金魚と淡水魚の飼育
55話
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マッチョ金魚と馬鹿菌魚
〜ほぼ一年分駆け足ふりかえり〜


↑さて清正(左)と拾丸(右)の現況であります。体長はほとんど同じくらいで、まだ若干拾丸が長いかと言うところ。
しかしおサカナとしての体格はもはや完全に清正のほうがリッパであります。
(09.03.15撮)


 おごぶさたでございます。もう弁解はいたしますまい。今回はとりあえず、さらりと当家金魚どもの経過をご報告しておき、次回からの定期更新(?)の体勢の足掛かりにしたいと思います。溜めた分の利息は払いませんのであしからず(笑)。撮影した写真は膨大な量になりましたが、いちいち載せてもいられませんので駆け足のダイジェスト版です。しかしま、清正はドカンと、拾丸はじんわり大きくなっただけで、特に変わりなんかないんですけどね。

 延々サボっているうちに、当家の一粒種金魚の拾丸は孵化後3年半、途中で養子にやってきた清正もデビューからはや1年半になろうとしています。どちらも元気にすくすく成長と言いたいところなんですが、すくすくというより爆成長しているのは清正のみで、おひろいのほうは、あいかわらずずっと病気との闘いですわ。なので金魚水槽は常に拾丸の体調に伴った換水と投薬、水槽セッティングに追われていて、元気な清正は放ったらかしのままでなのでありました。

 一年半も同じ環境に暮らしていながら、かたや一向に病気が回復せず、一方はピンピン成長しているということからして、やはり拾丸の菌魚ぶりは、祖母の東王から連綿と受け継がれたわが菌魚一族の血脈遺伝によるものと断定せざるを得ません。少しの刺激で驚いて逆上しガラスに強烈な激突を繰り返すと言う習性や、常時目玉真っ白でそこらじゅうボロボロ綿かぶりの症状は、あのオヤジJRに瓜二つなのであります。おまけに体型もオツムの働きも似ていることから、拾丸のテテ親は絶倫だった段平ではなく、日陰者オヤジJRであった可能性がますます濃厚になりつつあります。

 一方の清正は、わが水槽において、はじめて流入してきた他家の血をひく金魚であります。拾丸と同じ飼育水、同じ食生活の日々を永らく過ごしてきたのに頗る元気。拾丸の病気が伝染する様子もありません。そうしてとうとう2年先輩の拾丸を凌ぐボデイサイズに育ってしまいました。今もさかんに拾丸を追い回していますが、どうやらやっぱり拾丸はオネエMANのようなので、いまだ繁殖の兆しはありません。まあ清正の勘違いなのか単なる縄張り争いなのかは知りませんが、追われる一方のおひろいの顔面崩壊がますます酷くなってきたので困ったもんです。

 清正の成長でデカイ金魚が2匹揃ってしまったので、最近は水槽に入れていた水槽ポッドなどの用品はすべて撤去し、左右の奥の角にヒーターや水中ポンプ、ストレーナーなどをコンパクトに縦配置して、とにかく水槽を広く使えるセッティングに変更しています。水草も束のまま吸盤に結わえてガラスに貼り付けるやり方で設置しますから、砂や小石のたぐいはひとかけらも入れていません。なもんで現状は非常にシンプルな「なんもなし」の水槽環境になっております。


〜 拾丸と清正 2008年、夏〜
↑マッチョな体型の清正とソップ型の拾丸は好対照だ。
おまけに色味も橙と赤。どちらも元は小赤だったんだけどね。
(08.08.31撮)



