おかやどかりの飼育
21話
細かな砂と粗い砂
―どちらがお好み?―
↑どちらの砂がお好みか?
また寒さがぶり返しているけれど、この時期は例年そうなんである。いったん暖かくなってほっとしたときに寒気団がやってくるので、余計に寒く感じる。ところが毎年この心構えがなかなかできないねえ。どうも忘れて油断してしまう。んなもんで風邪をひいたりしてしまうわけである。京都の実家にいたガキの頃には「比良の八荒」なんて言って、ちゃんと寒の戻りの心構えをするように戒めていたものだが、今日日は能天気なものだ。
さて、前回の当欄に記していたが、注文していた「沖縄の砂とヤドカリ用貝殻のセット」が届いたので、2月末の暖かかった日にオカヤド舎いじりをした。沖縄から送ってきた「細かな砂」といままで使っていた「粗い砂」のスペースを水槽の左右に振り分けて作り、どちらの砂がお好みか?の実験をしている。砂だけに文字通り「二色サンド水槽」である。まだ結論として発表するには観察期間が足りないが、二週間ほど様子をみた時点でのレポートを載せておく。
今まで使用していたサンゴ砂(細目)にひとまわり大粒のサンゴ砂を加えて混ぜ、水槽の右半分に敷いた。砂浜の砂との環境の差をはっきりしようというわけだ。届いた沖縄の砂は思っていたほど白くない。普通の砂色である。けっこう大粒の砂も混ざっていたので、ふるいにかけて細かなものだけを選別した。沖縄の海の塩分やミネラルを洗い落とすのは勿体ないので、こちらは洗わず、そのまま水槽の左半分に敷き詰めた。本当はもう少し砂の量(深さ)が欲しいところだが、金魚用ストレーナーを切ったときに、ちょっと切りすぎたようでやや仕切りが低い。ま、今回はこれで様子を見てからにしよう。
今まで使用していたサンゴ砂も、あらかじめ余分を天日に干しておいたのでパサパサに乾燥している。沖縄の細かな砂も湿っていない。水分は塩水に浸けた流木と、水場の水、それにハイドロカルチャーのガジュマルの鉢部分だけである。苦しそうなら注し水をすりゃいいやと、とりあえずのドライ環境である。実は流木を塩水に浸けておいたのを忘れてしまい、先に砂を敷き詰めてしまったので、本来は細かな砂のほうに流木を配置する予定だったのだが、粗目の方のスペースになってしまった。なんでか?細いのは掘るのが面倒だから。
←ひさびさのオカヤド水槽全メンテ。今回は砂の好みの実験ということなので、仕切りをほぼ中央の位置に設置した。
←「沖縄の砂」には、粒の大きいものが混ざっている。ふるいにかけて、細い砂だけを分ける。今回は洗わずにそのまま使用した。
←左側は細かな沖縄の砂浜の砂。ガジュマルの鉢はこちらに。右側は粗目の市販のサンゴ砂。流木を埋めた。こちらはいままで入れていたものよりやや大きい粒にしてみた。
←砂粒の差はこれくらい。どちらも完全に乾燥した状態でスタート。
←故郷(?)沖縄の砂を舐めて神妙な表情のヤド
六
。今のところ落ち着くのは、住み慣れた粗い砂のスペースのようだ。
てなわけで、テキトーになってしまったが、なんとか二色ヤド舎が完成。とりあえず細かい砂の方にヤドを置いてみた。洗っていないので故郷の香りがするのか、しばらくの間ハサミを埋めるようにして、砂にアタマを近づけていた。よく見ていると、砂の一粒一粒をハサミで摘み、口元に運んでいるようである。たぶん砂に含まれている塩分などを吸っているのであろう。洗わずに正解、というところだ。その後も細かな砂のスペースに行ったときには、さかんにこの行為をくり返している。ゾロゾロと歩いている間の滞在時間は今のところ、粗目のスペースのほうが長い。今までの慣れ、というものがあるのかもしれないが。
その後3月に入り気温が下がったので、ヤドの動きが鈍くなった。どうやら砂に潜りたいようで、両方の砂ともほじくりかえしだした。ところが、砂が乾燥しているので掘っても掘っても穴に砂が落ちてきてしまい、窪みは作れるものの、体を完全に埋めることができないようである。これは細かな砂の方がより顕著で、どうしても粗めのほうにチャレンジする時間が増えた。そのうち力尽きたのか、粗目の砂の窪みの上で長時間動かなくなってしまったので実験中断。注し水をして、お節介だが上から砂をかぶせてやった。この間、いちばん掘り易かったのがガジュマルの鉢部分だったので、何度も根の下に潜り込んではわたしに引きずり出される羽目になり、あげくの果てに貝殻や備長炭でバリケードを作られてしまったので、これに拗ねたのかもしれない。おかげで根をズタズタにされた二代目ガジュマルは虫の息である。
う〜ん、ドライな砂は、やはり潜りにくいみたいである。それに現在の状態では砂の深さが足りないようだ。仕方なしに右側の粗目のスペースには水を注して少し湿らせてある。細かな砂の方も頻繁に掘ってはいるのだが、今のところは、やはり潜りやすい粗目のほうにいる時間が長い。次のメンテ時には仕切りを高くして砂を多めに入れてみよう。
←新居は両方とも砂が乾いていて、掘っても掘っても潜れないので、ガジュマルの鉢のハイドロボールに目を付けたヤド。根と根の間を上手に掘って潜り込んでしまう。「これでは実験にならんし、ガジュマルが枯れてしまう!」ということで、4度ほど引っぱり出されたあげく、炭や貝殻でバリケードをされてしまった。
無念そうに見えるかもしれないが、実はこれくらいの障害物はバカ力で簡単に放り出して潜ってしまう。なので現在はかなり厳重なものに変更した。
←沖縄の砂と一緒に貝殻も20個ほど送られてきた。が、なかなか適当なカタチ大きさのものが無い。トゲの付いたようなものは好まないようなので、結局使えそうなのはサザエ系メインに2〜3個であった。物色中なのはツメタガイ系か。
←新しい貝殻があると入念にチェックし、良しと思うと入ってみる。しかし、これはキミには少し小さいんでないかい?
←物陰に隠れて何をしているところか? はい、ウンチであります。いきんでいるところです。この後、貝殻のなかのウンチを外に掻き出します。
しかし、ワキ腹のエラの線はややグロテスクですな。痩せた人間のアバラ骨みたいといえばそうなんですが。
←試しに入ってみたものの、この新しい貝殻、やはりやや小さいようで…。具合がしっくりこないのか、やたらとゴソゴソ奥を探っていた。
↑やっぱり元の貝殻のほうがいいや〜♪
この塀低いとはいえ、乗り越えるのはけっこう骨折りモノなんだよな。↓
2003/03/15 (Sat)
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