金魚と淡水魚の飼育
50話
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川の流れのように

↑ようやく二人っきりになれたっつうに、ご両人とも滅法冴えん日々じゃのう…
(07.03.14撮)


 前回49話のつづき。本水槽では段平のデバラ病がどんどん進行してくるので、水換え+ココア浴のみで対処するという信念を曲げて魚病薬を施してみることにしたのだけれど、なにせ原因不明の病。種類を変えて投薬を試行していたら、そのうちにジャンボにもデバラが伝染したような感じに。あわてて薬を入れた途端、突如オヤジJRがショック死。そのうえジャンボのマツカサ症状がますます酷くなり、さてどうすべえか、というところで To be continued.……だったのでありました。



↑昨年末のジャンボ(中央)
このときはまだ健康(?)な菌魚だった(のか?)。
(06.12.28撮)


 ジャンボに片太り&背骨S字曲がりの傾向が出ているのに気づいたのが2月8日。当初は段平のデバラ病が伝染したのかと思い、しばらく様子を窺っていたが、そのうちカラダ全体にむくみが現われ、ウロコも立ちだしてマツカサ症状が出だした。どんどん活性が落ちて来たので、これは段平と同じではないと判断して、松毬病の治療薬「エルバージュエース」を投薬したら、オヤジJRがショック死してしまったのだった。とはいえ、ジャンボをそのまま放っておく訳にもいかない。エルバ続投はちょっと怖いので、ほとぼりを冷ますため2月いっぱいは頻繁な水換えで様子見をした。ジャンボの強大な体力に期待しての無投薬だったが、餌を摂らない日が続いたので、栄養と殺菌を兼ねての純ココア投入は行なった。これと水換えを繰り返したが、衰弱と立鱗は進行する一方だった。

 オヤジJRの死により、75cm水槽の住人はジャンボと段平の2匹のみになったことに加えて、ジャンボの食欲が落ちたので、餌や排泄による水質の悪化は以前よりずいぶん緩やかになった。環境はかなり良好だ。しかし3月を迎えても、ジャンボのマツカサ症状は治まる気配が無い。さらなる飼育水殺菌のために「アイオマックペレット(ヨウ素イオン樹脂抗菌剤)」のケースを倍に増設。ココア浴を継続し、「観パラD」も再投薬したが、ウロコの内側は水泡で白く膨らみ、まるでドテラを着ているみたいになってきた。水換えのたびに水泡を指で押しだしてやるのだが、すぐに再び膨らんでしまう。餌もほとんど摂ってはいないようだ。こうなるともはや体力に頼っているわけにはいかない。

 松毬病は厄介な病気である。いわゆる「運動性エロモナス症」と呼ばれている症状で、淡水の常在菌のエロモナス菌が主な原因のようだ。この菌の病原性は強いものではないが、菌株は単種ではないようで、サカナ個体自体の病状との相互作用によってさまざまな症例を生じ、一概にどのクスリが効くとははっきりわかっていないようなのだ。立鱗や赤斑は症状なのであり、エロモナス菌が無関与でも生じる場合がある。したがって松毬病と言うよりも、マツカサ症状と呼んだほうが適当だろう。もともと菌魚のジャンボには腹部や背中には赤斑症状が見られた。その体質になんらかの悪条件が重なって今回の立燐に到ったのだと思われるが、何がキッカケになったのかは不明だ。

 ココア浴やヨウ素イオン樹脂抗菌剤や観パラDで飼育水の殺菌はしてきたものの、ジャンボの症状の回復がみられないので、抗生剤の「グリーンFゴールド(顆粒)」を投薬、薬浴させることにした。定期換水を続けつつ継続して薬浴をしたのだが、衰弱と立鱗の悪化は進む一方だ。腹水が貯留して腹部のむくみも大きくなり、眼球も飛びだしてきた。着底こそせず漂っているものの、餌を入れても反応しない。最後の手段で、ジャンボを水槽から取りだして薬剤塗布をしようかとも思ったが、荒療治に耐える体力が残っているかどうかが微妙なので見合わせることにした。まあ、このあたりの判断にはいろいろご意見もあるだろうと思うけれど、生体を見て決めたのだから良しとしとこう。しかし濡れた30cmが卓袱台で思いっきり跳ねた日にゃ、これはかなり辛いよ。

