2013年7月 晩夏の句会

| コメント(2)

◯ 晩夏の兼題は「灼く」「胡瓜」「アロハシャツ」です。

1307_c.gif  1307_b.gif  1307_a.gif

【灼く】
ひっそりと引き戸のレール灼ける午後  天天地人人人   芝浜
綱手繰る潮に灼けたる深い皺      天天地人人    菫女
西域の灼けて果てなき砂の道      天天地      音澄
ハングルの空き缶錆びて砂灼ける    天天人人     呑暮
灼くる日や一顎杖に乗せて立つ     天地地地人    魯斗
風灼けて一人ひとつの黒い影      天地地地     蝸牛
滝壺の水より上の岩灼けて       天人人      音澄
風灼くる猪首の影を引き摺りて     天        魯斗
灼くる日の水弾く肌懐かしむ      天        磨角
ヂリヂリと灼けてヂリヂリ田んぼ道   天        雪童
気になるなあスマホも灼いてる若女   天        酒倒

【胡瓜】
初摘みの胡瓜の棘の強さかな      天天天天地地人 喜の字
井戸水に揺れて胡瓜や孫の声      天天地      雪童
曲がれども切れば胡瓜は胡瓜かな    天地地      風写
休む手に野良吹く風や胡瓜食む     天地人人     風写
時失くし老父が持ち来る胡瓜かな    天地       山女
父キュウリ孫はショコラのお八つかな  天人      喜の字
つつがなき日々の端々きゅうりもみ   天人       磨角
個性無く整列するや箱胡瓜       天       雨不埒
犬小屋の屋根に胡瓜の蔓の這ふ     天        魯斗
ビーバーの歯型きゅうりに三歳児    天        芝浜
出盛りに胡瓜の太きかっぱ巻き     天        音澄

【アロハシャツ】
大戦も遠くに隠しアロハシャツ     天天天人    雨不埒
アロハシャツ人の波濤を越えてゆく   天天天人     即馳
将棋指す昼の役場のアロハシャツ    天天地人人    呑暮
病棟の窓に眩しくアロハシャツ     天地地人人    風写
敗戦を嘆いた父のアロハシャツ     天地人人    喜の字
古着屋でアロハを漁る作務衣翁     天地       風写
フラ踊る老婆着こなすアロハシャツ   天人       音澄
アロハシャツはだけて孫と滑り台    天        魯斗
アロハシャツ鼻歌もでる勤務かな    天        駒吉
足取りも異国のリズムアロハシャツ   天        磨角


コメント(2)


つぶやき再録

★逆月さんの選句とつぶやき-------------------------------------------

灼熱の日々、皆様いかがお過ごしですか。近頃はやりの(?)突発奇襲型集中豪雨というのは厄介ですね。厄介と言えば、都合のいいところばかり寄せ集めて自画自賛の「ミクス」にも困ったもんです。よく見つめると抽象的な言葉ばかりが並んでいます。
で、今回は、具体描写に徹底し、感傷的、願望的な主観を排除した、屁理屈の余地のない、堅固な仕立ての・・・・今回はそんな句を選んでみました。

【灼く】
天 滝壺の水より上の岩灼けて
地 西域の灼けて果てなき砂の道
人 ひっそりと引き戸のレール灼ける午後

天は、夜半の滝の上に水現れて落ちにけり の句がちらつくけれども、よく読むとやはりいいですね。舞台は同じながら「芝居」は違います。
地の揺るがない視線、人の鋭い観察も静かで好感が持てました。

【胡瓜】
天 犬小屋の屋根に胡瓜の蔓の這ふ
地 初摘みの胡瓜の棘の強さかな
人 休む手に野良吹く風や胡瓜食む

天には唸りました。しっかりして、余計な雑念の入り込む余地がありません。
地は「強さかな」がちょっと気になるけれど、皮膚を貫くばかりに堅い棘は絶対です。風が勝手に、休んでいる手を渡っていく「人」も隙がありません。

【アロハシャツ】
天 将棋指す昼の役場のアロハシャツ
地 アルミ竿に昭和のアロハ干しにけり
人 病棟の窓に眩しくアロハシャツ

今回、最も「佳!」と思ったのがこの天です。地は「アルミ」の勝利。人は油絵になりそうな鮮やかな具象。


★蝸牛さんの選句とつぶやき-------------------------------------------

【灼く】
天 網手繰る潮に灼けたる深い皺
地 灼くる日や一顎杖に乗せて立つ
人 鉄の灼けて核炉の今も燃ゆ

天、深く刻まれた皺に、日焼けのグラデーション!想像もしたことがなかったシーンが圧巻でした。
地、暑くて暑くてみんなフウフウ騒いでいるのに老人が一人、涼しい顔で佇んでいる光景が浮かびました。
人、クロガネという雄々しい音とは対照的ないつ終わるとも知れない不安な状況が印象的です。

【胡瓜】
天 出盛りに胡瓜の太きかっぱ巻き
地 渓流の淵に足浸け胡瓜漬け
人 棘までも旨し胡瓜のジョッキ盛り

天、太くてまっすぐな胡瓜、おいしいですよね。夏の河童巻きの野太さが、食欲をそそります。
地、キャンプで川にスイカなど漬けていても正直そんなに冷えませんが、「渓流」ならきっとキンと冷えるんだろうなあ。涼しい句ですね。
人、採れたての太い胡瓜は、皮なんか剥かずギュッと冷やしてジョッキで!うまそうです。

【アロハシャツ】
天 将棋さす昼の役場のアロハシャツ
地 敗戦を嘆いた父のアロハシャツ
人 アロハ着て遅れて這入る句会かな

天、のんびりした田舎の町役場でしょうか。映画に出て来そうなシーンですね。
地、そうか、戦時世代の方のアロハシャツには複雑な思いがあるのかも?と気づかされました。
人、遅刻をさらに気恥ずかしくさせるようなふざけた服かも知れませんね、アロハ。そう言えばアロハシャツ、持ってないなあ。着ないなあ。


酒倒でございます。
このところ、英文のスパムコメントが1日1000本くらい送信されてきてます。

いちおうスパム認定されるので、管理者が承認しないと公開されないのですが、
大量なのでサーバに負担がかかるほか、削除作業も大変です。

そこで、コメント入力時に暗号を記入するように設定しました。
テキストボックス下にある画像の文字を打ち込む方式のやつです。

お手数ですが、よろしくお願いします。


コダーマンの雑貨屋・頑固堂

このブログ記事について

このページは、cave(管理人)が2013年7月27日 01:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「2013年6月 仲夏の句会」です。

次のブログ記事は「2013年8月 初秋の句会」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

最近のブログ記事

最近のコメント

検索

Powered by Movable Type 5.13-ja