2010年1月アーカイブ

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↑おーい、ヤドロク〜! 起きろ〜、メシだぞ〜!!(2009.12.10撮影)


さて、さよならヤド六の3回目です。前回記事からずいぶん日にちが経ってしまいました。昨年12月9日、深夜ではありましたがヤド六の砂だらけの体を海水水槽で洗った後、陸ヤド舎の元の位置に戻してやりました。元気が出たら歩きやすいように貝殻を立てて置き、目の前にエビの剥き身と食パン、貝殻に入れた真水と好物のガジュマルの葉を一枚置き、水槽の温度も暖かくしてひとまずヤド舎から離れました。ヤド六はというと、あたしが置いた状態のまま、ちょこんと座ってパンに鋏をのばしたり、触角をチョコチョコと動かしておりましたので、翌日にはいくぶん回復しているだろうと、そんなに心配はしていなかったのであります。

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↑最初は顔を出してたんだけど、あたしが寝てる間に
 少しずつ引っ込んでいったみたい(2009.12.9撮影)
夜が明けてからヤド舎を覗きますと、ヤド六は昨晩の状態のままでしたが、動いた様子はありません。軽い貝殻に移ろうとした形跡もなく、ガジュマルを齧ってもいないようです。まあ、普段でも鎮座したままダランと脚を伸ばしてぼんやりしていることは良くあるので、まあ回復待ちだな、ということでそのままにしていました。お昼になってからみて見ると、立てていた眼柄や触角を畳んで貝殻の中に引っ込んでしまっていました。これはおかしいと思い、貝殻から出ている脚を指先でちょんちょんと触ってみたところ、もはや脱力していて緊張感がありません。普通ならピクッと力が加わるんですけどね。

それで、とうとう力つきてしまったことを知らされたわけです。その間の経過は見ていませんけれど、おそらく体力がなくなるに連れて少しずつ引っ込んで行き、一番奥まで入った状態で静かに息絶えたのだと思います。ヤド六が大きくなったので、最後に入った大きな貝殻でも、体が全部は隠れてませんけどね。なんか、ただ寝てるだけにも見えるんですけど、もう生体反応がないんでこの時点で諦めました。でも目や触角がもうピクリとも動かないのはやはり寂しかったですねー。推定では12月9日のお昼あたりに息絶えたんだと考えてます。

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↑ヤド六をガジュマル農場に埋葬。
あの世で喰うのかこの世で喰われるのか?(2009.12.16撮影)


前回の記事にも書いたんですが、この間、目や触角を出してぼんやりしてるヤド六の写真も撮影したんですけど、その生前最後の写真はあたしのミスで上書きして消してしまいました。残念です。...というわけで、ヤド六は死んでしまったのですが、なにせ10年半もお付き合いした、というか面倒見たよ〜!なオカヤドカリだけに、ちゃっちゃと処理する気にはなれず、しばらくそのまま置いておく事にしました。もちろんヒーターはオフにして。ヒライソガニなんかは、死骸を水から出して空気中に置いておくとそのまま干物になってしまう時があるのです。まあオカヤドには柔らかい腹部があるので、そちらから腐ってくるんでしょうけどね。

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↑それでは安らかにお眠りください。迷って出て来ても歓迎するよ(2009.12.16撮影)


そのまま一週間ほどは、水槽を覗くたびに「おーい!起きろ〜」と声をかけていましたけど、脚の部分にカビらしきものが生えだしたので埋葬することにしました。脱皮直後の死だったので、まだ甲殻が柔らかかったようで、あまり持ちませんでしたねえ。と、言うわけでお天気の良かった12月16日、ヤド六を埋葬することにしました。場所はいろいろ考えたんですが、故人大好物の食草、ガジュマルプランターに決めました。さんざん喰って丸裸にして来たぶん、肥料になって恩返ししなさいというところです。

ヤド六を慎重に貝殻から引っぱりだして、おおよそのサイズを計測してから、ガジュマルプランターに穴を掘って埋葬しました。死んでから少しは縮んでしまったようですけど、やはり今回の脱皮では一気に大きく成長してしまったような感じでしたね。腹部なんかそうとうデカくなっていました。お別れをしてから土をかぶせ、ヤド六が最後に二日間だけ入ったコシダカサザエの貝殻を墓碑にして、前にガジュマルの挿し木をしてマンマンチャン・アン、しまい、です。くだんのガジュマルプランターは寒い日の続いている今もますます葉を繁らせています。しかしこのガジュマル、もう喰うヤツがおらんのに、このままどんどん大きくなったらどないするねん?

