2012年11月アーカイブ


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京阪電車浜大津駅 石山坂本線の600形2連と京津線の800系4連。 2012.11.04撮影(以下同日)


ぼやテツでおます。日本経済の低迷とともに、あたしの生業もじりじりと右下がりが続いておりまして、パソコンで毎日シコシコ頑張ってても、なかなか業績が上がってまいらんのです。作業モチベも沈む一方。こんなときゃスパッと気分転換すべし!と今月アタマの11月4日、またぞろ赤海鼠さんのお誘いを受けて、鉄分補給の京阪大津線小トリップにでかけてきましたです。

お出かけの名目は、浜大津で開催された「浜大津懐かしの写真展&鉄道模型走行会」。同志社大鉄道同好会OBの西村雅幸さん制作の、昭和40年代の浜大津駅一帯を再現したジオラマ観賞です。会場内の撮影が禁止だったので写真は撮っておりませんが。

旧国鉄、江若鉄道、京阪京津・石山坂本線が乗り入れて賑わっていた当時の浜大津には、亡父に何度となく連れてもらいました。びわこ汽船の玻璃丸や遊覧水上飛行機、遊園地の紅葉パラダイスやびわこタワー、夏の湖水浴場行きなどなど。残念ながら記憶は朧なんですけどね。

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浜大津界隈の往時の風情を残す唯一の建築物が昭和9年建築の旧大津公会堂。今は貸ホールやレストランになってます。

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浜大津駅前の陸橋から大津港を望む。昔の遊覧船は玻璃丸だったが今はミシガンとビアンカに。この辺、戦国別嬪三人娘のとーちゃん浅井長政の大津城本丸跡であります。右遠景に近江富士(三上山)も。

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ラッピング電車やら標準色やらが行き交う浜大津駅前交差点。むかしはここにスイッチバック駅が斜めに突っ込んでたから線路がカオスでもっと良かったのに。


ジオラマの目玉である、今は亡き 江若鉄道についても、当時実際に乗ったかどうかの記憶がさだかではありません。家のアルバムに写真も残ってないし。ただ、江若鉄道の浜大津駅舎の佇まいはうっすら憶えております。

狭軌と標準軌の三線区間があり、専用軌道と併用軌道が交錯し、京阪の駅も東西に分かれたスイッチバック駅と、当時の浜大津はガキテツのあたしにとって、かなり魅力のあるゾーンだったのは確かです。

そんなわけで、やや肌寒さを増して来た秋の一日をブラ鉄してきたので、毎度おなじみのスナップ写真とテキトーキャプションでお茶を濁します。

自宅のある京都市伏見区から浜大津へ行くには、京阪電車で三条まで出て、地下鉄東西線の直通に乗り換え、御陵経由で京阪京津線です。このルート、乗り鉄ちゃんにとっては、地下あり急勾配・急カーブありトンネルあり路面走行ありの変化に富んだ滅法楽しい路線なんであります。

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京阪京津線800系が地下線から地上に。いちおうテツっぽく最前部座席を確保したりしてみる。

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京津線 四宮駅を発車。正面は浜大津方の折り返し線。地下鉄直通以前は四宮着発電車も多かった。

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京阪京津線 上栄町〜浜大津の併用軌道を行く800系。4両編成がゴロゴロと道路を進むとかなりの迫力。青信号でGO!!なんだけど道、空いてますね。


もっとも、昔の地上線だった頃のほうが魅力がありました。京阪本線が鴨川沿いの堤を走り、三条駅で疏水の上にホームのあった京津線に乗り換え、三条通りの路面を走って東大路で京都市電と平面交差。それから蹴上・九条山と急勾配を登り降りして山科。それからもう一ぺん逢阪山越えと併用軌道区間があった訳ですから、見どころ乗りどころ満載だったわけで。

京都市営地下鉄の東西線が開通して、京津線は御陵から地下鉄線に乗り入れという形になってしまったのですが、そのために制作された 京阪800系(2代目)という4連の車両がまた凄い。見かけはちんまい4両編成なんですが、この800系、多彩な線形に対応するため、もの凄く金がかかっとる(1輌約2億円)んですな。

他社の地下線に入るための装備、一般路面を走行する装備、登山鉄道並みの急勾配急曲線に対応する装備などを、ひとつの形式にてんこもりしてますから、そりゃ車両コストが高くつきます。昔から車両制作にかけては凝りまくって来た京阪電車の面目躍如という形式であります。来年の2月か3月に800系のバンダイBトレショーティが発売されるもよう↓。

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高コスト車両800系。1m換算の製造費は新幹線500系を凌ぐという。

