おかやどかりの飼育

44話
トップページ ヤドログ 金魚 オカヤドカリ 海ヤド

九度目の夏がやってきた
〜ヤド六・本年度第一回目の脱皮無事完了〜


↑5月1日にことし一回目の脱皮潜りを敢行したヤド六だが、6月9日無事に地上に復帰。
さっそく餌場に向かい、空腹を補うべく食事に没頭。
(08.06.09撮)


 4月9日に数年ぶりに貝殻をチェンジしたヤド六。至極満足の様子でおニューのマルサザエに治まってしまった。そして5月に入ったと思ったら、そそくさとサンゴ砂パウダー入りの脱皮用ロフトにお潜りに。急に大柄な貝に引っ越したので、当ヤド舎名物の超狭い脱皮床(200×100×100mmアクリルボックス)に上手く全身を潜り込ませることができるのかがやや心配だったが、そこはさすがにココで辛酸舐め尽くしてきたヴェテランである。なんなく体を隠してしまった。

 それからおよそひと月たった6月3日、春の陽気にサンゴ砂パウダーが乾燥して、ふいに脱皮洞の天井が崩落。隠遁中のヤド六の姿が露になってしまった。「もうそろそろいいや、腹減ったし」と、潜り日程を変更して起きてくるかと思ったが、そのそぶりなし。結局、穴空き天井のまま6月9日まで意固地に出てこなかった。前回と同じ40日キッカリを砂の中で過ごし、予定の日数は厳守、というところか。まったく強情なヤドカリだ。
 
 今回の脱皮で注目していたのは、1月にブチ切れた左右の第二触角の再生ぐあいだった。見てみると右側はおおむね平常時の状態まで復活したが、左側はいまだやや短く、先端がプツリと急に断たれたような切り口のままだ。しかし脱皮前はそれが根元近くの位置にあったのが、ずいぶん長くのびた先にまで移動している。ということは触角の再生つうのは、根元の方からトコロテンのように押し出されてくるモノなのだろうか?正しいところはよくわからないけれど、また機会があれば追加観察をしてみたい。ともあれもう一度脱皮を行えば両方とも完治しそうな感じ。でもそれまでに悪ふざけが高じて、また切ってしまいそうな気もするが。

 そして6月26日は、ヤド六の我が家への来宅記念日である。買ったのが1999(平成11・皇紀2659)年だから、9周年か。これ、むかしなのか最近なのか微妙なところだが、はて、何があったトシ?と調べてみると、ノストラダムスが「1999年7月に世界が滅亡する」と言った年で…1.31ジャイアント馬場死去。4.7西武の松坂(現:Rソックス)プロデビュー。4.11知事選に石原慎太郎・横山ノック当選。8.14丹沢でキャンプの13人流され死亡。9.21台湾大地震発生。10.28ダイエーホークス初の日本一。11.24外国産カブトムシクワガタムシ44種の輸入が解禁。12〜.2000年問題ですったもんだ。ヒット曲:だんご三兄弟、First Loveほか。ヒット商品:iMac、ヴィッツ、五体不満足、AIBO、宇多田ヒカル、ファービー人形、ポケモン金銀ほか。大河ドラマは元禄撩乱。総理は小渕恵三はん。やっぱりえらい昔やで、姐さん。



復帰一週間前のトラブル
↑ヤド六が地上に姿をあらわす約一週間前、脱皮用ロフトに異変が…。
ってそんな大層な事でもないが、サンゴ砂パウダーが乾燥により自然に陥没。
穴があいてしまった。奥の方におネンネ中のヤド六の貝殻が見える。
(08.06.03
撮)
↑暗いので別角度(反対側)から撮影してみたが、体は見えず。
この時点で潜り後ひと月以上経過していたので、これをキッカケにして
もう出てくるかと思ったが、結局9日まで動かないまま。頑固なヤツだ。
(08.06.03
撮)


↑「さあ!でたぞい。早くメシ喰わせろ、やい!」
…わかったわかった。用意するからちょっと待てい。
しかしこのカットはお口(顎脚)のようすが良く写っている。普段はこうやって畳んで収納してるのね。
(08.06.09撮)

おっはようございま〜す!えらいごぶさたで…
↑やれやれ、今回も無事、成功してくれたか。
脱皮ばかりはこちら(飼い主)はただ待っているしかないからなあ。
さて、前回ブチ切れていた第二触角は再生したかな?
(08.06.09
撮)
↑ 右側のはほぼ完全再生が完了したもよう。
根元近くからプっチン!していた、左の第二触角だが、
こちらはまだ少々短い。もう一回の脱皮が必要みたい。
(08.06.09
撮)
↑ほぼ根元近くで寸断されていた左の触角は再生後、長さも足りないが、
先端の形状もいくぶんスパンと断たれた感じのまま終わっている。
普通は段々細くなるんだがねえ。再生のしくみに理由があるのかな。
(08.06.09
撮)


↑永らく姐さんとお付き合いしてきたけれど、毎日見ていると変化にはなかなか気づかない。
しかし古い回の写真を見ると、さすがに徐々に大きく育ってきたのがわかる。
(08.06.09撮)

触角をよく見てもらうベし
↑というわけで、完全!というわけにはいかなかったようですが、
脱皮一回で、まあまあ再生いたしましたデス。
(08.06.09撮)


ヤド舎全景も見てもらうベし(キタネエ)
↑右端が少々断ち切れておりますが、あいかわらずレイアウトに変化なしのデスクボーイ陸ヤド舎であります。
ヤド六の入居貝殻がかさ高くなったぶん、その閉塞感は五割増、てなところでしょうか。
左の大ロフトはサンゴ砂パウダー入り(今回はこちらで脱皮敢行)。右の小ロフトは沖縄の砂入り(りゅうか商事)。
(08.06.09撮)

脱皮を終えればメシを喰わねば!
↑40日間も、てめえの脱皮殻だけで喰い継いでいたもんだから、お出まし直後は毎回「超空腹」の状態である。
こちらも、脱皮という人間には想像もできないような大袈裟な保健行為を行うからにゃ、さぞかし栄養も不足しているだろうと、
ヤドカリ向きトクホ食品を見繕って出してやりたいのは山々だが、いつも急に出てくるもんだから用意がないんだよ。
てなわけで今回もあり合わせの塩蔵ワカメ、味噌汁の実のシジミ、カステラ。+煮干の袋の底に残っていた屑のふりかけ(笑)。
(08.06.09撮)

腹、減ってます!

