おかやどかりの飼育
31話
サンゴ砂パウダー
↑なんだ、去年の話が今頃かい。
(04.12.22撮)
ひさびさのヤド六劇場なのであります。毎年のことながら冬場は飼育者が生業に追われ、長期サイト冬眠状態に入ってしまうのでありますが、当然ながらヤド六はそんなことはお構いなし。昨年のうちにサッサとひと月の脱皮潜りを済ませ、暮れにはもう地表をウロウロしておりました。その後はおおむね三日潜っては三日顔を出すというサイクルで、現在も息災に暮らしているのであります。溜まりに溜まった半年分のエピソードをポンポンポーンと書き連ねて現況に追いつきたいのはヤマヤマなれど、こっちも齡だい。細かいところはスッカリ忘れちまったよ〜。というわけで、気の永いことではありますが、昨年暮れ頃のお話から順にご報告させていただこうかと。
さて、時を遡り昨年11月へ。出たり潜ったりを繰り返していたヤド六だが、ようやくしっくり来たと見え11月20日から長期脱皮潜り態勢に入った。こちらが忙しい時は長期潜りモードに入ってくれると非常にありがたいのである。金魚、メダカ、海ヤドと次から次とメンテが巡ってくるので、オカヤドだけでも手から離れてくれると幾分助かる。早速ヤド舎内の餌皿やいらぬ流木を片付け、温湿度のチェックのみでお気楽に過ごした。このまま3月頃まで潜り続けてくれれば言うことないのであるが、それはそれで事故死の心配をしなけりゃならないので、とりあえず2ヶ月くらいはヨロシク!と念じていたのだが、あのやろ、12月の19日に、ひと月キッカリで出てきやがった。
↑ん〜、サラサラパウダーは気持ちいいなあ。
(04.12.23撮)
天日干しは時々行なっていたが、砂洗いを永らくサボッていたので、汚れも相当なものだろう。忙しいことは忙しいのだが、ここいらでそろそろ全メンテしてやらないわけには行かない。しかし、水槽内の砂を全部掻きだしバケツで洗って乾燥させて…という時間はとてもとれない。おまけにウチは2色サンドなので、手順も二度必要である。まず水槽左側の「沖縄の砂」を洗い、右側のサンゴ砂も洗ったところで時間が尽きた。とても乾燥を待ってはいられないので、洗った砂はベランダで放置乾燥させておき、出費は痛いが、新しい砂を購入して入れてやることにした。仕方あんめ。この際一度、「沖縄の砂」よりも、もっと細かい「サンゴ砂パウダー」の使い勝手を試してみようと思い、6kgほど購入。2色サンドのメインスペースに敷き詰めた。左側のスペースには洗い終えた旧来の粗目のサンゴ砂を濡れたまま敷いた。パウダーをヤド六がお気に召さなかった場合の保険だ。
入れてから現在まで約4ヶ月を経過しているので、サンゴ砂パウダーの良い点や悪い点はほぼ見えた。今回載せている写真は、サンゴ砂パウダーを入れた直後のものである。袋から水槽にドバドバとぶちまけた状態なので、いたってサラサラの「お白州」状態。手で掬えば指の間から気持ち良く流れ落ちて行く感じで非常に美しい風情であったが、それはほんの二三日のことで、この細かな粒、直接水を差さなくても、すぐに水槽中の湿気をその粒の隙間が吸い取り、泥のような固まりになってしまうのであった。う〜ん残無い。しかしヤド六にとって、穴を掘るにはこの上なく楽ちんな環境のようで、浜辺で砂山を作るがごとく、ハサミを左官屋のように振り回して、サクサクと穴ぼこを作っている。粒が軽いうえ結びつきも強いので、作った脱皮穴の壁が崩れることもなく、快適なスペースができるようである。
↑左側は粗目のサンゴ砂、右にサンゴ砂パウダーの2色。
(04.12.22撮)
↑当初はサンゴ砂パウダー部分に水場などを配置していたが…後に変更。
↑新しい砂なんかより貝殻のほうが気になるもんね。