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浜大津から京都方面へ交差点を800系16.5m×4連がギュイーンと左折。鉄道模型の曲線より折れてますね。


実はあたし、京阪の京津線・石山坂本線についてはガキの頃以降にもよく利用した時期がありまして。それというのも高校時代は漕艇部。京都市内には練習できる水面がないもんで、毎日放課後コノ線に乗って琵琶湖岸にある艇庫まで練習に通っていたのであります。

今回せっかく浜大津まで出張ってきたので、赤海鼠さんとは一旦別れ、石山坂本線の赤とオレンジの旧特急色 600形 に乗って、懐かしのM高校漕艇部合同艇庫がどないなってるかをちょっくら見て来ました。石山坂本線は路盤の起伏は少ないものの超短い駅間や急カーブの連続など前面展望はなかなか愉しいんですわ。

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つうわけで、浜大津駅から石山寺行きに乗って瓦ヶ浜に向かいます。600形は自前の京阪錦織車両工場製。錦織の読みは"にしごおり"で土地名は"にしこおり"、テニスの"にしこり"台頭でますます難読にw。

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ワンマン運転なもんで、無人駅では運ちゃん大忙し...でもなさそう。マイカー全盛のあおりで都会の中の「苦労おおかるローカル電車」というやつですか。

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30数年ぶりに下車した瓦ヶ浜駅。下りホームの途中からいきなりグワッと急カーブしてます。


かつての艇庫の最寄り駅は石山坂本線の瓦ヶ浜駅。30数年ぶりに降りた瓦ヶ浜駅は無人駅になってました。最近の事情を知らなかったもので、浜大津の改札を「スルッとKANSAIレインボーカード」で入ったんですが、下車するとき運転士にカードを見せたら、この線、このカードは非対応(PiTaPa/ICOCAは可)なんだそうでして...あらら。

ワンマン運転だからカード支払の取消書類発行やら現金払いのおつりやらを運ちゃんがゴソゴソやる羽目になって、あたし一人のせいで電車を3分以上駅に止めてしまいました(汗)。その間、乗客の冷視線ジロリ。駅前の踏切もずっと降りっぱなし。

運転士はにこやかにのんびり応対してくれましたけど、あたしいちおう元鉄ちゃん。自分の無知でダイヤを乱しちまって穴があったら入りたい気分になりました。発車が3分遅れたせいで人生変わった乗客の方がいないよう祈っとります。親の死に目にとか、遅刻で会社クビとか...(笑)。

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瓦ヶ浜駅から湖岸道路を超えて琵琶湖へ出る。 湖岸はきれいに整備され、高層マンションが並び、ボート部時代とは様変わり。右の緑地は膳所城跡公園。夏の花火大会の夜、フネを出して落ちる火の粉を下から観たっけなあ。こちらのエピソードはまた後日に。


瓦ヶ浜駅から、ボート練習でくたくたになった足を引きずって通った道をつらつら艇庫まで散策してきましたが、このこと書いて写真貼ってると、さらにド長くなるのでまた別の機会に記事をたてることにします。

艇庫周辺の写真や動画を撮影し、練習している現役ボート部員の兄ちゃん姉ちゃんに今どきのボート部事情の話をちょっと訊いてから帰路に。細い路地がたくさんあるので、懐かしく思いながら歩いてたら瓦ヶ浜駅への道を失念。ひとつ浜大津寄りの中ノ庄駅に出ちゃいましたが、まっいいかと。ここも無人駅なんで、こんどは電車を停めないように自販機でキップを買いましたです。

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艇庫から適当に歩いて来たら隣の中ノ庄駅に出てしまった。駅間距離が短いからほんの近所ですが。

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中ノ庄駅から700形の近江神宮前行きに乗って浜大津に向かう。昨今、女性運転士が増えましたねえ。


中ノ庄駅で電車を待ってたら、やって来たのはスカートも凛々しい 700形。これで図らずも大津線の現役全3形式に乗車することに。しかも運転手は茶髪のお姉ちゃんであります♡。電車とは違ってスラックスでしたけど。最近はJRも私鉄も女性運転士が増えました。不安げに運転席を覗き見てますと、マスコンやブレーキ操作も堂に入ったもんで(あたりまえか)。でも人身事故や災害時の修羅場に娘さんのワンマンで沈着冷静に対応できるのかちょっと心配ではあります。

行きの瓦ヶ浜での「カード払いで電車遅延事件」の時は、おっとりしたベテラン男性運転士だったので事なきを得ましたけど、あのシチュエーション、もし運ちゃんがこの茶髪お姉ちゃんだったらどないなってたんやろ。けっこう怖かったかもしれん...と。