 3月18日、換水をして「グリーンFゴールド(顆粒)」を継続投与したところ、ジャンボの食欲が少し出たようで、ずっと見向きもしなかった餌に反応し、ひさびさにパクリ!と口に入れた。が、すぐに吐きだしてしまった。でも、ちょっとは回復に向かってきたのかなと喜んだのだけれど、翌早朝4時30分頃、静かに息絶えてしまった。でもま、「最期にメシ喰ってから死のう」というあたり、いかにもジャンボらしくていいや、と思ったもんである。先に逝った、トメ子の隣に埋葬したが、30センチを超えると墓穴を掘るのも相当骨が折れますわ。



↑メシ(浮上性メディゴールド)に興味を示すジャンボ。
マツカサ症状が顕著になってきた頃だが、
まだ若干の食欲は残っていた。
(07.02.24撮)

〜 松かさ病、ジャンボを襲う 〜

 オヤジJRが2月19日に急死してから、ちょうどひと月後の3月19日、立て続けにジャンボまで身罷ってしまった。こりゃ今後、わが家の19日は法事の日だな(笑)。さんざん手間を取らされた菌魚の両巨頭だが、曲がりなりにも孵化から6年以上の間、面倒を見続けてきたわけで、その喪失感たるや小さくはない。その上、病気から死にいたるまでの経過写真なんてなものは、作っていて楽しいものでもないワケで、うざったくて更新もどんどん遅れてしまったのだけれど、考えてみりゃ当欄、開始から今回までの50話、そのほとんどが病気と死亡の記事ばかりだったではないか。なにをいまさらボヤいとるか、である。

 とはいえ、治療が功を奏し無事生還というならともかくも、軒並み死んじまっているから飼育の参考にもならない。薬剤の直接塗布や経口投与も試みていないので、真面目な飼育家が見れば、「なんちゅう飼い主や」と言うことにもなるだろう。しかし、ちまたのサイトの「松毬病」の症例写真には鮮明なものが少ないし、その経過を並べているものもあまりないので、この際、ご報告することにした。回復を期待しつつ症状の経過写真だけは撮り続けてきたから、載せてやるのも供養になるというもんだ。毎回お見苦しい絵で恐縮だけど、あしからず。



―2007年1月―

←ジャンボの異変に気づいたのは2月の初めで、この時点では、段平やオヤジJRの体調のほうに気を取られて、ノーマークであったのだが…。
(07.01.21撮)
←今になって写真をよく見てみると、やはり魚体にハリが無いし、背鰭も萎縮気味だ。立鱗はまだ出ていないけれど、病は確実に忍び寄って来ていたようだ。
(07.01.30撮)
―2007年2月―

←「デバラ伝染」疑惑に感づいた頃である。食欲が無くなり、水槽の隅に陣取ってあまり動かなくなってしまったので、上から覗き込んで見たら、あらら、片肥り&S字曲がりに。「ジャンボ、お前もかい!」
(07.02.08撮)
←上写真からこの写真までの間に、立鱗が顕著になってきたので、マツカサ対策としてエルバージュエースを投入したら、オヤジJRがショック死してしまった(前回記事参照)。即、別のクスリは怖いので、頻繁な水換えとココア投入で治癒を願って来たのだが、ジャンボの食欲不振と立鱗は酷くなる一方だ。
(07.02.24撮)
←マツカサ症状と同時に見られることの多い、眼球突出の症状も出てきたようである。腹腔内にエロモナス菌が繁殖して、内部からの圧迫が進んできたのか?
(07.02.24撮)

↑全身に立鱗とむくみが生じてしまった。餌も全く食べない。
水換えのたびに、鱗に溜まった水様物を指で押しだしてやるのだが…
(07.03.09撮)

