↑2004年の7月21日、南紀白浜の磯から連れ帰ってきたクリフレイシガイのハンニバル博士が、 とうとうただの貝殻に。 このデスクボーイでほぼ4年間生き続けたわけだが、最近は不思議なことに貝殻ごとどんどん小さくなってきていた。 チビが亡骸を物色にやってきた。「長年同居したよしみだ。チビ、博士の貝殻に入ってやれよ」 (08.06.04撮)
毎年のことなんですが、夏場になるとめっきり憂鬱度がアップする当家デスクボーイ海ヤド水槽。当欄を以前から読み続けていただいている奇特な読者のみなさんは「わかってるわかってる、もう皆まで言うな」とおっしゃっていただけることと存じます。なんと情け深いお言葉。そうなんです。夏に生体を健康にキープし続けるためには相当の問題点を抱えていながら、去年となんら進歩してない水槽設備なのでございます。5月の中旬にしてはや、放っておくと水温は30℃をオーバー。なもんでちょこちょこと風を送ったり、真水を足したりしながら、ぎりぎり29.9℃以下を維持しておるようなわけです。あいもかわらず。
決して飼育に対するテンションが下がっているわけではございません。もう2年あまり追加の採集にも行かず、レギュラーメンバーの数匹とに限った付き合いを延々と続けておりますけれど、これもまたなかなか乙なものであると言えます。とにかく各個体それぞれのタレントの「勝手知ったる生活スタイル&きょうの健康状態」というような、もはや芸能プロのマネージャーみたいなことになってしまってますので、エサの時間に水槽をじろりと一瞥しただけで、「あ、このヒト異常なし」、「あ、こっちのヒトちょっと空腹気味」、「こっちのヒトそろそろ水換えキボ〜ン」てな様子がじんわり伝わってくるんですよ。ま、さすがに寿命やら、悪環境での疲弊やらがあり、徐々に個体数は減っては来ましたが。
さてそんなのんびりした、言い換えればいたって退屈な小水槽ですが、長い時間の間には意図せぬところで思わぬイベントが起きるから面白いもんす。今回の場合は、新入り巻貝の闖入です。家人がみそ汁の実にと購入してきたスーパーマーケットのアサリパック。いわゆる発砲スチロールの浅いトレイをラップでくるんであるヤツですが、そのアサリの中にグレイの巻貝が一つ混ざっておりました。ま、アサリを食おうと思ってアサリの花園に侵入したら、一緒に梱包されてしまったというお間抜けなヤツですが、それでも鍋で煮立てられる前に、あたしの目に留まったのは悪運強し!と言わねばなりません。今回はそういうデビューをしました新顔「アカニシ」君と、来訪4年目にして残念ながら身罷ってしまいました、クリフレイシガイのハンニバル博士のお話がメインです。まあ、ホンヤドのチビも息災ではありますが。コトの詳細は各写真キャプションにてお愉しみください。
アカニシ(アッキガイ科)みたいな感じですな ←貝長はまだ3cmくらいだが、ぱっと見イボニシみたいに見えたので、「おいおいスーパーよ、アサリに肉食巻貝混ぜて売ったら拙いんでないかい?」と思ったが、これも何かの縁なので、とりあえず海ヤド水槽にお招きした。砂に潜るのが得意げな奴だ。アンダーテイカーの鼻先をビビりもせずにチャラチャラする新入り君。 よく見ると、貝殻の尻部が角の付いた段々に巻いていて、イボニシやレイシガイとはちと違う様子。殻口内側には細かな筋が入っていて黒っぽい…てなことでひとまず暫定「アカニシ」つうことで話を進めてまいりますです。これで当家デスクボーイにレイシガイ、イボニシ、アカニシの強面チンピラ三人組が完成。賑やかになってよかったなあ…と言ってたら数日後にハンニバルが没ったんですが。 (08.05.12)
←また台所にアサリを発見したので一個失敬。なんか水管を膨らませて、金満社長風のおもむきだな。肉食巻貝チンピラ三人組のうち、どいつがカツアゲ一番乗りをするのか楽しみだ。 結局一番乗りはアカニシだった。やっぱりまだこの水槽の生活サイクルに慣れていないせいか、餌に対して必死モードが抜けていないようだ。しかしだいたいが、アサリパックに混入っていう境遇自体、ハーレムみたいなもんやん。酒池肉林の乱痴気騒ぎ、美女の無人島に男ひとり…みたいな。急にそんなにあせってどうするねん? (08.05.12)
←水槽前面ガラスを高速移動中のウニどん。しかし冷凍シーフード片を銜えたままで歩き回るのは行儀が悪いぞ。ふいに「おそ松くん」のチビ太がいつもおでん串を持って往来で遊んでいたのを思い出した。関係ないけど。 (08.07.06)
住人覚え書/2008.07.11現在 ●先住者(2004.7.18採集)水槽在住約4年 ・アンダーテイカー(C型イボニシ) ●06年春入居者(2006.4.18採集)水槽在住2年2カ月 ・ホンヤドカリ:1(チビ) ・ヒメイソギンチャク:1(お吟婆)←種名はテキトーなのでご注意 ・ムラサキウニ:1(ウニどん) ・アマオブネガイ:1(アマオブネA) ●08年春入居者(2008.5.12/スーパーの活アサリパックに混入)水槽在住2カ月 ・アカニシ:1 ●いつ混入および発生したかわからん入居者 ・ゴカイ類:大小各種無数(採集・混入日不明/どう代替わりしたかも不明) ↑「ケヤリの仲間君」もこちらに含む(こいつらはいちおう最古参カテゴリ内の存在) ・カーリー軍団:(セイタカイソギンチャク?)無数この1〜2年に顕著 ●過去帳(2008.4.21以降/確認できたもののみ) ・没 ハンニバル・レクター博士(クリフレイシガイ)08.6.1頃没 水槽在住約4年間