しかし、しかしだ。あらかじめ懸念はしていたものの、飼育者にとってはちょっと厄介な砂なのである。なにしろ細かいものだから、濡れたヤド六の体にも纏わりつき、ヤド六が動くとガラス面にベタベタ付着して汚いったらありゃしない。新月なんかの日と来たら、もはやガラス面は砂粒だらけで中が見えないほどである。宿替え用の貝殻や水入れ・餌皿などをこちらのスペースに置いておくと砂まみれになり、取りだして砂を落そうとすると、そこいらじゅうにパラパラ落ちる。そうすっとカミさんのカミナリも落ちる。なもんで、最近は流木以外は粗目サンゴ砂スペースに引っ越した。まあ、ウチの水槽が天地の低いデスクボーイなので、水槽周囲砂まみれ状態に拍車をかけているとは言える。この点はもっと深い水槽ならあまり気にならないことかもしれない。もうひとつの難儀な点はピンセットによるウンチ取りがムズイことだ。なんでか? 出たてのウンチがキナコ餅状態になってしまい、どこにあるやら良く解らなくなってしまうのであった。
で、このパウダー、汚れたらどうやって洗おうか、と言うことになるが、これ、洗うとなるとかなり大変であろうと思われる。まず水槽から全部きれいに取りだすのすら難しそう。経済に余裕のある方は「使いきり」が無難なのではなかろうか。しかし、ウチは経済に余裕なんてないので、洗って再度使うつもりでいる。今はまだその時期に至ってはいないので、期を見てまた報告するつもりだ。いずれにせよ、ヤド用の砂は2〜3セット用意しておき、ローテーションさせて使うのが合理的だ。洗浄後即使用する必要さえなければ、時間もかけられ工夫を施すこともできる。
サンゴ砂パウダーについて纏めると、穴掘り下手の不器用なヤド六にとっては、なかなか快適な環境のようである。潜りたくなればチャチャッと潜れ、脱皮ルームもヤドのお好みに成形しやすい。そして保湿力も十分。この点は○だ。しかし飼育者にとっては前述のように、なかなか厄介ということで一長一短。お値段も多少張る。つうことで、このパウダー、水槽に直接敷き詰めることを避け、深めのタッパー(2kgお米用のとか)などに入れて、普通のサンゴ砂を敷いた水槽に入れ子にするのが上手い使い方ではないかと思う。所謂、砂場を設けるわけだ。で、この砂場には用品は何も置かないようにする。このスペースで脱皮してくれれば儲け物。パウダータッパーだけ取りだせばメンテも楽々。また洗浄するときもタッパーごと出せばオーケー、隅っこに残った砂粒にイライラすることもあるまい。しかしこの方法、ウチのデスクボーイの小さなスペースではちとムリなんであるが。
←キッカリひと月の脱皮潜りを終えて出てきたヤド六は、イキナリ食い物の方へ直行。セカセカとパンから喰い始めた。いくぶん体色の青みが強くなったようだが、毎回、暫くたつと薄くなってしまう。
(04.12.19撮)
←奥が粗目サンゴ砂、手前がパウダー。パウダーが粗いほうに混ざってしまわないように、セパレータ部分を備長炭で補強したが…あんのじょう数日経つとぐちゃぐちゃにされてしまった。
(04.12.22撮)
←完全に乾燥したサラサラの状態は数日の間だけ。一切、直接の差し水をしなくとも、徐々に水を含んで「はったい粉」みたいになってしまうのであります。
←ヤド舎内の様子が、いつもと違う。何度も全体をガサゴソと歩き回って
状況
を確認中。
↑また、今回もフェンス付きか…。越えるのが面倒やがな。
←パウダーが乾燥しているうちは、全く穴が掘れないので、ヤド六は右往左往するのみである。
←しかしひとたび、水入れの水をこぼしてみれば、砂遊びにお誂え向きとなるのに気づいたのであった。
このところはベジタリアン化しているヤド六。あいかわらずガボンバが大好物のようで。
(04.12.25撮)
←パウダー表面を丁寧に慣らせておけば、動いたヤドカリの足跡がはっきり残る。ヤドの元気がない時など、夜間行動しているかどうかを知るのには都合が良い。
↓次回は1月分の話題らしいなあ。早く追いつけよっての。
2005/04/06 (Wed)
30話へ
32話へ
(c)Copyright "cave" All right reserved. テキスト・掲載画像の無断転載を禁じます。
<