―2007年3月―

←3月に入って、マツカサ症状は一層酷くなってしまった。飼育水殺菌のために、アイオマックペレットを新品に交換。残っていた観パラDも全投入した。飼育水の状態はかなり良好のはずなのだが。
(07.03.09撮)
←立鱗と眼球突出を真上から見たところ。餌を摂らないので体力の低下が著しい。薬剤の直接塗布も考えたが、水から出しての荒療治は、もはや死期を早める可能性の方が高いと判断して断念した。
(07.03.09撮)
←鱗の内側には、水様物の貯まった袋のようなものが生じ、それが鱗を圧して立ててしまう。指で押しだしてやると、水カビに似た白い綿状のものが大量に出てきて飼育水を浮遊する。
(07.03.09撮)

↑この時点でジャンボへのデバラ伝染疑惑は一応消した。
ごらんのように段平(右)には立鱗は全く見られない。
(07.03.09撮)

←相当症状が進んでしまったものの、いまだ着底することもなくゆらりゆらりと泳ぐジャンボ。その強大な基礎体力には恐れ入るばかりだ。
(07.03.12撮)
←立鱗部のアップ。隙間に白く見えるのが、貯まった水様物である。
(07.03.12撮)
←余ったローターSの回転部だけを利用して、アイオマックペレットを倍に増量した。下のローターを通った泡が上のローターも回転させ、飼育水中の菌をペレットに接触させる機会を増やすようにする仕組み。グリーンFゴールド(顆粒)も投入。
(07.03.14撮)
←背中の部分もあばたのように荒れてきてしまったジャンボ。もはや松毬というより、パインアップルと呼んだほうが近いなあ。
(07.03.14撮)

↑水槽隅に顔を突っ込んで動かないジャンボに寄り添う段平。
つかの間の夫婦生活、「出腹触れあうも多生の縁」か。
(07.03.14撮)

〜 ジャンボ轟沈 〜
←メシを喰わなくなって久しいが、残存体力でいまだ泳いではいる。グリーンFゴールドの薬効と残存体力のせめぎ合いだ。病状が快方に向かうまで、なんとか体力を維持してほしかったが…
(07.03.14撮)
←病んでいるとはいえ、ジャンボの「肝っ玉母さん」ぶりはさすがである。最期まで堂々とした態度を見せてくれた。ウチの落ち着きの無いオスども、オヤジJRや段平の往生際の悪さとはえらい違いである。このあたり、人間にも言えるかもなあ。
(07.03.14撮)
←前日(3月18日)、水換えと投薬をしたら若干活性が出て、久しぶりに餌にも興味を示してくれたので、ようやく快方に向かいかけるのかと期待した矢先だったが、翌早朝4:30頃、段平に看取られながら静かに身罷っていた。
(07.03.19撮)
←巨艦轟沈。 ♪海行かば〜水漬く屍〜
遂に病魔に打ち勝つことができなかったジャンボ。全身に及んだ重度の立鱗とむくみが、もののあはれを喚起する。
でもこの光景、死因は違えどジャンボの母親、ビッグママ東王の死の時とイメージが重なるなあ。ジャンボの亡骸は先に逝ったトメ子の隣に埋葬してやった。長い間ごくろうさま。ゆっくり休めよ。
(07.03.19撮)
←profile
名 前:ジャンボ
二つ名:大菌魚、肝っ玉母さん ほか
性 別:メス
生年月:2000年12月産卵時の稚魚(オヤジJR・段平とは同腹)
父:オヤジ(orオジサン) 母:東王
子:拾丸(2005年10月生)
命 日:2007年3月19日04:30分頃没・享年6歳4ヶ月
死 因:運動性エロモナス症による衰弱死か?
死亡時の全長:32.5cm 体重:560g
全長はむくみが出たので正確ではないが、東王のサイズを若干超えている。しかし体重では母さんに20g及ばなかった。長らく絶食したからなあ。
(07.03.19撮)