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「アンタみたいなボンヤリした客がおるさかい、直線でガガーッ!とダイヤの遅れを取り戻さなあかんようになるねん!!」...なんて、お姉ちゃんに叱られんでよかった。

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そんなこんだで、かつては馬場駅として国鉄と接続していた京阪膳所駅に進入です。

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京阪膳所駅を発車。左手に見えますのがJR膳所駅と新快速電車。このフェンスの向こう側に三線で来た江若鉄道が国鉄に合流する接続線のスロープがありました。

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石場駅に到着。上り線の石山寺行き600形とすれ違い。イシバがこの字なら"石場茂"とすんなり変換されるけど、オタク幹事長の場合は"石破"だから、ガチャガチャやってるうちに"石橋ゲル"になってまうw。


そんなこんだで浜大津へ戻って赤海鼠さんと合流。居酒屋を物色するも浜大津の街は閑散と...再び京神線の800系に乗って三条京阪で降り、三条大橋近くの居酒屋で熱くテツ談して帰りましたとさ。

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600形「ちはやふる」617編成。最近石山坂本線はしつこく「けいおん!」やら「ガンダム」やらのアニメラッピング電車を客寄せパンダにしてますな。


「充鉄」の秋の一日、ぼやテツでした。ほな今回はこのへんで尾張っ徳川。

本編:蒸気機関車と鉄道趣味


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京都水族館 大水槽:レアものさんは特に居りません。 2012.10.31撮影(以下同日)


今回のぼやコラは、2回目の京都水族館探訪であります。さる10月31日のこと、通っております病院の外来診療が意外なほど早く終了しちまいまして想定外の時間大余り。秋晴れの気持ちいい日和だったもんで、帰りに突然寄ってしまいました。年間パス期間が来年のゴールデンウイークまで残ってるんで、使わないのは勿体ないしね。

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京都水族館 外観:いい秋日和。しかし梅小路公園って、いまいちコンセプトが中途半端かなと。

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京都水族館 京の川ゾーン:いつも水槽左端部分にオオサンショウウオがてんこ盛りになってます。


初めて行ったのは6月末で、そのときのレポートは当欄、京都水族館拝見。に書きましたから、展示ゾーンやロケーション等はそちらの記事を参照いただくとしましょう。今回は突然ふらりと足を運んだのでバックヤードツアーにも参加せず、ただただのんびり水槽を眺め、イルカパフォーマンスの動画を撮ったりして帰って来た次第です。

なもんで観察コンセプトはまったくなし。そのぶん初回にはゆっくり観てられなかった、あたしごのみの地味系生物の水槽前を占拠し時間をかけて観て来ましたんで、写した地味写真を並べてキャプションでお茶をにごしときます。

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磯の危険生物ガンガゼさん。でかい水槽があれば飼ってみたいのだが...

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磯の多少危険生物ゴンズイさん。愛嬌のある顔で水槽でもゴンズイ玉を作ってます。

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ミズダコですかね。マダコの頭で冷やの辛口清酒を飲むのが好きなんだけど...不景気でずっとお見限り。

aq2_07.jpg タコの天敵、ウツボの錦三兄さん。タコと混泳させればリピーターが増えると思うぞ。


前にも書きましたけど、この京都水族館はオリックス不動産運営のエンタメ系ミュージアムであり、客ウケする生物中心に展示されているので、学究的な展示内容にはなってません。したがってレアもの生物はあまり居らんのです。リピートを楽しむためには、あらかじめなんらかの観察コンセプトを企ててから訪れないと面白くないんでありますが...。

あんのじょう半年経って訪れても展示内容にほとんど変化はありませんでした。ポピュラーな連中ばっかし。ま、生体個体は多少入れ替わってるんでしょうがね。なもんで、水棲昆虫とかにフォーカスして見て来ましたよ。

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京都水族館 山紫水明ゾーン:京都にすむ稀少淡水生物コーナーつうことで、水棲昆虫の横綱タガメ。あたしはミズカマキリ派なんだけど姿ナシ。

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こちらはゲンゴロウ。こいつらじっくり観てるとなかなかチャラ男な愉しい動きをします。

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ミズグモ。希少生物になっちまったの?あたしらガキの頃にはため池や田んぼにけっこういたけどなあ。

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シマドジョウ(ミナミ...だったかも)。ついに解散総選挙。日淡水槽をはじめたらぜひ泥鰌飼いたいス。

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スッポン。ジャンジャン横町で待ち合わせするときにはいつも観察しております。 将棋もね。

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ニホンヒキガエル。四六の蝦蟇かどうか指先確認できず。眼光鋭く児雷也の風格アリの個体ですな。


