金魚と淡水魚の飼育
45話
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濾過システムを強化

↑昨日からなんだか水の流れがえらく強うなったわい。
思いだすのう昔流行った「ルームランナー」を。(05.06.06撮)


 気温が上昇するとともに金魚の食欲はどんどん増し、四匹の大金魚から一日にひり出される饂飩グソの量は恐ろしいほどと化した。朝、照明を点けると驚いた金魚どもが暴れる。そうするとストレーナーが吸いきれずに底に溜まっている大量の糞が、甲子園の七回裏のジェット風船のように巻き上がり、もはや壮観といっても良いくらい情けない光景となる。水槽の前で腕組みをしつつ、そのさまをじっと見つめる飼育者(わたしだが)は、つぶやくしかなかった。「駄目だこりゃ」。

 前回報告した、ヨウ素殺菌他の対策は一時的には効果を示したものの、やはり「焼け石に水」だったのである。ペレットを新品に交換しても、3日に一度の半量換水は逃れられなくなってしまった。水カビ自体の発生はやや治まってはいるし、二匹の菌魚のうち、ジャンボの状態は改善されてきたよう(オヤジJRはどんどん酷くなる一方である)だが、排泄物による水質悪化が凄まじく、換水三日後にはすべての金魚が苦しそうなそぶりをするようになってしまう。先に基本的な濾過システムを増強しないと、水カビ撲滅の推進もかなわないことが明白になってきたのである。

 ある日の夕食。泳ぐ菌魚どもを背に、アジの焼魚で粗末な食事をしていたとき、わたしは思わずつぶやいた。「このアジより、うちの金魚のほうが二回り以上大きいな。このまま貧乏が進むと、いつかはこいつらをオカズにしなきゃならんかもしれんな…」。ウチは四人家族である。金魚も四匹。数はぴったりなのである。するとすかさず娘と息子は声を合わせて「私はトメ!」「僕もトメ!」と叫んだ。すこし遅れてヨメが「わたしもトメがいいな…」と言う。「えー、ジャンボが大きくて一番喰いでがあるぞ」と言いつつ、箸を持ったまま水槽を振り返って見たが、家族の判断は正しい。そういう事態になれば、立場上わたしは最後に残ったものをオカズにしなければならないが、さすがに病気でボロボロの「オヤジJR」を口にする気にはならない。百歩譲って「段平」までである。そのとき、「これではイカン!せめて四匹とも食するに耐える金魚に育てなければ!」と、ちょっと思った。


↑病気のまんまなら喰われずに済むのか。それもいいかも(オヤジJR)
左から段平(♂)、オヤジJR(♂)、トメ子(♀)。(05.05.21撮)

 海ヤドタンク用の人工海水の素と、2本投げ込んでいるサブフィルター「ミニゴン2」の交換用フィルターが必要になったので、電車代を惜しみ30分歩いて隣駅のアクア専門ショップまで買いに行った。大体が、交換用品というのは高い。人間用の蛇口取り付けタイプ浄水器でもそうだ。本体は激安で販売されるが、交換用フィルターはその本体より高く売られている場合が多いのである。そこでわたしは交換フィルターを買わずに、新しい安売りの本体(フィルター付属)にまるごと買い替えることにしている。地球資源うんぬんを言いだせば不徳の限りだが、ああいう後から取り返し的商法にまんまと乗せられての出費は御免だ。とはいえ、ミニゴンのフィルターは買わねばならない。専門ショップなら特価品が出ている場合もままあるので、てくてく歩いた。

 アクアショップは愉しい。店の外に積まれて特価になっている120cmや150cmの大型水槽を眺めてため息をつきつつ店内に入り、淡水魚や海水魚を見てまわる。何が愉しいかというと、売られている魚の水槽に白点虫なんかを発見するのが愉しいのである。60万円也なんて値の付いているアロワナなんか特に念入りに病気を探してしまうのである。ましてや「○○様売約済」なんてのに発見すると抜群に愉しい。ニヤつきながら用品の棚をフト見れば、なんと、大型パワーフィルターが半額であった。一瞬「マズイ!」と思いつつも、前述の案件があり、もはや猶予は許されない。「せめて四匹とも食するに耐える金魚に育て」なければならんのであった。店内を二周ほど歩き回って気を落ち着かせようとしたが、脳中うわの空である。そしてついに、「ええい、ままよ!」と買ってしまった。嗚呼クレジットカードは怖い。そして消費者金融CMの娘さんの「ご利用は計画的に」の笑顔ほど虚しいものはない。

