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東王の突然死から、ふた月近く経ってしまった。とりあえず喪に服していたということにしておこう。
さて、ヌシのいなくなった金魚水槽だが、実は事件の直後に大きな変化があったのだ。
大金魚がいなくなってしまったので、次に大きかった雄親二匹を本水槽に移したところ、激しく雌(自分の娘たちにあたる)を追い始めた。なかには逃げ疲れてよろよろするものも出だす始末。これはいかぬ、と60cm水槽「海軍兵学校」に再び戻した。
これを機会にと、金魚の再編成をすることにした。
「海軍兵学校」には、二匹の雄親を中心に、彼等の息子共のなかでも特に気性の激しい輩を4匹選び、絶倫雄ばかり6匹でラインナップ。その名の通り日夜さらに激しい「教練」を繰り返している。
75cm本水槽には残りの金魚11匹が泳いでいる。うち2〜3匹は、比較的おとなしい雄で、ほかは全て雌である。オトシンクルス3匹とタイガープレコ1匹も健在だ。
ある日、本水槽の飼育水が白濁していた。また水質が悪化したのかと注意深く観察してみたら、なんと! 東王の娘たちが産卵しているではないか!産まれてからちょうど1年経つのだが、はや成熟していたのか。短期間とはいえ雄親に追い回されて刺激をうけたのかもしれない。まずいことに白濁の原因は、2,3匹のうつけ雄共の精子の放出のようだ。
しかし11匹の食欲旺盛な金魚たちは産んだシリから争って卵を食べている。こいつたちは水槽の隅々までくまなく突つき回って捕食するので、卵はあっという間に全て食べ尽くされるだろうと読んだ。
白濁はすぐに濾過され治まった。しかし、あのチビどもが産卵とは、金魚の成長の早さにあらためて驚かされた。
時は2週間ほど流れて、大晦日。一年の締めくくりの大掃除と、全水槽の手入れを行った。2台のパワーフィルターも奇麗にしようと、流し場にタンクの汚水をぶちまけたところ、なんとキラキラ光るものが! 良く見ると「稚魚」ではないか。慌てて水栓を閉めようとしたのだが、排水口にほとんどが流れ出ていってしまった。結局救えたのはわずか一匹のみ。7〜8匹の稚魚が、あわれ下水に。なかには2cm近くにまで成長していたものもいたようだ。パワ−フィルタ−内での受精、孵化は前にも経験していたというのに、今回まったく注意していなかったのは私のミスだった。
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←唯一下水に流れなかった幸運な稚魚。救われてからほぼ20日で、体長は2cmほどに成長した。グレーだった色も、ほのかに赤みが付きだした。尾ひれのキズも治ってしまった。ジャムの空き瓶で隔離保育中。 |
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さて、助かったこの稚魚一匹。見ると、尾鰭が少し痛んでいる。前回パワーフィルタ−内で孵化したものたちは、鰓がめくれていたり、目の無い稚魚が多数いた。今回のこの稚魚は千切れた尾鰭以外は健常のようである。
この稚魚、水槽にいれてしまうと、あっという間に腹を空かせた金魚たちに食べられてしまう。もう少し大きくなるまでは別の容器で飼わなければならない。ところが適当な手持ちの水槽が無い。で、とりあえず、ジヤムの空き瓶で保育することにした。
東王が死んで、ほぼ一月。この稚魚は、彼女の娘たちの子供だから、東王にとっては「孫」ということになる。一月の差ではあるが、「おばあちゃん」と呼ばれることを拒否して死んでしまったのだ、とも思えないこともない。
ともあれ、当アクアリウムの金魚もついに三代目が誕生してしまった。しかし、もうこれ以上は飼えんぞ! これで打止めにしておくれ。
この稚魚の雄雌が判明したら、留吉とかトメ子と名付けないといかんなあ。
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←75cm本水槽。いちばん手前の片目の金魚もパワ−フィルタ−内での孵化による傷が原因だと思われるが、一年が過ぎてもすこぶる元気である。 |
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←60cm水槽「海軍兵学校」。暴れ者の雄ばかり6匹がいる。父子の関係だが、トシなどいさいかまわず、一日中追いかけあっている。
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