2013年5月 初夏の句会

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◯ 初夏の兼題は「青時雨」「百日紅」「青鷺」です。

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【青時雨】
青時雨浴びてはじける女学生     天天地地      小波
すれ違ふ和傘傾く青時雨       天天地地      磨角
うたた寝のメトロノームや青時雨   天天地人      魯斗
終バスが峠に消えて青時雨      天地人      喜の字
告白のはじまりのとき青時雨     天地        小波
青時雨避けて垣根のつゆに濡れ    天人人       風写
雨上がり風が遊んで青時雨      天人        音澄
二人きり図書室窓に青時雨      天         即馳
青しぐれ無言の陵墓参考地      天         酒倒
青時雨浴びてさよならまたあした   天         音澄
卒塔婆を伝う涙や青時雨       天        雨不埒
絵葉書を小脇に潜る青時雨      天         風写

【百日紅】
賑やかに法事済ますや百日紅     天天天天地人    呑暮
青空にほめられたくて百日紅     天天天人      蝸牛
色あせぬ祖父の画帳の百日紅     天天地地人人    音澄
百日紅ゆらさぬほどに風かろく    天天人       芝浜
ジャケットの白き女子校さするべり  天地人       磨角
万葉の彩とし揺るる百日紅      天地人       魯斗
寺町の瓦に灼けし百日紅       天人        雪童
百日紅言ひたきことのありまして   天         逆月

【青鷺】
深みへと青鷺の歩の大きこと     天天天天人     磨角
青鷺や鳥には鳥の立ち話       天天天地地地人  喜の字
青鷺や加茂の流れに半跏思惟     天地人       芝浜
青鷺の降りて辺りの静寂かな     天地人       風写
ただ一羽青鷺発ちて群れを見ず    天人人       風写
青鷺や山手の道を往く婦人      天人        酒倒
一陣の風過ぎて凛と青鷺       天人        小波
青鷺や湖面に乱る白い月       天         逆月
青鷺の飛び立つ水の凹みかな     天         仲春
風切って青鷺翔つや隠れ沼      天         逆月


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つぶやき再録

★逆月さんの選句とつぶやき-------------------------------------------

滅入る句会の皆様、お元気ですか。大枚はたいて「俳句で綴る変哲半生記」を求めました。これから楽しみます。

【青時雨】
天 終バスが峠に消えて青時雨
地 青時雨犬の小屋から出てくる子
人 青時雨ぽつり龍馬に青時雨

意外性という共通項で選びました。天はよく考えると、「見えるのかなあ?」という疑問が。でも、いいじゃないですか、見えたのですこの人には。

【百日紅】
天 寺町の瓦に灼けし百日紅
地 ジャケットの白き女子高さるすべり
人 瓦門残る屋敷の百日紅

色としては紅だけを使った、墨絵をイメージ。最も鮮やかなのは地ですね。

【青鷺】
天 青鷺や加茂の流れに半跏思惟
地 青鷺のいる川越えて町はずれ
人 ただ一羽青鷺発ちて群れを見ず

孤独に耐える、をテーマに選句。
ではまた。


★蝸牛さんの選句とつぶやき-------------------------------------------

【青時雨】
天 告白のはじまりのとき青時雨
地 青時雨犬の小屋から出てくる子
人 雨上がり風が遊んで青時雨

天、愛を告白するときのドキドキが周囲の木々に伝わって、葉のしずくが一斉に落ちたように感じたのかなーと、ロマンティックな想像をしてしまいました。
地、犬小屋から出てきた子は、犬の子だろうか?人の子だったらまたコミカルな句になるなと思いました。
人、ストレートですが、雨上がりに気持ちの良い風が吹き抜ける様子がまぶしかったです。

【百日紅】
天 百日紅言ひたきことのありまして
地 階段の息をなだめる百日紅
人 円満に収む疲れや百日紅

天、確かにあの赤には雄弁さを感じますね。
地、踊り場でふと目を上げると百日紅の花が見事で、ちょっと立ち止まって眺めていたのでしょう。日常の、ふとした幸せのワンシーンですね。
人、人付き合いは、気疲れの積み重ね。それは家族であっても、否あればなおさら。
百日紅おまえもか、なんて問いかけたりして。

【青鷺】
天 青鷺や鳥には鳥の立ち話
地 青鷺の飛び立つを追う五〇〇ミリ
人 深みへと青鷺の歩の大きこと

天、青鷺の顔って、何だか物を考えていそうでおしゃべりすることもたくさんありそうに思えます。
地、青鷺って翼が大きくて、飛び立つ瞬間がとてもかっこいいですよね。大きなレンズでじっと狙う撮影者の姿が目に浮かびます。
人、青鷺の歩幅に目をつけることは思いつきませんでした。悠然と、堂々と歩く姿、改めて青鷺らしいと思いました。


