ヤドカリと磯の生き物の飼育

35話
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イボニシ VS アカニシ
〜ホンヤドカリのチビ、イボニシのアンダーテイカー逝く〜



↑このイボニシVSアカニシ、何回目だったかなあ。たぶん三回目のバトルです。
このときもアカニシが優勢のようですが、見ただけではどちらが攻めているのかよく解りません。
消化液か何かが多量に分泌されて水槽に流れます。このときも間一髪で手遅れ寸前でした。
(08.11.23撮)



 磯を訪れることもままならないまま、また時間が経過してしまいました。したがって新たに当デスクボーイ海ヤド槽の住人に加わった新顔もおらず、お馴染みのメンバーが地味〜〜〜〜〜に日々を過ごしているのみなのです。デスクボーイではあいかわらず水温変化の激しい過酷な環境が続いております。歴戦の強者である住人メンバーもさすがに寄る年波には勝てません。2008年の9月末には水槽唯一の生き残り海ヤドでありましたホンヤドカリのチビが、ゆっくりゆっくりと力尽きました。そして今年に入り1月には、肉食巻貝のイボニシとアカニシが岩陰の死角でディープキスを敢行。発見が遅れたため、古株イボニシのアンダーテイカーが哀れあえなく敗死してしまいました。かねてから再三喰い合いバトルを繰り返し、飼い主が気づくたびに急いでひっぺがしていましたのですが、アカニシはやはり一枚上手でしたね。つうわけで前回更新からほぼ9ヵ月が経過しましたが、ご報告できるニュースはこれくらいしかありません。したがってウダウダ語ることもあまりなく…まあいつも同様、無闇にズラズラと写真を並べましたから、そちらをご覧いただきながら、とつとつコメントをして行くことにします。


デスクボーイ海ヤド水槽の住人たち。

↑来宅からおよそ二年半のホンヤドカリのチビ。
この水槽ではだいたい二年半がヤドカリ飼育の限界点になっている。
さすがのチビも徐々に活性が落ちてきたところ。2008.9.30没。
(08.09.02撮)



←イボニシのアンダーティカーは当水槽の最古参メンバー。2004年の夏に南紀白浜で採集してきた個体である。登場当初はもっぱら死体専門の掃除人だったが、最近はくたばる住人もいなくなったのでもっぱら冷凍シーフード片ばかり喰っている。時々入る活シジミをうれしそうにパクついていた。2009年1月8日没。
(08.09.24撮)

ヒメイソギンチャクのお吟婆も、再三のピンチをなんだかんだ言いながら切り抜けてしぶとく生きている。人工海水を交換するたびに必ず産卵するから、よく体力が持つもんだと思う。写真の時期は珍しく足場の悪いサンゴ砂に永らく着底していた。
(08.08.31撮)

←ムラサキウニのウニどんもチビやお吟婆と同期の来宅だが、元気だし食欲も旺盛だ。以前に較べて最近は非常に良く歩き回るようになったが、一時のような目に見えるような成長は停まってしまったようだ。狭い水槽を移動するのでトゲがボキボキ折れてしまう。わざと成長をセーブしてるのか?
(08.11.24撮)
←コイツも長いなあ。いつ来たのかは不明ですが…3年は越したと思われ。カーリーに囲まれつつ、毎日シュッと鰓を開いてひらひらしておりまする。紫色は褪せてきたけど、傘の直径はじわじわ大きくなってきております。ほんとにじわじわじりじりですが。
(08.08.31撮)
←アマオブネA。後ろにアカニシが半分写ってますが、あの人呑鬼のようなアカニシさえ見向きもしない不思議な巻貝。レイシガイの故ハンニバルもイボニシのアンダーテイカーも完全無視させてきた、その喰われない秘密はどこにある?。でもって、お前さんは何を喰って生きてる?。よくわからなくてほんとに喰えない奴だなあ。
(08.09.02撮)
←2008年5月、スーパーの割引シールが貼られた売れ残りアサリパックに混ざってやってきたアカニシだが、飼ってみてその生命力と言うか食欲には驚いた。ウチにいたレイシガイやイボニシとは比較にならないほどの大食漢である。たとえば小型のアサリを一個与えた場合、ハンニバルやアンダーテイカーは半日くらい吸い付いたあげく、身を残したまま去って行ったものだが、こいつは数時間できれいさっぱり平らげてしまう。それも一度にアサリ2個は軽くペロリ。アッキガイ系の肉食巻貝中では最強の部類に入るのかもしれん(ツメタガイはかなり強そうだけど)。
(08.09.02撮)
←あの〜、わたしもおりますんで、忘れんようにお願いします。
(08.10.11撮)

