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梅雨の晴れ間に 〜ヤド六のつぶやき2〜
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↑この貝殻、重くって動きにくいのなんの。
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どうもヤドロクです。梅雨に晴れ間が訪れたみたいだなあ。
このところ、ぼくは、おおむね一週間ほど砂の中に潜っては、また外に出てきて、三日ほど水槽をウロウロしたり、食事をしたり、貝殻を換えてみたりしたあと、また潜るという生活を繰り返している。
一昨年、昨年は3回くらい、脱皮をしたような気がするんだけど、ぼくもオトナになってきたせいか、昨年暮れに脱皮をしてから、何度も砂に潜ってみたのに、一向に脱皮モードに入らない。それで、喉は渇くし、お腹も減るしで、また外に出てきてしまうんだ。
おじさんは、「どっちかはっきりせい!」と言ってイライラしているようだ。ぼくが潜ってしまうと、脱皮している可能性があるので、おじさん、水槽の手入れができないと言う。砂を触ったり、刺激をあたえたりすると、脱皮に失敗するかもしれないからだというんだ。
ま、そんなことは、飼い主の勝手な心配だから、ぼくは気にしない。なにもこちらから、飼ってくださいとお願いしたワケじゃないし。小さい頃、南の島の海岸を歩いていたら、いきなり連れ去られて、長い旅をした。気がついたら、仲間たちでラッシュアワーのような状態の金盥にいたんだ。夏の、知らない街の商店街の日曜日、もはや名前が変わってしまった銀行の前だったかなあ。
その金盥の前に、貧乏そうな身なりをしたおじさんが、しゃがみこんでぼくたちを見た。横に、いかにも躾ができていないと言うようなガキどもがいて、まずいことにぼくのほうを指さしたんだ。ぼくたちのいた金盥は一匹100円均一となっていて、隣には500円均一のやら、個体別単価が付いているのもあったのになあ。
そんな不幸なことがあり、仲間と三匹、おじさんの汚い家に拉致されてきたんだ。おじさんが子どもの頃、毎年夏になると、こうしてヤドカリを買ってもらっていたらしい。バケツの真ん中に木の枝が一本立ててあるだけの容器でね。最初はその頃と同じような飼い方をしたみたいだけれど、たちまち仲間二匹は死んでしまい、ぼく一匹だけになってしまった。
そのままなら、その夏のうちにぼくも死んでしまったはずなんだけど、ぼくはちょっぴりラッキーだった。ガキどもが飼っていた金魚が死んでしまい、その水槽が空いたんだ。おじさんは、暇にあかして、いろいろ調べ、水槽に砂を入れたりして、ぼくの棲みやすい環境に仕立ててくれた。
ま、そんなわけで、いままでのんびりと暮らして大きくなった。脱皮をするかどうかは、こちらの勝手なんだから、イライラするったってそんなことぼくは知らないよ。おじさん、枯れかかっていたガジュマルを早く養生に移したかったみたいだけど、ぼくが潜っていたので、触れることができずにとうとう枯らせてしまったんだそうだ。
「もう、当分は買わん!」っておかんむりだ。ガジュマルが食べられないのは残念だけど、仕方がない。一週間おきに出たリ入ったりしているぼくのパターンを、オジサンは読んだらしい。毎回、砂から出た途端に、ベランダで日光浴&行水をさせられる羽目になってしまった。こんなことになるのなら脱皮が始まったほうが、よほど気が楽だなあ。
最近、おじさんの家の周囲に、急にカラスが増えだしたそうだ。いままでは海水入りのバケツに放り込まれると、ベランダの陽の当たる場所に置きっぱなしにされていたんだけど、カラスに捕られちゃいけないということで、おじさんが監視に付いている。よっぽどヒマなんだなあ。でもカラスのお陰で、ベランダのプランターなんかの散歩を許されるようになった。おじさんが見ているからいいよ、ということらしい。それより嫌いな行水を「カラスの行水」にさせてもらったほうが、嬉しいんだけどな。
でも、ぼくは臆病だから、知らないところをじっくり観光するのは得意じゃない。スキを見て、なんとかこのボロ家を脱出してやろうと狙っているんだ。でも、逃げようとすると、すぐにイヤな行水バケツに戻されてしまう。なので、次からは諦めてゆっくり鉢植えの中を探索してみようかとも思っているんだ。よく調べれば、ご馳走が生えているのかもしれないし。
砂から出たときは、水槽内をウロウロしている。もう飽きてはいるけれど、やっぱり住み慣れた水槽が安心だね。ずっと入っていた貝殻が、ずいぶん小さくなってしまったんで、ひとまわり大きいのに換わってみた。この写真はそのときのものだ。でも今はまた前のに戻ったよ。おじさん、張り込んで「キングチサザエ」の貝殻なんかも買ってくれたみたいだけど、「おまえには豪華すぎて似合わん」なんて言っているので、意地でも入ってやらないつもりなんだ。失言を謝りゃ、また別だけどね。
金魚たちがあいかわらず騒動を続けてくれているので、おじさん、なかなかこっちまで手が回らないみたいで、気が楽でいいや。海ヤドさんは、海水の状態が悪くなって、困ってるみたいだけどね。さて、ぼくはまたちょいと潜るか。
※「うちな〜ぐち」をご存知の方は、セリフをそっちに置き換えてお読みください。(管理人の気分で今回は標準語でス)
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↓もうすぐ、また夏がやってくるなあ。
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↓それでは、おやすみ。ZZZ…
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2004/06/15 (Tue)
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