〜 川の流れのように 〜

 小さな子供を縁日に連れてゆき、金魚すくいをやらせて楽しむ。掬った金魚をビニール袋に入れてもらい持ち帰る。その日は適当なバケツかなにかで泳がせておき、あわてて翌日ホームセンターなどで「飼育セット」を買ってきて、そこに金魚を移す。たいがいの人が「金魚を飼う」ようになるキッカケはこういうところだろう。買ったばかりの水槽は美しい。小さな金魚たちは、餌を与えると喜んで寄ってきてパクパクと食べる。それを子供と一緒に見て楽しむ。なんとなく和める。次の日、仕事から帰ってくると、金魚が死んでいる。それも密かに贔屓にしていた愛嬌のある黒出目金と三つ尾の和金が死んでいる。後に残るは、子赤と呼ばれる地味で愛想のないヒブナの子が二匹のみ。子供は泣く。新しいのを買ってこようと思うが、ふと、今の飼い方がマズイのではないかと思い、調べてみる。そしてそこに竜宮城のような水槽シャングリラ世界があることを知る。で、地獄のスパイラルに吸い込まれてしまうんだなこれが。

 金魚に限ったことではないが、こういう入り方で生き物を飼育する羽目になるお父さんは、ババつかみである。特にオトコの場合、自分がガキの頃に飼っていた憶えがある分、なおさら厄介である。いいオトナが飼うとなると、ガキの頃のような無責任なワケにはいかないのである。自分の子供の躾の手前もある。その世話たるや、和み転じてストレスの源となりかねない。お母さんはさらに危険である。店頭の水槽は美しい。ところが家に設置すると、すぐにコケでドロドロになり、夏は猛烈に臭ったりする。新聞やテレビで、金魚や飼育水を触った手を子供が口に入れたら「大変なことになりますよ!」みたいな報道を知る。怖くなって、そのへんの池や川に放流する。「美しい(?)日本」はますます彼方へ消えてゆく。

 もとへ。アタマをピピンと刺激されたお父さんは、次の休日、思いたっておしゃれなペットショップへ足を運ぶ。美しくレイアウトされた大水槽を目の当たりに見、優雅に泳ぐ可憐なサカナたちを知る。そしてわが家の「飼育セット」水槽を思い浮かべ、「とりあえず」ちゅう感じで、品の良さ気な高価な底砂と、水草を2,3種、「これ1本で水かえ不要」液なるものを1本購入し、ウキウキして家へ帰る。腕まくりをして、底砂を洗い、セッテイング。水草も試行錯誤しながらレイアウトしてしばし悦に入る。これがうまく行けば、次は店で見た、あのあでやかで可憐な金魚を購入しようと目論む。これ、普通でしょ? でも、間違っていると思うんだなあ、この入り方は。これが売り手の思う壷なんではあるけれど。

 金魚すくいの金魚は、安価で安直な存在だから、簡単に住居の中に迎え入れられてしまうのだが、とはいえ、こいつらもヒトが観賞するために人為的に品種改良された「観賞魚」なんである。しかし忙しくて、かつ裕福でもないヒトが、生き物を「観賞」しようという気になるのは、今日日無理が大アリだ。「お宅拝見」の番組や「マンションショールーム」などに見られる豪華な水槽のある応接間の魅力的な風景は、普通のお父さんが自力で維持するのはとことんムリな話。夢の世界なのだ。もっとも、生き物を生き物としてではなく、視覚環境のための一パーツ、あくまでも消耗品であると捉えて飼うのなら別だが。導入時の意欲はさておき、その後の飼育ルーティンワーク期に突入すると、もはや「見てくれ」など言っていられない事態になる。次から次へと事件や問題が発生し、飼っている生体たちとの付き合いの意識は「観賞するもの」から「生活そのもの」へと変化してしまう。このことをあらかじめ覚悟しておく必要がアルよろし。