←「め〜し、メシメシメシめしっと!」。
餌場はどこだったっけ!と迷う必要がないところが、劣悪うなぎ寝床のウサギ小屋、せま〜いデスクボーイの良いところだ(笑)。もう9年も暮らしているから、場所はすっかり憶えてるもんね〜、と一目散に皿までやってくる。
(08.06.09/以下同日撮影)
←ごはんをがっつきつつも、第一触角をピン!と立てて周辺状況をスキャン。
実は、飼い主が医者に断煙を宣告され、最近はよくふてくされて「禁煙パイポ」をくわえてるのですが、そのハッカ風味を感じるとに常に「爆」反応するヤド六姐さんなのでありました。ただし反応するのは第一触角だけ。ふ〜っと吹いてやると「手裏剣しゅっしゅっしゅっしゅしゅ!」と、まるで「エド・はるみ」のようにせわしく動かすんで、わはは、おもろい!
でもこれ、まあ虐待ですからね念のため。


↑見よ!脱皮したてのおニューの甲殻は、さも湯上がりの生娘の肌のように、しっとりしなやかで保湿度十分。
姐さん、粧しましたねエ。人間の姐さん連にはさぞかし羨ましいお肌の若返り法だろうなあ。
てなこちらの感慨など、気にするそぶりもなく塩蔵ワカメをがっつく姐さん。お肌にも良さそうですネ。
(08.06.09撮)

さて、6月26日は来宅記念日〜♪

←「それがどないしたんや」。てな感じですが。
姐さんまあそう言わんと。思えば1999年6月26日、京都伏見の商店街に出ていたテキ屋から購入してまる9年。一緒にやって来た兄弟分たちはその夏のうちに他界してしまいましたが、ヤド六一匹生き延びて、現在こうして元気にご来訪のみなさまのご機嫌を伺っておれますのも、ひとえに飼い主の(もとえ)…、みなさまのあついご支援の賜物と感謝いたしております。でも正味の話、当時の飼育情報サイト「ヤドカリ研究所」「ハートミットクラブ」「ウェブデザイナー雑記」さまのおかげです。yamさん、とれもろさん、girotさん、おおきにです。ヤド六は今日も元気です!(他にもお世話になったみなさんは多数ありますが、キリがないので略させていただきます。ああ俺もアタシもずいぶん面倒見たよ〜と、おのおので納得しとってください。)ありやとやんした。これからもよろしくです。
(08.06.26/以下同日撮影)

←記念日ということなんで、いちおう当日記念撮影をしてみたが、別に9年たったからといってなんの変化があるわけじゃなしねえ。現在の満年齢は、やってきた時が何歳だったかによるだろうけれど、タマゴから1〜2年で売られたと見て、10〜12歳というところか。ちまたで売られている、超弩デカイ連中(ムラサキオカヤドカリの)とヤド六の大きさを比べると、あいつら、どう見ても30年近くは生きていると思わざるを得ない。大きいのを購入して飼われている方は、せいぜい大事にしてやってね。場合によりゃ飼い主より年上かもでっせ。
←長い間、迷いに迷い抜いたあげくに決定したとあって、ヤド六はこのマルサザエをいたくお気に入りのご様子。確かに表面もキレイだしカタチも色合いも美しい貝殻ではあるが、ヤド六には少々大ぶりなうえ、見かけよりかなりズシリと重いのだ。にもかかわらず、引越し以後貝殻ハウジングセンターを開設しても、他の貝殻をまったく見向きもしなくなった。よほど当たり!だったんだな。まあ結構なことだが、苦労して買い溜めた他の貝殻はどーすんじゃい!


↑ウチの場合、ヤド六の脱皮潜り中は、ヤド舎内の不要な用品を全部外に出して片付けてしまっているので、
イザお目覚めとなると急に忙しくなる。流木の設置やガジュマルの枝伐りもそうだ。
ベランダで伸びた枝をチョッキンしてきて一輪挿しにするが、空腹のヤド六にかかると、持っても二日くらいでまる裸。
(08.06.09撮)

いつまで生きる?
↑「ま、てきとうにね」
(08.06.26撮)
↑「生きてりゃ、夕日もきれいだしね…」
(08.06.26撮)


↑10周年まで生きられるかどうか…は、ヤド六次第。それまでに危険な脱皮を二回もクリアしなければならない。
まあ、首尾よく生き続けてくれれば来年は節目のトシだし、なんか褒美を考えましょうかね。
大水槽が欲しい?…それとも若いつばめ?
(08.06.09撮)



↓この緑のマルサザエ、見る角度によっては旧大日本帝国陸軍のメットみたく見えるなあ。
この写真なんか「南方・ガ島のジャングルを行軍するヤド六二等兵」てな風情やで。
ま、国産ムラサキの面目躍如か。
(08.06.09撮)
2008/07/03 (Thu)

43話へ 45話へ

(c)Copyright "cave" All right reserved. テキスト・掲載画像の無断転載を禁じます。