おかやどかりの飼育

41話
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ヤド六のゆるやかな日々


↑脱走を企んだのか、あたしが入院で不在の間に、第二触角を両方ともプッツンしてしまったヤド六。
目撃者によると、天井の枠とガラス蓋の隙間にヒゲを挟んで手足を離し、ぶら下がっていたらしいが…。
(08.02.12撮)


 はい。大変ごぶさたのヤド六姐さんでございます。

 2007年の下半期も、姐さん、あいかわらずのんびりだらだらと過ごして参りました。とりたててご報告する新発見も新情報も新設備投資もありません。放ったらかし飼育をされるのもコレ幸いと勝手気儘のマイペースで生きております。以下に写真でご覧いただきます通り、10月にトチ狂ったように三日間のみ棘付きサザエに宿替えしたかと思えば、その二週間後にはこの年二度目の脱皮潜り。脱皮で既存貝殻はますます窮屈になったと思うのに、その後は一向に宿替えしません。年が変わってから、飼い主の入院不在の間に、触角を欠損してしまいましたが、姐さん、全く気にしている様子はありません。そして今日現在も短くなった第二触角をフリフリしながら、狭いデスクボーイの天井を雲梯して遊んでいます。実にシブトイやつです。

 一匹のみで飼っている健康なオカヤドカリは、他の個体に干渉される心配がありませんから、よほどのことがなければ死なないですね。ヤド六もこの夏で来宅10年になります。目出たいと言えば目出たい。でも飼い主からすると長生きするのも考えものです。いや、もう少し高等なイキモノであれば、長生きは非常に結構なんですけれど。つまりもうちょっと懐くとか、餌をねだるとか、愛想をふりまくとか、そういうことをやってくれて、しかも20年30年と生きてくれるのなら、付き合い甲斐があるというものです。飼い主のよき伴侶になります。陸棲という生態もサイズ的にも価格的にもペットとしてこんなに手頃な生物はなかなかいないでしょう。

 が、はっきりいってこいつら無脊椎動物です。まあ低能です。アホなんです。全然懐きません。10年飼っても飼い主を見知りません。いつまでもビビっているばかりです。確かに、小さな水槽に砂を入れて水と餌を与え冬場に保温してやるだけで勝手に成長してゆきます。脱皮をくりかえす度にだんだんカラダもハサミもでかくはなってきます。しかしその変化たるや、ジリ、ジリ、ジ、ジ…てなもんで、月単位ではとても視認する事ができません。要するにコイツら、大して面白くも代わり映えもしないくせに、いつまでもウチに、何年も何十年もず〜っと居るんですよ!まるで置き物のように。いや、盆栽と言った方が近いか。でも盆栽よりゃ世話はかなり楽でしょう。愛想のない、限りなく置き物に近いイキモノです。コイツらは少し動きますが、健康さえ保っていれば、自分で脱皮を失敗してくたばるまで、ず〜っと少し動く置き物のように我が家に存在し続けてゆくのです!下手すると、こっちが先に逝てまいます。実際、今回ちょっと嵌まりかけたんですが、そのせいでこの思いがさらに強くなりました。オカヤドカリ飼育は恐ろしい趣味です。相当の覚悟がなければ始める事は危険です!

 あとどんだけ生きるつもりやねん、姐さん。


↑あら珍しや。めったに貝殻を替わらないヤド六が、
三日間限定の宿替え。ま、三日だけじゃホテル滞在みたいなもんだな。
(07.10.11撮)


↑今の貝殻(茶色のコシダカ)には2003年からずっと入居中。カラダもでかくなったこったし、
かなり窮屈なんだろうと思うが。アンタこの際もうこれにしといたらどうかね。
(07.10.11撮)


↑いちばん奥まで引っ込んでみたり、うんと身を乗り出したりして
居心地を入念にチェックする。もうこれにしとき。
このサザエなら当分使えそうやし、ごっつええ感じやと思うけどなあ。
(07.10.11撮)


↑「う〜ん。いつものコシダカよりこのサザエのほうが広い割に薄くて軽いし、いいんだけどな〜。
しかしデスクボーイは狭くて、動き回るのにトゲが邪魔やな〜」…そうか狭いのか。替わらんのは儂のせいか。
(07.10.11撮)


↑いつもなら試しの宿替えは一時間程度で元に戻るんだが、今回はなかなか元の貝に戻る気配がない。
そんなら折角だから専用運動場に出て記念撮影でもしようか、つうことで60cm旧金魚水槽跡地にお出まし。
(07.10.11撮)


↑ヤド六形式写真風(笑)
しかし貝が変わってもやっぱりどこか貧相だなあ。
(07.10.11撮)


↑流木上から、なにを眺める、なに想う?
(07.10.11撮)

お約束の(もう大概見飽きたような)スナップです。
↑歳とってくると脂っこいもんより、アッサリしたもんが美味いわい。
と、水草をつまむヤド六。
(07.09.28撮)

