2013年3月アーカイブ


◯ 仲春の兼題は「春塵」「木蓮」「鳥帰る」です。

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【春塵】
拡げたる絵地図の上に春埃      天天天天人     仲春
春塵の荒ぶる午后や古書開く     天天地地地地    逆月
春塵や口元固く別れかな       天天人      雨不埒
踊り場の陽射しに踊る春の塵     天地地地      芝浜
春塵に女湯からも桶の音       天地地      喜の字
春塵や祖父の手ざらり皺深む     天地人       即馳
春塵が村をまるごと呑み込んで    天地        小波
春塵を捲き上げており象の鼻     天地        魯斗
春塵に巻かれてなにも言えぬまま   天地        小波
春塵に電話セールス鼻濁音      天地       喜の字
春塵や目薬つねにこぼれがち     天         仲春
春塵のついに大河を越え来たり    天         音澄

【木蓮】
表札は夫の名のまま紫木蓮      天天天天地地    魯斗
迷ひては白木蓮の家と問ふ      天天天地地地地人  仲春
お日様に花束捧ぐ白木蓮       天天地地      芝浜
はくれんや窓辺に記憶の母の立つ   天天地       磨角
振り向けば闇に解け入る白木蓮    天地人人     雨不埒
木蓮の白に濃淡ありにけり      天地       喜の字
路地に灯のともるが如く白木蓮    天人人人人    喜の字
菩提寺の庫裏に色めく紫木蓮     天人        音澄
急く足を咎めるやうに紫木蓮     天地        魯斗

【鳥帰る】
ひとはいざ畝たてる朝鳥帰る     天天天地地地人   菫女
川面には雲映るのみ鳥帰る      天天地地地     音澄
ここよりも寂しき空へ鳥帰る     天天地地      蝸牛
出港の汽笛の中を鳥帰る       天地地人人     仲春
まるで道あるかのごとく鳥帰る    天地地人      小波
鳥引くや梵唄満ちし萬福寺      天地        磨角
被災地の湖に一声鳥帰る       天人人       駒吉
路地よりの空は茜に鳥帰る      天人人       逆月
出稼ぎと連れ立つ夢や鳥帰る     天人       雨不埒
鳥帰る帰村宣言なきままに      天人       喜の字
腰伸ばす空に鉤の手鳥帰る      天         魯斗
鳥帰る旅路を仰ぎ我も旅       天         音澄
ひと雨もふた雨も越え鳥帰る     天         蝸牛



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