おかやどかりの飼育

43話
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4年ぶりの宿替わり


↑あら珍しや。宿貝の選択には相当の拘りを見せ、一筋縄でいかなかったヤド六姐さんが、今回は購入後、即ご愛用に。
いままでの優柔不断を尽くしたうえの結局ヤメ、というのは、ありゃ一体なにが気に入らなかったのか?
(08.04.16撮)


 もうここんとこず〜っと話題の乏しかったヤド六が珍しく貝殻を替えたがったので、待ってましたとばかり前回前々回は引越の話題ではしゃいだ。それらの記事の写真にあるように、当陸ヤド舎常備の宿替え候補貝殻は、前々から結構細かなサイズのグラデーションで取り揃えており、それらのほとんどは当のヤド六が一度は下検分を終えたものである。しかし一旦試しに入ってみてもすぐに元の貝殻に戻ってしまうのを見て来たから、こりゃ単に貝殻の大きさだけではなく、なんや知らんけど微妙に拘らにゃならんトコロがあって、わたしがセッセと集めて来たこれらの貝殻は、すべてお眼鏡にかなわぬガラクタばかりだと、不首尾を突きつけられたような気になっていた。

 試し宿替えのたびにちらりと見えるそのグロい腹部は、外から想像できるよりはずいぶんボリュームたっぷりで、下手すりゃわたしの人差し指第二関節から先くらいもある。いくら入り具合の案配が良いとはいえ、年に二回の脱皮のたびにカラダはじんわり膨張してきているわけで、いつまでも現貝殻に頑固を決め込んで治まっているわけにも行かなくなって来たのだろう。このところのやや焦りの色を帯びた、頻繁な宿貝の物色行動にのっぴきならぬものを感じてはいた。もう替わりたくてたまらんのに適当な貝殻が無いのなら、飼い主としてもなんとかしてやらねばならぬ。街へ出るたびに貝殻の入手を気をかけるようにしていた。

 で、4月9日のこと。所用でミナミ方面へ行ったついでに大規模雑貨屋で貝殻を物色した。今日日の貝殻は大概が個別にビニール包装されて販売されているので、買う前に貝の口から指を突っ込んで中の案配を調べてみる訳にも行かず、よしんばそんなことが出来てもヤドカリの感じる居心地の案配などはわかる訳もなく、せいぜい貝の種類と大まかな大きさと重さ、穴などの破損のあるなしくらいしかチェックできないのである。ヤド六の好みの貝種はサザエ系に限られていたので、ほとんど大きさと重量感だけを見て、あとは気に入られることを祈るばかりでエイと選ぶ。今回は、外海にいるいわゆるつぼ焼き用の刺付きサザエの貝殻の微妙な大小の2個と、深い緑色の滑らかな表面でずっしりとした量感のあるマルサザエを1個購入した。今回の3個購入で、候補貝殻の総数は15個近くになった。数を打つしかないものの、当たる保証も全くない。

 帰って来て、とりあえずマルサザエだけをヤド六の眼前にコロンと転がしてみたら、すかさずこのおニューの貝殻をチェックしだし、念入りな調査ももどかしいような仕草でスッポンと速攻宿替わりをしてしまった。4年あまりも愛用し、最近もいろいろ優柔不断をかましつつ戻っていたコシダカサザエの貝殻が、ポイと邪険に放り出されている様子をみると、今度こそマジの『お気に入り』に当たったような感じである。以来、今まで一度も戻るそぶりなし。なので、今回はそのご報告の一話ということに。「たいしたネタはなくっても、溜めずに軽快な記事作り」鋭意実践中つうことで。



ひと夜が過ぎたが…
↑この貝殻をヤド舎に入れたのが4月9日。
一夜明ければどうせまた元に戻ってるんだろうと翌日見れば…
おや、ソノマンマだね。何気にシラスを喰うヤド六。
(08.04.10
撮)
↑このおニュー貝殻、実は結構大きい。
前42話の時の貝殻番号で言うと、DとEの中間くらいだ。
それなのにいつもの「お気に入り」の場所にすんなり納まっている。
表面がツルツルのせいかなあ?
(08.04.10
撮)


↑新しいお家はまたもや一時の気まぐれではないのか?という疑いがあったので、
宿替え用貝殻を並べた「仮設運動場」でまる一日散歩させてみたのだが、4年間愛用の貝を含めて全然シカト。本気だな。
(08.04.16撮)

前回ヤ〜メタの貝殻とどこが違う?
↑さて、上の写真がこのたび新規購入即採用となったマルサザエ。
下の貝殻(前回入るも結局不採用)と比べて外見の違いを探すと…。
大きさ重さは上のほうが一回り大きいくらい。
貝の口のへり部分が一直線でギザギザしていないことと
貝殻表面の筋の突起が少なくて、艶があることが目立つ部分だが。
そんなところで選んでいるのだろうか?
まあ、肝腎の内側の按配の違いまではわからないけどね。
(上写真:08.04.16撮/下写真:08.03.22撮)

新居をよく見てもらうベ
↑上からはこんな感じでごんす。
グリーンメタリックなちょっとええ感じで。
(08.04.16撮)
↑ついでに後ろ姿も見てもらいやしょう。
一本の太い白ラインが螺旋を巻いております。粋ななあ。
(08.04.16撮)

潜り性能をテスト中
↑うっとこの陸ヤド舎の脱皮床は超狭いので、よっぽど上手に潜らないとカラダを全部隠すことができないんす。
で、これにはかなりのテクニックを要しまして、前に棘のあるサザエに入ったときは、棘が砂とさし障って
上手く潜れなかったのでありました。いざ脱皮を催してからでは遅いんで、ゆえにこの貝で、ちとテスト潜りを。
(08.04.22撮)

←「エッサ、コラサ、と」。
この貝は大振りだけれど表面が滑らか。砂の抵抗をつくりにくいから難なく底の方まで潜っていけそうだ。大ロフトには現在サンゴ砂パウダーが入っている。
(08.04.22/以下同日撮影)
←この貝殻、商品に付いていた品名ラベルには「マルサザエ/¥200」と書いてあった。わたしには「コシダカサザエ」や「チョウセンサザエ」などとの区別の仕方が良く分からなかったので、ネットで調べてみたら『大島町貝の博物館』サイトのリュウテン科のところに、写真入りの説明を見つけた。でも分類の詳細までは良くわからない。貝殻売り場の名付け方も結構いい加減なようで。
←程よく湿ったサンゴ砂パウダーのロフトなら、穴掘りは楽勝。ただサンゴ砂中目あたりより粗い粒になると、潜る難度はアップしそう。この日はテスト潜りだけだったのか、すぐに止めて砂から出てきた。

マ・ヌ・ケ・顔
↑「ふい〜、長い間窮屈だったが、ようやく開放されたわい」
(08.04.24撮)
↑何とのう、「熱海の海岸、青松に名月」てな風情だな。
正しくは、サンゴ砂パウダー、ガボンバに温湿度計、だけんど。
(08.04.24撮)


↑新居も決まったこったし、早いとこいっちょう脱皮潜りをやらかして、
そのブチ切れた第二触角をなんとか再生させんことには、みっともないぞ。
(08.04.24撮)

↓さて、この貝殻で何年粘れるかなあ。
(08.04.24撮)
2008/04/29 (Tue)

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