 そういうことを如実に語り続けてきたのが、当欄の記事群なのである!……みたいな展開になってしまったなあ、図らずも(笑)。もはやババつかみの見本、そうならないための警鐘サイトでんなココは。そう、金魚と一つ屋根の下で「暮らす」となると、当初の奇麗事や「観賞」などはどこかに吹っ飛び、日々のつましくも煩雑な「生活」の一部分となってしまうのだ。そうしたすったもんだのあげく、六年前には20匹以上の大所帯だった金魚水槽も、今に至って、とうとう段平とおひろい2匹のみになってしまった。その段平も、デバラの進行とともに最近は泳ぎもままならなくなりつつあり、この後そう長くは生きられないだろう。さて当欄、今後どういう展開を迎えますか。それはわたしにもわからない。

 熱帯魚水槽を群れて泳ぐネオンテトラ。これなど消耗品的観賞パーツ生体のわかりやすい見本だ。落ちるものがでれば追加すれば良い。いわゆる員数合わせで解決する。しかし、同居人として生活をともにする一個体となった「名前を持つ生き物」になってしまうとつきあい方が厄介だ。いくら観賞魚とはいえ、元はフナなのである。自然の中の川を泳ぎ、池を回遊して大きく成長するサカナなのである。それを水槽という狭い水空間に設けたチンケな生命維持装置と薬剤で対応し、寿命を全うさせようなどと目論むのは人間のトンデモナイ驕りだ。循環濾過、バクテリア育成。なんとかったるくてみみっちい環境なことか。個々のサカナたちの寿命が尽きるまで一緒に生活し、その長い年月を過ごそうと思うのなら、家の中に自然の清流を再現してやるしかない。川には次から次と絶え間なく清冽な水が流れ込む。でもってグリーンFゴールドなんか流れて来ないじゃないか。クスリなど要らぬ。と、かなり極端な屁理屈を捏ね回しながら、初心に戻って週に二回、今日も今日とて換水のバケツをセッセと運ぶのであった。できることなら毎日でも、毎時でも換えてやりたいと思う。願わくば、川の流れのように。


〜 ジャンボ・アーカイブス 〜
↑ジャンボは食後、水面に鼻を出しては、
のどかにパッコン!パッコン!と泡を作るのが癖。
水槽から離れた部屋で仕事をしていても聞こえてくるくらい大きな音で、
「ははあ、またやっとるな」と想像できた。今となれば懐かしい。
(06.04.05撮)


←ジャンボ(左上)と兄弟姉妹たちが孵化したのは2000年の12月頃だから、この時でほぼ2年だ。ジャンボはその中でも一番大きいほうだったが、それでも全長15cmくらいだった。そのジャンボの息子、1年半で25cmにもなろうかという拾丸はまったくバケモンだなあ。

31話・大飯喰らい」より(2002年11月)
小さい頃のレポートは「10話・金魚になった稚魚たち」(2001年2月)などに記載


←2年ちょい過ぎの春。紹介記事には「大型で体の厚みがあり、ずんぐりしている。いわゆるボラ型か。常に右側に傾きがち。目は白く霞んでいる。右側面の中央が大きく腫れている。口は超大きく、正面から見て右下に向かって曲がっている。藻を食いちぎるのが上手い。他の金魚にやたら吸い付く癖あり。」とある。この時で全長18cm。

33話・発情と産卵の季節〜75cm本水槽全金魚図鑑」より(2003年3月)

←「ジャンボの右体側の背ビレ下には、以前から腫れ物ができていたのだが、ここのところ、その腫れが大きくなってきた。水質が悪くなると、内出血したようにドス黒く色づくこともあるが、換水すると再び赤に戻る。」とある。当時は心配したが、その後あまり気にならなくなった。胸にある赤斑もそうだが、ま、菌魚の勲章みたいなもんだろ。

38話・腫れ物が肥大」より(2003年10月)

←丸三歳のジャンボ(中央)。通信簿では、「餌をとる要領の良さ」を高く評価されている。左はまだ赤かったころの段平。右のチビはトメ。

39話・金魚の通信簿」より(2003年12月)

←兄弟姉妹4匹とトメの5匹体勢になったころ。上右にいるのがジャンボ。水カビには苦しめられ続けていたが、今思うと、この頃は適度に賑やかで楽しかったなあ。

40話・産卵水カビ換水発情ローテーション」より(2004年4月)