ね、とりたててレアな生物は皆目居らんでしょ。今の野山じゃ稀少なのかもしれませんけど、昔はその辺に普通にいた連中ばっかしですからなあ。 しかしトシのせいか、種名が一向に憶えられなくなりました。写真を撮った時には、ああこいつは◯◯だな、と思ってても、家に帰ってみると名前がサッパリ出て来ない。とくに海のおサカナは。

デジカメなんで、撮影した時に水槽わきの種名標も写しとけばいいんですが、銀塩カメラ時代のフイルム節約感覚が身に染み付いていてなかなか実行できません。いちいち図鑑を調べるのも面倒なんでキャプはテキトーです。種名に誤りがあったらスミマセン。

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京都水族館 ペンギンゾーン:ケープペンギンのみ一手で客寄せをやっております。


では今回はこのへんで。もう一回行く意欲あんまりないかも。


ぼやコラです。あたし2008年の正月に小脳梗塞で倒れてから、もうじき5年が経過するんですが、時のたつのはまあ早いもんで→ 当時のぼやコラ(全6話)。以降、毎朝血液サラサラのお薬を服み、50日置きに脳神経外科に通い、年ごとの頭部MRI検査と年2〜3回の血液検査を受け続けて現在に至るのであります。

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今日も今日とて遠距離通院だい(JR新大阪駅 2012.10.31 撮影)

あたしの場合、脳梗塞の場所が小脳だったことや症状が比較的軽かったことが幸いしてか、身体の運動機能には後遺症が出ませんでしたが、それでも半年くらいの間は、頭のフワフワ感が強くてデザインや作文が満足にできず、仕事を本格的に再開するのを先延ばしにして無手勝流でリハビッてました。

退院後半年がすぎた頃、ようやく(アタマが)地に足がついて来た感じになったので、本業にもどるべい、と慣らし運転に入ったんですが、以前のように考えや作文を素早く纏めることができず、そのうえ長時間作業するとすぐにアタマがオーバーヒート。持続力もなくなってしまったのであります。

フリーランスの広告屋なもんで、企画や打合せの場でサッとアイデアを出し、迅速に纏めて作業・納品ができないと商売にならんのですが、病前のような段取りでこなすのはとても無理になってしまった。見かけは変わってないんですが、アタマがちょっとアホになってしまったんですね。

外見がフツーで会話もフツーにできるんで、病気して「アホになった」ことを人様に説明するのが非常に難しくて困ってます。自分では「あれおかしいな」と実感があるんですが、その変化を具体的に説明することができない。脳外科の主治医も同様に検査結果からはアホになってる証明ができない。とはいえ、かつてのように仕事が出来ない理由が、自称「アホになったから」なんてのでは報酬も保険も保証も貰えんのですわ。

依頼された案件を今までのようにプロのレベルで制作して納期までに納める約束ができなくなった。が、しかし喰わねばならぬ。つうわけでやむなく、ツボさえ押えていれば仕上がりがアマチュアレベル品質でもそれなりに報酬を得ることができ、時間やノルマ拘束のないアフィリエイト広告になりわいをシフトして今日に至るのであります。

同窓会やら何やらで久しぶりの友人に会うたびに、「脳梗塞をやったって聞いたけど元気そうやん?」って訊かれるんで、正直に「五体は満足なんやけどアホになってん」って答えてるんですが、大概「あんた前からアホやん!」って笑われて取り合ってもらえない。アホになって以前のように仕事がこなせないからこそ苦労してるんですけどね。どう説明すりゃええんや、つうの。

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同期会、嗚呼愉しき哉懐かしき哉切なき哉面倒臭き哉(南船場 2012.10.27 撮影)

そうこうしてたら、10月30日に亡くなった作家の藤本義一さん追悼記事のひとつに、妻の藤本統紀子さんが語る闘病の話があり、氏が一昨年夏に脳梗塞で倒れたのちのエピソードとして...

「趣味が書くことだったのに、それが嫌になったようで。これまでは受けた仕事や、自分のやりたい『西鶴』などもパッと頭の中でまとまってたのに、まとまりがつかなくなって悩んでました。『俺は何かアホになってきたわ』と」MSN産経ニュースより引用

...と義一っあんがおっしゃってたというのを発見。

まあ、関西の大御所作家とあたしでは脳の働きのレベルが全然違うんでしょうけど、脳梗塞から復帰後の「俺は何かアホになってきたわ...」という感慨、コレあたしと一緒ですやん。おお!我が意を得たり、なんでありました。

これから、「あんた前からアホやん!」って言われたときには、この直木賞作家のエピソードを引き合いに出して「前よりもっとアホになったの!」と反論してやろうと思っております。

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