さようなら、チビ。

↑南紀白浜から採集してきたころは米粒のような大きさだったチビだが、
さすがに二年半も経つとそこそこ立派に成長した。でも同種の個体としては成長の遅い方だった。
前にあるのはアサリのワタだが、徐々に食欲が減退してついばむハサミの動きも鈍ってきている。
(08.09.02撮)

ホンヤドのチビ、最晩年の日々

←チビ、チビ、と呼んできたが、大量に採集してきたとき、小さい個体なのに生き残ったものには大概チビという名前がついてしまうもので、このホンヤドカリの場合も、いったい何代目のチビだったかすら分からない。
(08.08.31撮)

←アカニシ、ケヤリくんとの3ショット。水槽をちょこちょこ歩くヤドカリは、やっぱりいて欲しいメンツだなあ。
(08.09.19撮)

←死ぬ一週間前のチビ。食欲と活性は落ちてきた感じがしたものの、特にピンチという感じでもなかった。まあ老衰死というところだろうか。
(08.09.24撮)
←朝、水槽を覗いてみたらコケていた、チビ。まだ脚をピクピク動かしている状態だが、手の施し様もなさそうなので静観することにした。翌9月30日、没。飼育日数は2年と167日間だった。海のヤドカりの3年以上の飼育はいまだ未達である。やっぱりデスクボーイではちょっと無理かな。
(08.09.29撮)

あいかわらずお盛んなお吟婆さん
↑ヒメイソギンチャクのお吟婆さんは、人工海水を交換するたびに必ずと言って良いほど産卵する。
ウチの水槽ではおよそ20日置きくらいで交換するから、月一ペースでタマゴをバラ撒いていることになる。
産後は毎回かなりぐったりしてしまうから、産まなきゃ良いのにと思うのだけど。
(08.11.24撮)

←人工海水の交換を刺激にして産卵の引き金が引かれるもようだけど、こっちはメンテ直後に水槽を汚されることになるわけで、非常に迷惑してるんだけどなあ。お吟婆の穴蔵の天井でアカニシがお昼寝中。
(08.11.24撮)
←お吟婆のまき散らした無数のタマゴがケヤリくんのパラボラにも引っかかる。で、あんた喰ってるの、これ?
(08.11.24撮)


アカニシとイボニシ
↑わが家のアクアリウムにおける急成長ランキング2位はアカニシくん。
1位の座は金魚水槽の清正に譲るものの、喰うわ喰うわ。
「シジミなら立て続けに3個はちょろいぞ」
(08.07.19撮)

←自分に割り当てられた冷凍シーフード片をちゃっちゃと平らげてしまうと、必ずウニどんの取り分を強奪にかかるアカニシ。ウニどんもトゲを振り立てて必死のハンド・オフ。アカニシの貝殻先端から伸びているのは水管で、脚の間から覗いているのが口のようだ。口なのか食道なのかは知らないけれど。
(08.10.19撮)
←エサは十分に与えているにもかかわらず、散歩の途中に肩が触れると、必ずガンツケからの喰い合いになるアカニシとイボニシ。しかし最近のイキオイを見ていても、普段の生活態度を見ていても、どうみても大人しいアンダーテイカーの分が悪そう。この写真のバトルは三回戦のもよう。四回目までは飼い主が早期発見して両者をニュートラルコーナーに分けたので生命は無事だったが、五回戦は岩の裏側で行なわれたため、アンダーテイカーが敗死してしまった。
(08.11.23撮)
←上写真のバトルをひっぺがして分けた直後のアンダーテイカー。ああ出てきた、無事だったぁ〜〜の図。一瞬遅かった!殺られた!と思って諦めたのだけど復活してくれました。バトルのあとは水槽中に粘液質の分泌物が漂う(写真右の白いもの)。剥がしたあとを貝を見ると、アンダーテイカーはかなり奥のほうまで引っ込み蓋をして耐えていることが多かった。やはり攻めているのはアカニシのようだ。レイシガイとイボニシは4年間一度も干渉しなかったのだが、アカニシは両者より種的に少し縁遠いのだろう。
(08.11.23撮)
←シジミ、二個目に取りかかり中〜〜。のアカニシです。
(08.11.30撮)

お約束の人別帳&過去帳です。
↑2008年、大つごもりのアンダーテイカー
この日はなぜかゴキゲンだったなあ。
(08.12.31撮)

住人覚え書/2009.4.6現在

●06年春入居者(2006.4.18採集)水槽在住 約3年
・ヒメイソギンチャク:1(お吟婆)←種名はテキトーなのでご注意
・ムラサキウニ:1(ウニどん)
・アマオブネガイ:1(アマオブネA)

