2013年9月アーカイブ

9月16日未明に接近した台風18号は、豊橋あたりに上陸、日本列島を縦断して大きな被害を出しました。京都府・滋賀県・福井県には初の特別警報が発令され、我が家のある小学校の学区住民にも京都市から避難勧告メールが配布されたのであります。

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・台風18号通過翌朝(9月17日)の地元紙「京都新聞」朝刊一面

前日から雨が続いていたんですが、たいした暴風雨でもなかったんでフツーに寝てたんですけど、朝の4時前に最初のケータイがピロリ〜ンと鳴って強制お目覚め。このときの内容は桂川の水位上昇につき避難の準備をしろ、というものでした。

とりあえずテレビの台風情報でも見るべ、と地元局のKBS京都をつけたら、嵐山の渡月橋と三条京阪の鴨川の様子の定点カメラ映像がテレコで映されてました。

あたりはまだ暗闇ですが、この時点で桂川の奔流はまさに欄干を乗り越えんばかり。鴨川の映像も橋下1mくらいまで水位が上がってるみたいなんで、「こりゃヤバイやん!」と起床することに。

チャンネルを変えながら台風報道を見てるその間、市の災害対策本部からのエリアメールが11本も来て、うち避難指示が3本。まあウチの住区は少し外れてたから、実際は避難勧告のみだったんですけどね。

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・指定避難所の小学校に寄ってみると貼紙はあるも人影ナシでした(2013年9月16日9:45頃撮影)

しかしテレビを見ててもニュース特番をやってるのはNHKのみ。それも夜中に撮った映像の繰り返しと今後の進路報道ばかりで、近辺の詳細情報皆無。民放は休日の朝のせいか能天気な通販番組ばかりやってて埒があきません。どえらい災害に見舞われてるのに地元局のKBS京都までショッピング番組放映中とは。もはや存在価値ナシですな。

インターネットでは次々と、やれ山科川氾濫!とか御陵駅浸水!とかのスマホ撮影画像がアップされてるつうのにね。テレビ局報道の終焉を如実に実感しますた。

そうこうしてるうちに夜が明け、雨もあがって台風一過の穏やかなおテンキに。TVでも嵐山や羽束師、福知山などの浸水の中継画像を見られるようになったんですが、一向にウチの近所の報道が無いんで、買い物ついでにデジカメ持って出水の様子を野次馬して来ましたわ。

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・家の前の道を南に500mほどテクテク歩いてくと...あららミズツキ(2013年9月16日9:45頃撮影)

ウチの周辺は京都市伏見区の中心部で、伏見の酒蔵風景や坂本龍馬ゆかりの幕末動乱の史跡「寺田屋」などがある、大河ドラマ様々のショボイ観光地。南に宇治川が流れ、その運河である宇治川派流や濠川、新高瀬川などが巡っていて、三十石船や十石船などの遊覧船が運航されてるんであります。

宇治川の水位が上昇すると、当然ながら繋がっている運河の水量も増えるわけで、先の避難勧告メールも、その運河周辺がヤバイという内容のものでした。我が家から500mも南に歩くと宇治川派流にブチ当たるので、テクテク歩いて行きましたら、案の定ミズツキになってます。

撮影したのは9月16日の午前10時頃。翌日17日夕方にも水の引き具合を観に行ったので、比較写真を並べておきます。地元紙にもほとんど写真が載らなかったので、まあ備忘録として。

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・ガードレールの向こうが宇治川派流という運河です。境がわからん(16日9:45頃撮)

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・ちなみにこちらは翌日夕方の同地点。一日ですっかり引きましたね(17日15:35頃撮)


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・こちら、宇治川派流の弁天橋たもとにある川巡り観光船「十石船」乗り場(16日9:50頃撮)

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・川沿いの道路は完全に水没してますが住居の床下浸水はセーフ?(16日9:50頃撮)

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・翌日の夕方。復旧作業中ですが、当分は土ホコリに悩まされそう(17日15:35頃撮)


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・弁天橋上から。十石船が舫ってあるし泥水以外は正常のように見えますけど...(16日9:50頃撮)

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・横から見ると橋の下ギリギリまで水位が上がってます(16日9:50頃撮)

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・翌日、正常な水位に戻ったらこんな感じ。この差、けっこうな水量ですね(17日15:45頃撮)


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・左手川岸の畳屋さんは階下にある作業場が完全水没してます(16日9:50頃撮)

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・しかし翌日はノボリも出してしっかり営業再開w(17日15:45頃撮)


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・川に柳に小船...中国か東南アジアの秘境の趣でイイ感じなんすが...(16日9:50頃撮)

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・普段の水量に戻るとこうなります(17日15:45頃撮)


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・十石船のりばの発券・待合い場テントも屋根まで水没。幟がむなしくはためいてます(16日9:50頃撮)

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・観光船運行再開に向けての復旧作業。水で泥を洗い落とすの大変そう。(17日15:45頃撮)


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・月桂冠の酒蔵と柳でおなじみ伏見の撮影名所。川岸の道路まで冠水してました。(16日10:00頃撮)

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・翌日夕方。西日で影部分が見にくいですが、石垣の泥のラインが前日の水位です(17日15:45頃撮)

宇治川は、琵琶湖から流れ出る唯一の河川、瀬田川が宇治川となり、桂川、木津川と大山崎で三河川合流して淀川となって大阪湾に出てるんですが、宇治の地峡部に天ケ瀬ダムが建設されるまでは、結構な暴れ川でした。

あたしが生まれる数年前まで台風の度によく氾濫してまして、宇治川沿いの家屋の二階の軒下に脱出用の小船が吊り下げてあったのを憶えてます。まあ当時は室戸台風や第二室戸、伊勢湾台風など、デカくて今より強面の台風が毎年のように来襲してましたからね。

ちなみに地元では洪水のことを「ミズツキ」と呼んでまして、漢字で書くと「水浸き」「水漬き」「水尽き」あたりなんでしょうが、感じをうまく表現してる言葉だと思います。

で、今回の台風18号による「ミズツキ」水害は、その昭和の中頃以来なんだそうです。伏見は昔から淀川水運の港湾都市でもあったので、秀吉や家康などの為政者も結構苦労したんでしょうね。ま、自然を相手にする治水ってのは時代が進んでもなかなか難しそう。最近は渇水が常態化してて普段の水量が少ないんで、危機感が薄れがちなのも問題です。

宇治川はダム放流があるんで、河川敷にあるのはグラウンド程度ですが、桂川の河川敷には畑や農園、それに不法バラック(たぶん)なんかがたくさん建ってましたから、あんなのも全部流れちゃったのかもね。

最後のオマケに、翌日の宇治川本流の様子や、周辺の他河川も撮って来ましたので載せておきます。

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・宇治川に掛かる近鉄京都線の澱川橋梁。もう水位は下がってます(17日15:20頃撮)

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・観月橋。河川敷の雑草に水位の泥ラインがくっきり残ってますね(17日15:20頃撮)


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・翌々日の濠川(大手筋)。こちらも橋下ギリまで水位上昇したみたい(18日13:30頃撮)

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・新高瀬川(大手筋)。護岸ブロックに泥ラインが(18日13:30頃撮)

京都市の伏見区内では、桂川と鴨川の合流点の羽束師橋周辺で水位が堤防を超え、大きな被害を出したと報道がありましたが、その他の出水個所はほとんど報道されませんでした。

ま、ネット時代ですから、こんなええかげんなルポでもひとつの記録としてあっていいかと載せてみた次第であります。では今回はこのへんで。

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