←拾丸はあいかわらずのマイペースというか春風駘蕩というか、ぼんやりした金魚である。本来なら新参の清正に対して先輩風をふかせるべきところなのだけど、なんだか一歩も二歩も引いた殊勝な生活態度を貫いている。やはり永年のひとりっ子育ちが影響しているのだろうか。まあ、あたしとしてもわが家の血脈を引いている最後の菌魚なんで、思い入れは強い。飼育水は良好な状態のはずだが、健康には常に問題を抱えている。
(08.08.31撮)
←一方の清正は食欲旺盛で、投げ込まれるエサの三分の二以上を、さっさと平らげてしまう。当然のようにすくすくと成長してきた。当家歴代の金魚にくらべると特に賢い個体とは思わないが、水槽隅やパイプの裏側などに浮き溜まるエサなんかもめざとく見つけて食べてしまう。まあ本当に賢い金魚であれば、たまったエサを動かすワンアクションをして、食べやすい場所にエサを移動させてから楽に食べるのだが、清正の場合は強引である。闇雲に吸い込む行為を繰り返して捉えるあたり、特別賢い金魚とは言えない。しかしま、エサへの執着が強い=生命力やバイタリティーのある個体だとは言えますな。この点は拾丸にも見習って欲しいものだが、おひろいは馬鹿なんでムリである。
(08.08.31撮)
←顔面クラッシュを繰り返して、年季の入った木槌のようになっている拾丸の口。清正に追われてガラスにぶつかる時もあるが、その回数よりも自損する場合のほうが断然多いので自業自得である。少なくとも一日10回以上は思い切り正面衝突をしているような案配だ。単純に計算しても年間3650回以上激突しているわけだから、そら治らんわ。
(08.08.31撮)


↑拾丸のタラコ唇はこれでもいくぶんはマシな状態である。上下に赤タンを作って白い皮をヒラヒラなびかせているのが常。
目玉にもやや水生菌が付いているが、ウロコ表面のハリといい、この程度なら最も良好な状態といえよう。
なんたって、筋金入りの血統付き菌魚だかんな。
(08.10.06撮)


〜 夏が過ぎて、秋に 〜

←なんとか無難に夏を越した2匹。というか、清正は全くのノープロブレム金魚で、いままで一度も健康を害したことはない。でもっておひろいはいままで一度も健康だったことがない。ウチの水槽では、おひろいの体調に合わせて、換水やフィルターメンテ、投薬やココア投入、絶食などが繰り返されるので、清正にとっちゃ迷惑な話ではあるが、このマッチョ金魚は細かいことは全然気にしていないみたいである。
(08.09.19撮)
←わが家にやってきたときの、あろガリガリの小赤と同一個体とは思えないマッチョ体型に育った清正。アタマは小さいんだけどその後ろの盛りあがりはちと異常である。ヒトで言えば僧帽筋といったところか。また大胸筋も発達してるなあ。タナゴやゲンゴロウブナも体高は高いけどそのラインはなだらかになっている。コイツの場合は急にこんもり膨らんでいるから、鍛えた結果としか思えない。そんでもって寸詰まり。思えば昭和40年頃のヨイトマケにはこんな体つきのおっさんが多かったなあ。
(08.10.06撮)
←拾丸のほうは、わが家の金魚の体型と色味を受け継いでいる。やっぱり「血」というものは不思議である。体表のデコボコ具合と尾の長いところなんかは、オヤジ&オジサン→オヤジJRの流れを汲んでいる。しかし頭部と眼の付き方、顔の表情などは、母親のジャンボに瓜二つである。臆病で眼が悪く、アタマのちょっと怪しいところと、菌の持ち具合と発症の仕方はオヤジJRそのままだ。オヤジJRはエルバージュに過剰反応してショック死したから、拾丸にもエルバージュの投与は十分慎重を期したほうがいいな。
(08.10.06撮)


↑もはやタラコというよりは餅だね、この口は。
肉が腫れて膨張し、口を大きく開くことができなくなってしまった。
視界が狭いことも相まって沈下性のエサやフレークタイプのエサは上手く食べることができない。
(08.10.06撮)



