乗って最北端を目指しました。旭川から旧客11両編成の先頭にC5550がガッチャンコ。憧れの蒸機列車の夜旅です。座る車両のデッキの前にはC55のテンダがユッサユサなもんで感動でなかなか眠れません。
下り「利尻」が稚内に到着するのが早朝6時25分。牽引機のC5550は編成を荷2両客2両の4両に間引いて折返し。上り普通324レとして出発します。限られた旅程の中、これの雪中走行シーンを是非是非撮りたいと、貧乏旅行の冒頭からタクシーを奮発しました。当時の宗谷本線列車ダイヤと撮影地のメモがこちらです↓
当時のメモには、『急行利尻が稚内に着いたらタクシーで坂ノ下までGO!送電線の下の道を左に折れ小川を渡りキロポスト250㎞1/2の左側の丘に登れ。324レ通過予定時刻は8時18分前後…』なんて書いてあります。多分、タクシーを停められる場所から線路が近い「C・D地点」あたりで撮ったんでしょうね。
早春のお天気には恵まれたものの、雪中に三脚を立てて列車を撮るのは初の体験。324レを待つ間に、写真左手方面の利尻富士が聳える日本海から雪雲が断続的にこちらに渡ってきて、頭上を通過するたび猛烈な冷えにみまわれます。それで急遽雪穴を掘って中に潜って凌ぎました。当初は固形燃料でチョコを溶き、ホットチョコレートにして体を温めていましたけれど、そのうち堪らずにワンカップ大関を湯燗しだしまして…コラァ!小僧ども。
しかし『極北のC55』に憧れて勇んでる割に、その特徴であるスポーク動輪を意識して撮ってる写真がほとんどありません。そのあたりは、やっぱりお子ちゃま鉄でしたねえ。
1974.3.24撮影 minolta SRT101 ロッコール135mm/F3.5 Kodacolor-X