オカヤドカリのヤド六を飼育しはじめてから、あとふた月で丸10年になってしまいます。大きさの割には寿命の長いイキモノだとは思うけれど、特にこれといった特別な飼い方をしているわけじゃナシ、まあ長命息災はヤド六姐さんの徳というところなのでしょう。当然ながら、わたしも一頭のムラサキオカヤドカリをこんなに長く観察し続けるのは始めてでありまして、ムラサキでもオスやヤド六以外の個体の生態、またナキオカヤドカリやオカヤドカリなどの他の種においても、同じように飼育できるのかどうかは経験がないので分かりません。しかしヤド六は、大した手も掛けずにここまで生き続けて来たわけですから、自然界でのオカヤドカリの平均寿命がどのくらいなのかはともかくも、天敵に遭遇さえしなければ、もともとがかなり丈夫で長生きなイキモノなんだろうと思います。
飼いはじめの頃は年に2〜4度ほど、脱皮潜りをしていましたが、その後、年1回の時期が数年続いたあと、ここのところはかつてのボーナスのように年2回で落ち着いています。ヤド六は、いまだかつて一度も砂上で脱皮をしたことがなく、毎回40日間前後はしっかり砂に潜って終了まで出てくることはありません。4月に入ってそろそろ脱皮の頃合いがめぐってきたようで、先週一週間ほど潜っていましたが、なにか不具合があったのか脱皮前に出てきました。でもって、ヤド舎中をひっくり返し、ガジュマルを丸坊主にしたあげく、本日ふたたび穴掘りをしております。最近は狭いほうのケイ砂入り10cmアクリルキューブを選択することが多いんですが、今日もそちらを掘ってます。しかしこの極狭ヤド舎に長く暮らしているベテランなので、そこは手慣れたもの。上手く穴を掘って身を差し入れ、仕上げにちゃんと天井を付けてしまうテクニックはお見事。砂の厚みだって6cm分くらいしか入れてないのに大した職人ワザです。
砂に潜ってしばらく経ち、カリカリ音も聴こえなくなれば、本格的な脱皮作業に入ったと判断して、デスクボーイ水槽から流木やエサの皿など余計なものを全て取り出してしまいます。あとはおよそ40日間、無事出てくるのを待つだけですから、飼い手にとって最も楽ちんな期間です。特に今の時期はもう保温の必要がないので、ときどき湿度にだけ気をつけておけば、他の生物の水槽のケアに専念できます。ヤド六の場合、約40日間の脱皮潜りが年2回ですから年間約80日は手のかからない期間があるということになります。これが陸ヤド飼育のありがたいところ。しかしま、こうのんびり飼っていられるのも一匹しかいないからでありまして、複数を同じ水槽で飼育していると干渉その他でこうはのんびり行きません。ヤド六10周年祝いに伴侶と見合いをさせてやろうかと思うこともありましたが、このままこの個体の観察を続けるためには、やめておいたほうが無難だなあという考えが現時点では大きくなっています。しかし個体の採集や購入なんてのは、すべて「出会い」と「衝動」に左右されますので、結局どうなるかは分かりませんけどね(笑)。
年明けて2009年の春になりました。 ←昨10月の脱皮完了以来、ずっと地上で過ごしてきたヤド六。飼い主からしてみれば、厳冬の時期に潜っていただくのが一番扱いやすくてありがたいのだが、どうもここ数年のヤド六の脱皮ローテーションは冬からずれてしまっているようだ。食事療法で修正が可能かもしれないけれど、まあムリはすまい。冬季をずっと起きていられると、ベランダで養生中のガジュマルも一輪挿し用に伐れる枝が少なくなってしまい好物お預けの日々が続くのだ。だんだん暖かくなって来たのでホームセンターを覗いたらミニハイドロの株があったので購入。こいつを丸ごと水場にドボンして、ベランダのガジュマルが繁るまで時間稼ぎをしようという魂胆だったが、あにはからんや一週間たたずに丸禿になりました。写真は水槽に入れた直後だが、さっそく狙ってますね〜。 (09.03.08/以下同日撮影)