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74 江戸の恋 ―「粋」と「艶気」に生きる
田中優子 著
集英社新書
歴史恋愛学?粋な随筆
投稿人:コダーマン ☆☆☆ 02.05.26
コメント:粋なんですよ、著者も、内容も、文章も |
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こんな粋な「恋愛論」は読んだことがない。面白い本だった。
こう言っては変だが、著者に惚れた。
これは、今年上半期の本の中で「最高点」に選んだ。実に味わいがある本で、大人になってから読んで味のある恋愛論といえる。
江戸の人にとって「恋」というのはどういうものかということを、著者が自分の恋愛観と重ねて書いて行く(だけなのだ)が、元々江戸研究の学者である田中さんの話の運びが、ちょいとただ者ではない。心地よく、うまい。
こんな例は著者に失礼かも知れないが、どうにも色っぽい三味線のお師匠さんが、町内の男どもが言い寄るのを上手にかわしながら、本人はけっこうつらい恋を経験しているといった風情である。こういう、新書は珍しい。
「江戸の」というのは、江戸時代の人間にとって恋とはどういうものだったかという話をするための必要な限定である。
粋であることが大事、粋でなければどうにもならない。野暮はどうしたって避けたいけれど、恋の初手から粋に、というわけにはいかないので若い頃は恋も大変だ。惚れてふられて、手練手管を覚えていく。恋の経験を重ねて、粋であることを目指せば、それはそれでほとんどやせ我慢であるというような江戸の恋。そういう江戸の恋を、恋にあこがれる頃から「死」までを書いてくれる。
いい本だよぉ。
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