おかやどかりの飼育

07話
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孤独のオカヤドカリ

 
010527
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 オカヤドカリを飼育しだしてこの夏で丸2年になる。一緒に買った2匹はその夏のうちに死んでしまったので、彼(彼女?)はずっと孤独の日々を過ごして来たことになる。買った当初は、カサコソとさかんに動き回り、入れてやった木の枝にもすばやく昇り降りし、また脱走も日常茶飯事だったのに、最近はいやにのんびりしている。

 自分の人生を悟ったのか、老成したのか、知る由もないが、暖かくなって地表にでてきていると言うものの、その動きはどっしりと腰が入っている。いやに落ち着いているのだ。
 もはや水槽の隅々まですべて調べつくし、脱走の可能性も検討しつくした結果、のんびり怠惰に余生を生きることを決めたような感がある。
 具合が悪くて元気がないのではとじっと観察してみたが、黒光りした糞をそこここにしているし、やはり「達観」したというほうが正しいように思える。
 そうなると、もう一度活発な日々を過ごさせてやりたくなるのが、里親としての人情ではあるまいか。なんでも、故里の浜辺では、仲間と数珠つなぎになって貝殻を争ったり、団体で海に放仔に赴いたりしているそうではないか。
 昨夏も、ヤドカリの露店商がでていたら購入しようと気にかけていたのだが、タイミングが悪かったのか、出会うことはなかった。

 ペットショップやホームセンターのオカヤドカリは仕入れ直後はいざ知らず、売れ残った状態になると、どの個体も元気がなく、ちょっと購入する気にならない。その点露店商の金盥の中で時折水をぶっ掛けられながら、ひと塊になって蠢いているヤツらは元気そのものに見える。 
 今年の夏も、運良く露店商に出会うことができたなら、お仲間を2匹ほど加えてやりたいと考えているが…。

 もうひとつの構想は、いまウチにいる3匹のホンヤドカリ(海のヤドカリ)と同居させることはできないだろうか?という考えだ。
 オカヤドカリは陸棲といえど、浜辺の貝殻を宿にしたり、海で幼生が繁殖したりするのだから、海水に住めない訳ではあるまい。海水の水槽に広い陸部分を設ければ、同居も可能なのではないかと思いついた。問題は真水の必要性だ。必要な水分を真水同様に海水でも賄えるのなら、ずっと飼育の可能性は高まる。
 そのあたりのことを少しずつ調べながら、オカヤドカリとホンヤドカリが同居できる水槽環境を実現できれば愉しいのではないかと思っている。
 オカヤドカリが海水で行水し、ホンヤドカリも砂地で甲羅干しする。てなことがあれば微笑ましいではないか。ケンカもするかもしれないが、ま、似たような仲間だし、興味深いところだ。
 この件に関しては今後も、詳しいことが解るにつれ、当欄に記してゆこうと思う。
 しかし飼育条件が解明しても、その混合飼育が実行に移せるか否かは、わたしの経済状況に大きく左右される。ま、いつになるかは解らないが、それまで頑張って長生きしてくれたまえ、両ヤドカリたち殿。



2001/05/27 (Sun)

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