 図らずも清水の舞台から跳んでしまったわたしだが、急いで水槽に設置することはせずに、じっくり作戦を練ることにした。水槽自体の水カビは比較的ましな状態だが、オヤジJRの症状がかなり酷くなっているので、セッティングの前に少しでも快復させておいたほうが良いと考え、永らく行なっていなかった投薬を二週間集中的に施し、その間は二日置きの換水を繰り返して見たところ、なんとか元気を取り戻した。現行の主力パワーフィルターはエーハイムエコ2233で、底面濾過に中間ストレーナーを取りつけている。もう一台は60cm水槽用のフルーバル103で、こちらの吸水は普通のぶら下げストレーナーである。その2台+投げ込み「ミニゴン2」2台の4台態勢だったのだが、水槽が大きくなるわけではないのに金魚はどんどん大きくなる。この際はできるだけシンプルな構成にして水槽を広く使いたい。水中モーター方式のミニゴンは、水槽内のスペースを取るうえ、夏場は水温上昇に拍車をかけてしまうので、できれば撤去したいのである。そこで、新導入の大型機を底面濾過専用にしバクテリア育成に励んでもらい、これをズボラなメンテ周期で行く。で、エーハイムエコを大吸水口のクソ取り専用にして、こちらは頻繁に掃除を行なうという作戦を立てた。フルーバル103は旧型でメンテがしにくい(呼び水等)ので、ひとまず休養させておくことにする。


↑出費の何のとつべこべ言わずに毎日セッセと水換えしてりゃいいんだよ!(オヤジJR)

 購入したパワーフィルターはテトラの「エックスパワーフィルター120」である。どうせならエーハイム製にしてパーツを揃えたかったが、こちらは安売りされていなかった。まあ、このクラスになるとホースの口径も内径16mmの太いタイプなので、内径12mmの現行エコとはどうせ共用できないのである。スペックは流量毎時1260リットル。エコ2233が550リットルだから二倍強だ。そのかわり消費電力も22W。エコが8Wだから電気代は三倍である(泣)。濾過槽容積は12リットルある(エコは2.4リットル)から、バケツ一杯分水槽が大きくなったと考えることができ、この点がもっともありがたい。本水槽の今までのすったもんだをご存知のみなさんなら、水槽容積110リットルの75cm水槽に、この150〜400リットル用大型パワーフィルターを設置する暴挙をお許しくださることと思う。

 セッティングは6月5日に敢行した。朝早くから取りかかったが、なにぶん不器用なわたしである。ホースから吹きだす水流を顔面に被り、指先を切ったりしつつの悪戦苦闘は予想通りだったが、まる一日かかってなんとか完了した。大金魚を退避させる場所もなく、もはやこいつらを掬えるサイズの網さえ持っていないので、ウチではいつも在宅施工なのである。菌魚どもは巻き上がるデトリタスに閉口しつつも、不器用なおっさんの作業が終わるまで、じっと水槽の隅で耐え忍んでいましたとさ。



←食欲の春だ。ここんとこは水カビよりも、オレたち自身の糞尿が目に染みて辛いんだ。やい、なんとかしろい!(05.05.21撮)
←ヨウ素殺菌の効果か、他の3匹は元気だが、菌魚の元締オヤジJRのみひとり症状を悪化させていた。なので、新フィルター導入前の約二週間、連日魚病薬を投入し、オヤジJRの快復を待った。(05.05.17撮)
←新しい濾過システム。テトラEX120(写真左右とも奥)は底面濾過オンリーに使用。旧メイン機のエーハイムエコ2233(左右とも手前)は「饂飩糞」吸い込み専用機に。エコのストレーナーは暫定でアリモノのパーツを付けているが、今後吸い込み具合や水の流れなどを観察して改良を加える予定だ。(05.06.06撮)
←新システム稼働直後は、EX120が吐き出す怒濤の水流のため、狭い水槽はたちまち『菌魚洗濯機』と化した。「これじゃ安眠できーん!」という声に応えて、翌日シャワーパイプを設置し、水流を押えた。(05.06.06撮)


↑ひとたび泳ごうとすると、すぐに頭同士ゴツン!と激突するので金魚もたいへん。
> もっと大きい水槽、きぼーん!
しかーし水槽はこれ以上大きくしません。(飼い主談)(05.05.17撮)

←一連の殺菌作戦で、ジャンボ(♀・中央)は目の曇りなども取れて良い状態に向かいつつある。しかし、おっさん(左)は… Σ(;´Д`)(05.05.21撮)
←トメ子(♀)の顔の白い部分が徐々に拡大し、メヒコのマスクマン風だったのが、金魚らしくまとまって来た感じ。(05.05.21撮)
←「誰や!オレに目隠ししとんのは」(05.05.17撮)
←一般に、金魚は「水槽サイズに合わせて成長」する「デカイ水槽で飼うほどデカク」なる、と良く言われるが、わたしは以前にも書いたように、「器のサイズが小さくても飼育水の状態が良好ならいくらでも成長する」のではないかと勘ぐっている。と、いうことは……(((( ;゜д゜)ガクガクブルブル(05.05.21撮)

↓「なんか投資したみたいだが、やっぱ肝腎なのは住み心地というもんだ。
しばらく暮らしてみて、次回に辛い点付けてやっからよ」
2005/06/13 (Mon)

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