←菌魚三匹仲良く餌を食べるの図。60cm水槽ではひとり息子の拾丸も急激成長中だ。

47話・三匹の菌魚と拾丸の成長」より(2006年5月)


↑菌魚三姉弟が揃って元気に泳いでいた昨年暮れの写真。
三匹ともが満六歳を迎えた頃合い。いまや本水槽に残るはデバラ病の段平のみになってしまった。
(06.12.28撮)

〜 段平のデバラ闘病日記・その2 〜

 さて、段平の奇病、デバラ病(仮)のその後である。前々48話に06年6月の発症から12月までの経過を報告したけれど、前回はオヤジJRの突然死があったので、続編が一回飛ばしになってしまった。今回もジャンボの記事でいささか重たいのだが、もう先送りにはできんでしょう。なにせ、その間もデバラは治まるどころかどんどん進行しているので、残った段平クンもこの先そうそう長く生きられるとは思えない。つうわけで、今回は3月までのデバラ経過写真を掲載しときます。


↑デバラ発覚から半年が過ぎた。左腹部の出血が痛々しいが、
段平自身は一向に気にしていない。元気そのものである。
(06.12.28撮)

―2006年12月―

←さて、闘病記のつづき。デバラ発覚から半年である。あいかわらず左腹部の傷口から出血している。傷口に別の菌が侵入すると厄介なので、観パラD+純ココアを投入し、飼育水を殺菌した。
(06.12.07撮)
←左後方から見たデバラ部。9月のにはウロコの下からの出血・化膿が見られたのだけれど、今回は患部のウロコが落ちてしまい、傷口が穴あきのようになっている。腹のプックリもじんわり膨張した。
(06.12.07撮)
←傷口のアップ。9月にできた傷口部分はすっかりきれいになり、その少し後方に新たな傷が開口している。まだ膿んでいる様子はない。
(06.12.07撮)
←上写真より一週間後。引き続き、中三日換水、観パラD+純ココアを投入中。段平自身はすこぶる元気で食欲も旺盛である。
(06.12.13撮)
←薬浴継続にもかかわらず、傷の中央あたりから膿んできたようだ。なにせこの水槽にはオヤジJRとジャンボという、二大菌魚が同居しているからなあ。殺菌も「焼け石に水」なのか。
(06.12.13撮)
←傷口のアップ。中央部に黄色がかった膿のようなものが見えるようになった。なので一週間ほどインターバルを作ったのち、クスリを観パラDからエルバージュエースに変更した。
(06.12.13撮)

↑クスリをエルバージュエースに変更したら、オヤジJRがグロッギーに。
しかし当の段平は、いたって元気である。どーなっとるんや。
(07.01.16撮)

―2007年1月〜3月―

←年が明けて。暮れに薬剤をエルバージュエースに変更したら、オヤジJRが辛そうにしだしたので、またもや換水のみに戻した。しかし段平のオナカはパンパン。右側もかなり腫れてきたが、左の方がより大きく腫れているので、ごらんのように肛門が体の右側に移動してきた。おいおい。
(07.01.16撮)
←エルバ投入を中止したら、オヤジJR(右)が一時復活。しかし段平さんよ、アンタのお腹の中にはいったい何が詰っとるんかねえ。
(07.01.21撮)
←薬剤投入は止めたのに、お腹の開口部がきれいに治ってきた。とはいえ膨らみはどんどん進行中。お手上げの状態デス。
(07.01.21撮)
←この写真の撮影前日、今度はジャンボに「デバラ伝染」疑惑が。続いてマツカサ症状も確認されたので、やむなくエルバージュエースを投入したところ、19日にオヤジJRがショック死。しかし段平だけは…元気だ。なんだかなあ。
(07.02.08撮)
←住人が二匹になった本水槽だが、ジャンボのマツカサが悪化しているので、頻繁に換水。飼育水はかなり良好な状態を保っていた。開口部はほぼ治癒したが、オナカはますます……。
(07.03.09撮)
←人呼んで、「泳ぐツチノコ」と化した段平。また二つ名が増える羽目に。困ったもんだなや。
(07.03.09撮)