★音澄さんの選句とつぶやき-------------------------------------------

【音澄の選句とつぶやき】

【青時雨】
・青時雨浴びてはじける女学生    天
・終バスが峠に消えて青時雨     地
・チャンバラの待ち伏せ餓鬼や青時雨 人

 この「青時雨」ですが、私が日常的に使っている二冊の歳時記(『最新俳句歳時記・夏/山本健吉編/文春文庫』、『俳句歳時記・第四版増補・夏/角川学芸出版編』)では、青葉の季節に雨が降り、雨が上がってから青葉に溜まっていた水滴が何かの時にザッと落ちる、降りかかる様子、となっています。この風景は知っている、見たこともある。私はこれを基準に詠み、選びました。
 投句、選句のmailに、「私が持っている歳時記には、この語が収録されていなかった」という内容が複数ありました。調べてから詠んだという人もいました。歳時記には編集者たちの思いの偏りがあるようです。
 私は私の持っている本の解釈を基準にしたわけです。
 そうすると「見上げた頬に泪落つ」のように、青葉から顔に落ちてきた水を「木の泪」とするのであれば、量が量なので頬に泪落つどころではない状況ではないか、と思いました。あるいは、頬に落ちる泪に上から降りかかる水というのであれば、そこそこの量のはずでずぶ濡れです。また、「水面にひとつ青時雨」も、「ぽつり龍馬に」も、この季語のザッと来る水滴らしくは思えませんでした。
 青葉の広がる木からずっと水滴が落ち続けることがないわけではない、としても、「青葉の季節に降り続ける時雨(これは冬の季語)」のことをいうのではないので、違う方向を向いていると思う句がありましたね。
 で、私が選んだ句は、青葉の美しい木から「バサツ」と水が落ちた瞬間の切り取りの巧い句、でした。選んだ句はどれも大好きで、順番は、実は横並びです。今時「チャンバラをする餓鬼」はいなくなりましたが、待ち伏せして隠れている木の上から「うわっ!」と水が落ちてきた感じが実感できました。
 雨上がりにバス停まで見送りに出て、別れの言葉を交わし、別れた人はバスの客となって行ってしまった。小さくなるバス、見えなくなってしまったバスと、バス停の標識と、「残っている私」と、この視界の中に一瞬青時雨を降らす木がある。この終バスは、まだ明るいうちの終バスでしょう。そのバスが、一日に何本も来ない山間の村落まで来て帰って行く。峠に雨上がりの日がまだ射しているのもいい気分、と風景が浮かびました。

【百日紅】
・ジャケットの白き女子校さするべり 天
・賑やかに法事済ますや百日紅    地
・百日紅ゆらさぬほどに風かろく   人

 百日紅の色を句に詠んでいる句がいくつかあって、金子兜太巨人のいう、季語の「説明」だと思います。
「百日紅」と詠んだ時点で、その色も形も、それが咲いている風景も含めて季語としてそこにある。それが季語の約束です。とても花が長く咲き続けるから「百日」紅、という名前になっている。ということで、季語を詠みこめばそのことは含まれている「前提」があっての俳句です。その「季語という前提」を踏まえて、その先に出て句を詠まないと、俳句になりきらない気がしてならない。世にあるいい句で、季語を説明している句はありません。
 私の選句は、上の通りです。白いジャケットとさるすべりの色の対比、とてもシンプルだけれど、初夏の光の中での白と百日紅の色の対比が鮮やかに見えて選びました。また、もうずいぶん回忌を過ごしてきた法事なので、しめやかに、ではなくなって笑顔まで見えるのがこの花のたたずまいと合っている。

【青鷺】
・青鷺や鳥には鳥の立ち話      天
・青鷺や加茂の流れに半跏思惟    地
・青鷺や語り継がれる農事メモ    人

 前回、喜の字さんが「想像句でも、詠むとなったら、きちんと句を詠んで上手な嘘にしないといけない」というのはまったくその通りで、私はドキリとしました。今回のこの青鷺については私に限れば、想像句を詠む必要はなく、生まれ育った田舎でも、日本各地への旅でも見ているので、鳥同士の立ち話は、いかにもそうだよなぁ、でした。そして、半跏思惟ですよ、あの青鷺が動かず小魚を狙っている形は確かにそうだ。田んぼの間を流れる小川の小魚を狙ってじっとしているのを「半跏思惟」ととらえる想像力が、ああ、あ、すごい。「取り合わせ」である青鷺と農事メモの距離感が私には素敵で、この句は記憶できそうです。


コダーマンの雑貨屋・頑固堂

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このページは、cave(管理人)が2013年5月25日 11:50に書いたブログ記事です。

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