●08年春入居者(2008.5.12/スーパーの活アサリパックに混入)水槽在住約11カ月
・アカニシ:1

●いつ混入および発生したかわからん入居者
・ゴカイ類:大小各種無数(採集・混入日不明/どう代替わりしたかも不明)
 ↑「ケヤリの仲間君」もこちらに含む(こいつらはいちおう最古参カテゴリ内の存在)

・カーリー軍団:(セイタカイソギンチャク?)無数この1〜2年に顕著 

●過去帳(2008.7.11以降/確認できたもののみ)
・没 チビ(ホンヤドカリ)08.9.30没 老衰?。
   2006.4.18南紀白浜にて採集 水槽在住約2年半。
・没 アンダーテイカー(C型イボニシ)09.1.6没 アカニシに補食される。
   2004.7.18南紀白浜にて採集 水槽在住約4年半。



イボニシ(アンダーテイカー)のお食事風景

←2008年も押し詰まりきった大晦日。わが家の貧相な卓袱台にも新年を迎えるお重や寿司がお出ましに。おっさんはサッと寿司をつまみ食いして海ヤド水槽にお裾分け。ウニどんがアピールしたのでくれてやったら、あら珍しや。アカニシより先にアンダーテイカーが来るなんて…。少し遅れてあんのじょうアカニシもやってきて、アマエビしっぽの強奪大会になった。2種の肉食巻貝の珍しい捕食風景の写真が続けて撮影できたのでご紹介します。災難はウニどんやけど。
(08.12.31撮)
←イボニシのアンダーテイカーが人様の獲物を強奪するのは非常に珍しく、4年半の飼育中にも滅多になかった。よほど空き腹だったのか?スマソ。しかし長い口ですなあ(食道かも?)。このあとのアカニシの口と較べてみると違いがよく解りますが、イボニシのは透明チューブになってまして、食べたエビの赤い身が体内に運ばれて行くのが良く見えます。
(08.12.31撮)

←さらにお口部分をアップ。こうして観察するに、肉食巻貝は補まえた貝に、消化液で穴を開けたり、または殺してから蓋を開かせたあと、こういう食器官を内部に挿し込んで行って自分のカラダの中まで送り込んでくるような喰い方をしているワケですな。勉強になりましたい。
(08.12.31撮)

引き続きまして、アカニシのお食事風景

←満腹したアンダーテイカーが去って行ったと思ったら、やっぱり来ました、コワモテのアカニシが。こちらはエイヤっとウニどんからエビの尾っぽを丸ごとひったくり、「誰にもやらないよ〜」っと脚で抱え込んでのモグモグです。欲どおしいやっちゃ。
(08.12.31撮))
←さきほどのイボニシとは口の感じがちょっと違いますな。こちらは透明チューブじゃありません。灰色霜降りの不透明チューブ状であります。写真にはありませんが、観察しているとイボニシと同じくらいの長さにまで伸びておりました。
(08.12.31撮)
←アンダーテイカーとの5回にわたるバトルでは、貝口同士をぴったり合わせた内側で、両者からそれぞれこのような食器官が伸び、あしたのジョーのクロスカウンターのような、関取の差し手争いのような、そんな壮絶な光景が繰り広げられていたのでありましょうか。
(08.12.31撮)
アンダーテイカー、敗れる。

2009年を迎え、松もとれようかという頃合い、岩陰ホールに於いて人知れず巻貝バトル5回戦が開催され、とうとう「やっちまったなあ〜」となりました。結果、転がっているのはキレイに食べ尽くされたアンダーテイカーの亡骸。少し離れた背後には満腹の下手人、アカニシが砂に潜ろうとしています。ウニどんもちゃっかり、アンダーテイカーの蓋を小腋にかかえております。「この前、オイラのエビを奪った仕返しだもんね」てなところかな。この水槽に来て4年半。永らく楽しませてくれたアンダーテイカーにありがとう。そう、自然界は弱肉強食下克上。キビシイもんだなや〜。
(09.01.08撮)
←ハンニバル逝き、アンダーテイカーが屠られた今、デスクボーイ水槽をうろつく貝類はアカニシとアマオブネのみに。頼むからカーリーでも喰っといてくれんもんかねえ。
(09.03.08撮)
←春先は微妙に水温が変化しやすいこともあって、お吟婆がかなりグロッギーになった。エサも喰わないし、脱力した脚が徐々に岩から剥がれかかってきたので、こいつもそろそろ寿命なのかと、いったんは諦めていたのだけれど…4月6日現在、復活してます。(・∀・) ホンマにこいつだけはようわからん。
(09.03.19撮)

↓アンダーテイカーの貝殻は、
将来やってくるであろう海ヤド君の上物の住処になってくれそうだ。
(09.01.08撮)
2009/04/07 (Tue)
 
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