レトロガラクタ偏故洞
駅弁当包装紙
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駅弁当包装紙17
旧国鉄 信越本線 直江津駅 幕の内弁当(400円)
1974(昭49)年3月22日
北海道への貧乏旅行は、まず大阪駅のコンコースに設置された『急行きたぐに・青森行』プラカードを先頭とする行列に並ぶことから始まる。501レ「きたぐに」はAB寝台車5両(新潟まで)に普通車自由席5両、指定席・グリーン車各1両、しんがりに郵便車と荷物車の14両編成。北海道ワイド周遊券で追加料金を払わずに青森まで旅をしようと思えば、5両しかない普通客車自由席を確保しなければならない。ホームでの争奪戦を避けるために国鉄は整理乗車をさせていた。大阪発22:10分、電気機関車に牽かれた客車はゴトゴトと闇の日本海縦貫線を北に向かう。糸魚川あたりで夜が白み、直江津に6:06分着。出発は26分で発車までに20分の時間がある。腹も空く頃合いである。朝一の作り立て弁当は御飯が美味い。となると駅弁を買わない手はない。そうして食した幕の内弁当がこの『佐渡とおけさと御弁当』というわけだ。(「急行きたぐに」の旅のその先については後日、青森駅の駅弁を紹介するときに置いておく)北陸本線がここで信越本線と合流するジャンクションというワケで、直江津駅の駅弁は昔も今も多種多彩である。この駅弁は「いかや旅館」謹製。ホテルセンチュリーイカヤに業態を変えたが、現在も数多くの駅弁を販売している。
さて、掛紙である。スタジオでのモデル撮影。しかも背景ホリゾントに佐渡おけさ踊りの映像を投影しての一発撮りだ。ちょっとライティングとストロボの使い方が安直なような気もするが、当時の駅弁掛紙用特撮フォトとしてみれば、かなり気合いの入ったディレクションと言えよう(案外ストックフォトかもしれないが)。このあたりの力の入れようは、やはり空前の「DISCOVER→JAPAN」ブームが後押ししているように思われる。しかし弁当の内容が全く想像できませんな、残念。
この駅弁、実は300円の価格表示が印刷されているのだが、上からペタリと400円のシールが貼られている。値上げ直後。購入後それに気付いた貧乏旅行者のわたしは、たぶん泪を流して悔しがったに違いない。ま、そんなことはどうでもいいけれど、このモデルの娘さん、今どうしていらっしゃるのかは若干気になる。
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2006.12.08