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↑ガジュマルに囲まれてオネンネ。
みなさん永らくのご愛顧ありがとう!(2009.12.16撮影)


というわけで、これでひとまず「ヤド六劇場」はおしまいにします。今後はヤド六から教わったことや、オカヤドカリとの付き合いかたに関して、思ったことを記事にしていくつもりですので、ときどきは覗いてやってくださいな。ではでは。

本編:オカヤドカリの飼育

前回に続きまして、ヤド六の死の原因を思いめぐらすの、その2回目であります。めでたいお正月には不向きな記事なんですけど、七草も過ぎたからそろそろ良いでしょう。くしくも本日はヤド六が息絶えてからまるひと月が経過した日、おまけにあたしが脳梗塞で倒れてからまる2年の記念日でもあります。ま、こっちの方はどーでもいいんですけどね。

前回のおさらいをしておきますと、異例の53日間という長い脱皮潜りをしたヤド六は、2009年12月8日未明に一度砂出をし、裸で歩き回ったあげく、再び元の脱皮穴にに戻った形跡があったことを書きました。そしてヤド六が砂から出て、大ロフトに並べてあった宿替え用貝殻のなかの一番大きな貝殻にお尻を突っ込んでいるのを見かけたのが日の変わった9日の深夜です。脱皮穴の底には、いままで入っていた緑色のマルサザエが脱ぎ捨てられてありました。

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↑緊急入居した貝殻を引き起こして歩こうとするヤド六。普通に元気に見えるでしょ?
(2009.12.9撮影:以下同)


「やあ、ようやく出てきたか、今回は長かったんでないの?」と声をかけつつ、脱皮後に通常行なっている、水槽から出していた流木や餌用の皿、それに餌などの設置に取りかかったわけですが、どうもヤド六の様子がおかしい。ひとことで言うと、いつもにくらべて元気がない。活性が鈍いように見えたんであります。触角や眼柄、そして鋏や脚もおおむね普通に動かしているんですが、貝殻を背負って歩くことができないようなのです。

前に進むチカラがないという感じ。貝口を上にして置いておいた貝殻にお尻は突っ込めたものの、身を乗り出したり引っ込んだりするのが精一杯で、歩けない。ひとつ手前に並んでいる貝殻に脚を引っかけ、引き起こして自分の体勢を整えようとしているのですが、力が足りずに諦めてしまうことの繰り返しをやってました。上半身(と言うのか?)を見ている限りでは、若干ムラサキ気が薄いものの五体満足だし、触角も盛んに動かしていて表情もいつもどおりだったので、まさか死んでしまうようには思えなかったんですけどね。

なぜ潜り期間が長かったのか、そしてなぜ裸で出てきたのかということを考えるひとつのヒントになるんですが、今回の脱皮後のヤド六のサイズが二回りほど大きくなっていたことがかなり怪しいのです。なぜだかは分からないけれど、いつもの脱皮より今回は成長の度合いが大きかったみたいなんですね。脱皮坑の中で、窮屈になっていたマルサザエで脱皮をしたけれど、大きくなり過ぎた腹部がキチンと貝の中に納まりきらなかったのではないか。そのせいで脱皮直後の体勢になんらかの不具合が生じて、腹部の形成にダメージを受けていたのではないかという推測なんです。

