おかやどかりの飼育

18話
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二世帯住宅化 ―ついに食べ尽くされた初代ガジュマル―

↑金魚用に購入してあったセパレータを使って、2部屋に仕切った。
左のスペースが疎開中の郵便局ヤド用、右が先住者用。

 越冬疎開している郵便局のヤドカリたち三匹は、それぞれ思い思いに流木に登ったり、砂に潜ったりしている。さすがに夏から一緒に過ごしてきただけに、この三匹は実に仲が良い。ときどきは向かい合って世間話をしているような風情だし、見ていてほほ笑ましいくらいである。ところがウチの先住者の「ヤド(宿六)」は、さすがに抱きつき回数は初日ほどではないものの、所構わずガバガバと穴を掘っては中断し、また場所を変えて掘り始めるので、折角潜った局ヤドたちが掘りだされてしまう状況が頻発した。気分で潜っているのなら良いのだが、そのうち脱皮のために真剣に潜ることになるだろうから、そのときに掘りだされたのではたまったもんじゃない。脱皮不完全で脚を失ったり、死んでしまう可能性も大きい。

 三日間観察したが、局ヤドの脱皮が始まる前にスペースを分けたほうが無難だと判断し、さっそくオカヤド舎を「二世帯住宅化」することにした。こういうとき横断面が小さい(17cm×17cm)デスクボーイ水槽は作業がラクである。金魚用に購入していたセパレータの余りをハサミでチョキチョキと断面サイズに切って、おおむね6:4の比率で二部屋に分けた。この冬からヒーターをシート状の「ハイパーヒーター」に変え、水槽の背面外部に貼り付けるようにしたので、これが幸いして可能になったのである。去年まで使用していた、水槽内に置く「ストーン型ヒーター」だと二世帯化作業は困難であった。こちらは太いコードが脱走用ハシゴの役割を果たすばかりか、周囲の敷き砂をカラカラに乾燥させてしまうので、ちょっと不都合ではあったのだ。局ヤド三匹は狭いほうのスペースで恐縮ではあるが、それでも「ふるさと小包」ケースより容積は大きい。脱皮中に他の個体と出くわす可能性がないとは言えないが、「ヤド」に掘り出されない分、安全度は高いといえる。ま、人事を尽くして天命を待つ、というところか。

 この作業のついでに、ガジュマルを二代目に植え替えた。初夏にハイドロ化して水槽内に入れた初代ガジュマルは、「ヤド」の大好物で、すでにほとんど食い尽くされていたのだが、新規参入の三匹もこぞって食べだしたので、ついに枝葉が一枚も無くなってしまった。おまけに太い気根までくり貫くように食べられてしまったので根の部分は繊維だけしか残らず、水が揚がらずに根腐れを起こしたばかりか、幹部分を支えられなくなってしまった。

 そんなわけで観葉植物売り場に行ったのだが、シーズンが外れてしまった所為か、普通のガジュマルの鉢が無い。ひと鉢だけあったのが苔で装飾した盆栽仕様のものだった。これ、値段が倍以上する。痛タタタ。どうせハイドロ化して植え替えてしまうのだが、仕方なく購入した。そんなわけで、元の盆栽鉢には食い尽くされた初代ガジュマルが切り株のように植え戻されて再生を待っている。

 今回の株には「ニンジンガジュマル」との名札が付いていて、初代と比べると葉先の形がやや丸い感じがする。これも食べるのかな?と見ていたが、はや一日で気根部分が削られてしまった。喰うんだ。この二代目ガジュマルは「ヤド」のスペースに設置したが、それでは「局ヤド」たちが可哀相なので、初代ガジュマルを剪定したときに鉢に挿し木していたものを一本抜き取って、そちらのスペースにもハイドロ設置した。こちらもさっそく登って新芽を食べてしまった。う〜ん、いつまで持つことやら。


↑今年の冬はシート状の「ハイパーヒーター」に変更した。
水槽の外側に設置するので、二世帯化が可能になった。
マルカン製のMサイズ(W205×H470)を使用。表面温度30〜40℃

←無情な仕切り壁。先住者の「ヤド」(右)と「ポスト名無し」(中央)が壁越しになごり惜しそうな様子。あたしは、馬に蹴られて死ななきゃならないのか?
「郵1号」(左)は、流木の隙間を通り抜けようとさかんに奮闘中である。
←初代ガジュマルを剪定したとき、枝を鉢に挿し木しておいたら、かなり長い根を伸ばして成長していたので、一本抜き出して新たにハイドロ化、局ヤドスペースに設置した。初代ガジュマルは葉が大きく葉先も尖っている。
根元にたむろする局ヤド三匹。左から「郵1号」「ポスト名無し」「逓2号」。
←局ヤドスペース全景。右にある茶色のものはインコ用の塩土。
この夏から、砂を湿らせないドライ飼育を試みていたのだが、局ヤドが疎開してきたので一旦実験を中止。流木もたっぷり湿らせてある。
←こちらは先住者の「宿六」スペース。やや不機嫌な様子だが、住まいが狭くなったことより、どうやら「ポスト名無し」ちゃんに抱きつけなくなったことが原因のようだ。このあとふてくされたのか、水飲み場の下に潜り込んでしまった。
↑二代目の「ニンジンガジュマル」。葉先が丸くてやや小さい感じ。
2号がこちらを覗き込んでいる。(左写真)
右の写真は気根をガッポリ削り取られて、根腐れを起こしてしまった初代ガジュマル。
枝も葉も一つ残らず食べられてしまった。現在鉢に戻って養生中。再生後は二代目と交代制にするつもり。

二世帯住宅オカヤド舎全景↓
2002/11/04 (Mon)

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