↑この10日後にジャンボが息を引き取り、とうとう段平は
「本水槽ひとりぼっち」になってしまうのだが、全部載せると「重杉」。
またもやTo be continued.……なのでございます。
(07.03.09撮)

〜 60cm水槽・拾丸その後 〜

 段平同様、60cm水槽に独り暮らしの四代目、おひろいの記事の続きも前回パスされてしまったので、駆け足で掲載しときます。こちらもたぶんエロモナス属の菌に侵され続けているのだけれど、本水槽で次々事件が起こるものだから、充分なケアができたとはいえない。拾丸にとってはとんだ貧乏籤を引かされたつうことになるが、本水槽と同時に中三日換水は行なってきたし投薬も施してきた。ところが投薬で一旦治ったと思っても、一週間ほどするとまた再発してくるものだから、埒があかない。急激に成長してもうカラダは25cm近くになり、その排泄量も相当なものなのに、本格的な濾過設備が無いというのはいくら一匹だけといっても、ちと無理がある。症状が完治したあかつきには、伯父のオヤジJRも母親のジャンボも死んでしまったので、広くて濾過設備の整った本水槽に移し、父親の段平との男所帯をと目論んでいるのだけれど…。


↑生まれて以来ず〜っと独り暮らしのおひろいなので、
いわゆる躾というものができていない。
そのくせカラダだけはイッキにデカくなったもんだから、
ワガママ放題の性悪金魚になっちまった。
(06.12.07撮)

←2005年10月生まれだから、この時点で一歳と2か月。なのにそろそろ25 cmだよ。排泄量がハンパじゃないから、外部濾過装置無しの元メダカ水槽では水質悪化が甚だしく、口腐れや水生菌症に侵されだした。なので、本水槽同様の中三日換水にしたのだけれど、それでも追いつかない。
(06.12.13撮)
←おひろいの病気はまず口元から来た。タラコ唇がなかなか治らない。観パラD薬浴中。
(06.12.13撮)
←次にエルバージュエースを試すも、なかなか快方に向かわず。この投薬で、この水槽に永年棲んでいた石巻貝が全滅してしまった。また06年4月頃に姿を消したヤマトヌマエビの脱皮殻が……まだ喰われずに隠れていたのか!しかしやむなく投薬を継続したので、1月11日に亡骸発見。すまんエビ。許せ。
(06.12.28撮)
←換水した翌日に、一時的に状態が良くなるのだが、三日後にはまた悪化の繰り返し。やはりこの水槽設備では限界なのか。
(07.01.21撮)
←エルバージュエース投薬にもかかわらず、体のあちこちに小さな穴が開き、水生菌が発生。目玉のレンズにも曇りが出てきた。
(07.02.16撮)
←タラコ唇治らず。薬剤をニューグリーンFに変えてみる。しかし本水槽のすったもんだで、なかなかおひろいにまで手が回らず。
(07.03.09撮)
←オヤジJRとジャンボが立て続けに死んでしまい、ようやく本格的におひろい水槽をケアできるようになった。穴あきや水生菌の治療に、4月からはグリーンFゴールド(顆粒)で薬浴することに。
(07.04.05撮)
←尾鰭や腹鰭にも赤斑と水生菌の付着が見られるようになった。水槽内の水草や流木などを全部取りだし、底砂も隅に寄せてしまい、本格的に治療する体勢に。
(07.04.05撮)
←グリーンFゴールド(顆粒)投入後、一時的には治癒しても、またすぐに再発を繰り返してなかなか完治しない。その後もグリーンFゴールドリキッドなどで治療を続け、最近(6月)になって、ようやく治りつつあるのだけれど、今回はここまでデス。続きはまた次回に。
(07.04.05撮)

↓遂に母ジャンボが逝き、当「菌魚太平記」の面子は、
難病デバラの父段平と、その子拾丸の二匹のみになってしまった。
現在離れ離れの父子だが、果たして再会することが叶うのだろうか…
(07.03.09撮)
2007/06/18 (Mon)

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