←金魚どもの水槽の掃除があると、大量の水草クズが発生する。これを捨てずに陸ヤド舎に放り込んでやるのがいつものパターンである。なんたってヤド六の大好物だし捨てるのは勿体ない。アマゾンソードなど葉の堅いものはあまり好まないが、アナカリスなどは茎まで食べてしまう。なかでもガボンバが一番好きなようだ。食用の蔬菜や果物よりもがっついて食べます。
(07.09.27撮)
←こんどはリンゴをツマツマ中。ヤド六の好みを見た限りでは、果物の中ではやっぱりリンゴとナシが一番食いつきがいいような感じ。柿もまあまあ好き。喰わないことはないのだが、バナナやメロンやスイカは無視して通りすぎてしまうことも多い。メロンやスイカは水っぽ過ぎるのが敬遠の理由か。柑橘系はほぼシカトします。
(07.09.27撮)
←大好物の水草、ガボンバを几帳面にハサミで千切り取って次々に口に運ぶ。もう「やめられないとまらない」てな感じ。金魚の水槽中に植わっているうちに強烈なコケ臭さが滲みついているのだけれど、その匂いがお気に入りなのかもしれない。
(07.09.28撮)
←でも水草の魅力もガジュマルには敵わない。一輪挿しの上を跨ぐ流木にどっかと腰を据えて、ジャンジャン千切り食い。一度に葉の二三枚くらいはぺろりと食べてしまうこともある。
(08.02.12撮)


↑う〜ん、このトゲ付きサザエ、果たして姐さんに似合っているのかどうか。
飼い主としては見かけに変化がでるのはありがたいが、どうも貝に着せられているような風情が…
(07.10.11撮)

←別にあたしが着替えるように仕向けたことはないのだけれど、突然の宿替え。翌日になっても元の貝に戻らないというのは、なんと4年ぶりのことだ。ヤドカリの気分なんてのはサッパリ分からないが、この日は確かに新月大潮ではありました。しかし結局三日後に元の貝にお戻りに。な〜んだ。
(07.10.11撮)
←専用運動場の流木に登って、遠い目をするヤド六。脳裏に潮騒を見ているのか? この日の大潮をいったい何処で感じているのだろう。
(07.10.11撮)
←飼い主のヨロコビもつかの間、三日後に元の貝殻にご帰還。確かに一時は前の貝殻を隠してしまおうかとも思ったのだけれど、今までの例から、絶対元に戻りたがると思ったので意地悪はやめておいた。あんのじょうでした。
(07.10.14撮)
←珍しく貝殻を変わってみたりして、なんだか落ち着かないやつだと思っていたら、12日後の10月26日、大ロフト(沖縄の砂入り)に潜っていった。4月〜5月に潜ったばかりだから、もし脱皮潜りだとすれば結構早い周期になる。しばらく様子を見ていたが、どうやらお遊びではないような雰囲気で出てくる気配無し。んだば、お掃除のチャンス到来!つうわけで、おネンネ中のロフトをそっと外に出し、ヤド舎の全パーツを風呂場で丸洗い。きれいになったヤド舎にロフトのみを戻す。ガラ〜ン。
(07.11.04撮)
←しばらくは上写真のように大小ロフトのみ置いておいたが、流木を出して外に置いておくのも場所をとって結構邪魔なものだ。数日、日光にも当てたのでもうよかろうと、お湯に浸け塩揉みをして一部をヤド舎に戻す。水入れと食堂ユニットも配置した。ヤド舎内の湿度が上昇してガラスが曇る。まわりでガソゴソと作業したにも関わらず、ヤド六は爆睡中?
(07.11.04撮)
←ヤド六もカラダが大きくなったもんで、このロフト(10×10×20cm)では、かなり心許ない砂の量なのだが、なんとか毎回無事成功してくれている。ま、もうこの環境に慣れざるを得ないということかな。
(07.11.08撮)


↑はい、2007年2度目の脱皮潜りも無事完了。12月10日、ようやく出てまいりました。背の青み若干アップ。
今回は10月26日〜12月10日でつごう45日間。春の潜りが46日だったから測ったようにほぼ同日。潮汐の関係ですか?
(07.12.10撮)

←さて、今回の脱皮でも少しは成長したのかな。脱皮前に、気まぐれでも三日ほど貝殻を替えたこったし、今の貝殻はさらに窮屈になったに違いない。また替えたがる可能性が高いので、気分良く替われるようにと、予備の貝殻をお湯で洗って回りに置いてやった…が、野郎!全然シカト。
(07.12.10撮)
←更新せねば…と思いつつ暮れの仕事ラッシュでできないまま。あらら年が変わってしまったと思いきや、飼い主入院でまた延び延び。不在の間、ヤド六は家人やガキどもにメシを喰わせてもらっていた。金魚や海の生き物は世話に多少心配があったけれど、ヤド六に限っては放って置いても全然大丈夫である。この写真は飼い主復帰後の撮影。
(08.02.12撮)
←飼い主入院中に、貝殻くらい変わっているかと期待したが、前のまま。様子を聞くと、貝殻を調べる気配すらなかったらしい。でも、あいかわらず元気である。
(08.02.12撮)
←久々にガジュマルの新枝を追加してやると、熱心に食べに行く。夏はどんどん繁るベランダのガジュマルも冬場はさすがに元気がない。そうそうは伐れないぞ。姐さん、大事に食べるようにたのんます!
(08.02.12撮)


↑飼い主のルス中に、第二触角を欠損してしまった。左は根元近くからプッツン。右も先が切れて前より短くなっている。
永年飼ってきたが、こんな事故にあったのは初めてだ。ま、次の脱皮で再生してくれるでしょう。
(08.02.12撮)


↑ルス中、天井のガラス板と水槽枠の間に触角を挟んで、ぶら〜りぶらぶらと揺れていた日があったそうな。
そんなアホなことして遊んでたらそら切れるわい。しかし、家のもんも助けたれよ!なあ。
(08.02.12撮)

↓「反省!」。
アンタ最大に引っ込んでもこの状態なんやけど、ホンマにいつまでもこの貝殻でエエんかい?
(08.02.14撮)
2008/02/22 (Fri)

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