― 2008年11月、おひろいの体調が悪化 ―
←秋になって、日々の水温の変化が大きくなったせいか、拾丸の状態が悪化してきた。前年の魚病薬の安売り終了以来、換水と塩とココアだけでやりすごしてきたが、それではちょっと追いつかないような感じに。おひろいの場合、見かけはボロボロでも実際はけっこう元気でいることが多いのだけど、本当に調子が悪くなってくると体がふらふらしだすので、それが黄信号の目安なのだ。ふらつきが見られ、目玉や口先ばかりか、頭部にも「くさ」みたいな疾患が広がってきたので、手おくれになる前にグリーンFゴールドを投薬した。水槽が黄色に染まる。いくら吝嗇な飼い主でも必要なときには買いまっせ。しくしく。
(08.11.08撮)
←薬浴をすると一時は持ち直すのだけれど、決して完治にいたらないことは、当家歴代金魚どもの経験で十分承知の上です。しかし同じ環境にいながら清正はどこ吹く風の元気印なわけで、やっぱり拾丸のカラダがもともと抱え込んでいる菌体質が、ときどき活発になって発症するということなのだろうなあ。つまり遺伝ですね。つうことはわたしの今までの苦労と言うのは、この遺伝子を持った金魚と出会い飼いはじめたのが運のツキだったと言うことですか。清正みたいな健康に関して良血の血統に当たっていれば、こんなに水換えする人生にならずにすんだのかもですなあ。
(08.11.08撮)
←投薬から20日ほど過ぎたがグリーンFゴールド効かず。腹部にも吹き出物が出ました。水換えペースを週二回にするとともに、マラカイトグリーンに薬種を変更してみる。体表の症状は酷くなっているものの、おひろいの元気度は戻ってきているので、まあひと安心して良いと言うことがわかってます。このたびの再三の投薬と、清正の大型化に伴い100均タッパー水草ポッドは撤去して、なんもなし水槽にしてしまいました。
(08.11.30撮)


↑2008年の大晦日を迎えた75cm本水槽全景。清正、拾丸、石巻貝数匹が全住人。
右奥隅にマックスパワー120とエーハイムエコ2233のストレーナーパイプが2本。
左奥隅に水流発生用水中ポンプとヒーター、エアーをタテにコンパクトにまとめてスペースを広く使えるようにした。
(08.12.31撮)

〜 2009年、春間近 〜

←お正月あたりには一旦快復していた拾丸だが、春が近づいて水温が不安定になってくると、またまた菌魚モードに。両目玉が真っ白に濁り、体側にも吹き出物が出て、泳ぎも頼りなくなってきたので投薬。今回は飼い主のフトコロがかなりピンチなので、割安なメチレンブルーでお茶を濁す。ブルーの飼育水の中の赤い金魚は非常に汚らしく見えますな。おひろいの度重なる体調不良による食欲減退のスキに、2匹分のエサを喰い続けた清正はまたグンと加速度付きの成長をし、体長でもほぼ横並びに。
(09.03.08撮)
←清正の体表にはじめて小さな変化が起こった。アタマの部分に赤い斑点が出現。これから赤い金魚になるのだろうか。それとも昨秋から断続的に行なわれた投薬の影響なのか? おひろいの病気にいちいち付き合わされているからなあ。迷惑だろうが我慢してくれたまえ。
(09.03.08撮)
←メチレンブルー投薬から一週間が過ぎた。写真の姿からはわからないけれど、拾丸はちゃんと活力を取り戻している。頻繁な換水の割には飼育水が臭いすぎるので、久々にマックスパワー120をフルメンテしてみたら、中がドロドロだった。どうやら拾丸の体調悪化はこれが原因だったようだ。メンテ後はみるみる体調が回復した。まあ見かけはボロボロのままですが(笑)。
(09.03.15撮)
←アタマに赤い10円ハゲをつくったオレンジ色でタナゴ型の清正。そこらじゅうに白い水生菌を貼り付け、金赤色でボラ型の拾丸。2匹が並べば、ちょっと同じ金魚とは思えんバラエティである。現時点で2匹の体長はほぼ同寸。まだちょっぴり拾丸が長いかな。
(09.03.15撮)
←マッチョマン清正。筋肉質の金魚というのもちょっと不気味だなあ。
(09.03.15撮)
←今まで世話をし続けてきた当家歴代菌魚どもの形質をすべて受け継いできた拾丸だけに、なんとなく愛おしいものがあると同時に、経験上そうは長生きできないことも明白なので、飼い主としてはやや複雑な心境なのであります。養子の清正も本家筋の拾丸もどちらもオスのようなので、このままで行くと当代で血脈は途切れてしまうワケだ。でもこの血を存続させるとまた飼い主はタイヘンな目にあうんだよなあ。厄魚とはこいつらのことだ。
(09.03.15撮)


↑「メ・メ・メシくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」
おまえら、これからも仲良くくらせよ。
(0811.08撮)



↓パッド入りのマスクでもこしらえたらなあかんかもなあ。
(09.03.15撮)
2009/03/16 (Mon)

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