これが脱皮不具合の原因だとすると、こちらとしては防ぎようがありません。強いて言えば狭い小ロフトでの脱皮なので、十分な脱皮抗のスペースが取れずに、仕方なく窮屈なマルサザエの穴の空間を無理矢理使ったのかもしれませんね。みなさん、やっぱり脱皮の砂スペースはセオリー通り十分にとってやった方が良いですよ。まあ、このセオリーを破ってるのは、知り合いではあたしだけみたいなんですけど(笑)。ちょっとヤド六の脱皮技術を信用し過ぎちゃいましたかね。でもはっきりこれが原因と断定はできません。死後に腹部をチェックしてみましたけど、とくに目立った傷や変形は見つけられなかったですから。ただ、予想以上に腹部が大きくてびっくりしました。こりゃあの貝には入らんわ、と言うくらいに。

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↑何回か歩行にチャレンジするも、力が出ずに貝殻を動かすことができなかったので、
しばし休憩してます。あ〜しんど〜。


さて、動けないヤド六を観察しつつ思ったのは、動けないのは新貝殻が重すぎるのでは?ということでした。あとで思えば、普段のヤド六の力からすれば、この程度の貝殻など屁でもないんですけど、このときはそう思えてしまったんですね。それで、こっちに入り直したらいかが?と、サイズも大きめで比較的軽いサザエの貝殻を目の前に置いてやったんですが、しばらくたっても替わろうとしません。身は乗り出しているんですけど、貝殻を調べられない。普段からコイツは宿替えには慎重なヤツで、人前で安易には裸にならん習性が仇になりましたかね。

なもんで水槽の上の方から、身を乗り出しているヤド六のお尻のほうを覗いてみたら、貝殻の奥が砂だらけになっているではありませんか。これもいつものキレイ好きなヤド六には考えられないことです。貝殻の中身を点検する余裕も無く、ズボリとお尻を突っ込むのが精一杯だったようです。その状態を見て、もし腹部に問題を抱えているのなら、このまま放っておくのはマズイかもと思ったんですね。ここで再びセオリーを破りました。ヤド六ごと貝殻の奥を洗い、腹をキレイにして軽い貝殻に引越しやすくしてやろうと考えたんです。まあ53日も潜っていたわけですから、もはや脱皮直後では無いだろうという判断です。もっとも、今までも毎回砂出の日には即お風呂に入れてましたからね。

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↑↓海水でお腹を洗えば少しは活力が出るかもと、海ヤド水槽に入れてみたが...ぼんやり〜


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とはいえ今回のヤド六は弱り気味だし、また寒い夜だし、いつも通りの海ヤド水槽風呂(水温26.5℃)にドボンするか、真水のぬるま湯で洗うかを迷ったあげく、海ヤド槽で行水ののち、貝殻に真水ぬるま湯注入という手順に決め、お尻の砂を落としてやったわけですが、これがイカンかったかもですね〜。海水水槽の岩の上に置いてやったのですが、新貝殻の重みを脚で支えきれずにコロンと底まで落ちてしまったので、こりゃ想像以上に弱ってるなと気づき、即、とりあげて真水のぬるま湯で洗ってやりました。浸透圧なんてことを考えると、虚弱状態の海水行水はやや過酷だったかもしれません。みなさん、脱皮直後のヤドは決して触ってはいけないというセオリーは守りましょうね。

キレイになったヤド六をヤド舎に戻し、こんどはちゃんと貝殻をタテにして置いてやりました。動けないものの、いつも通りぼんやり座って触角をピクピクさせているので、鼻先にエビの剥き身と食パンを置いてやりましたら、食パンを摘んでひと口だけ食べ、あとはじっと座っていました。次の対応は翌日ということにして、水槽の温度をやや高めに設定してヤド舎を離れたのですが、どうやらその数時間後、徐々に衰弱して静かに息を引き取ったみたいです。この時点では死んでしまうとは少しも思えなかったんですけどね。この時、最後の食事の写真も撮ったんですけど、あたしのミスでデータを上書きしてしまい、残念ながらヤド六生前最後の写真は消えてしまいましたんです。

さて、結構長くなってしまったので今回はこのへんで。続きはまた次回と言うことにします。ヤド六が死んだ頃、実は金魚の方も清正が口を複雑骨折したりして大騒ぎしてたんですが、ヤド記事を先に書いてしまったのでえらい後回しになってしまってます。一回金魚の記事を挟もうかな〜。もうヤド六の新しいエピソードは生まれないんだから急ぐ必要もないしね。

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