◯ 初冬の兼題は「木枯らし」「七五三」「いちょう散る」です。
【木枯らし】
木枯しやまだ漂泊の夢を見る 天天天人人 音澄
木枯しに妻の林檎を剥いている 天天天人 音澄
木枯しや行方知らずの友ひとり 天天地地 仲春
木枯しの止みて呼び交う鴉かな 天地地地 芝浜
木枯らしに交じるブラスの課題曲 天地地人 呑暮
木枯らしや回覧板の遅れ来る 天地地人 魯斗
木枯しや東京タワーの箔落ちて 天人 即馳
木枯しの声に顔出す我が尿意 天人 即馳
木枯しに押されて速し千切れ雲 天 魯斗
木枯しに一夜で白髪の裏山路 天 風写
【七五三】
礼服が三脚担ぐ七五三 天天天人人人人 呑暮
七五三ひなたに佇む写真館 天天人人 酒倒
七五三勝った負けたと妻が言う 天天 好喜
七五三袴に鷲の躍りけり 天地人人 仲春
神前で欠伸の子等や七五三 天地人 喜の字
参道の露店の低く七五三 天地 磨角
生かされて写真はセピアに七五三 天人 風写
うちの孫日本一なり七五三 天 喜の字
七五三両家四代参拝す 天 魯斗
元ヤンの父母のTシャツ千歳飴 天 逆月
抜刀し勝負を挑む七五三 天 即馳
【いちょう散る】
散る銀杏踏む音かろき女坂 天天天天 芝浜
銀杏散り渡る人なき太鼓橋 天天天地 酒倒
大木も無一物なり銀杏散る 天天地地人人 魯斗
いちょう散る賽銭箱の中にまで 天天地人 仲春
日をまとい日を放ちて銀杏散る 天地人 魯斗
銀杏散るタイトルロールのごと歩く 天地 磨角
いちょう散る部活のダッシュ夕日浴び 天人 好喜
銀杏散る音なき音と夕餉の香 天 即馳
★逆月さんの選句とワンワードつぶやき-----------------------------------
【凩】
天 木枯しや行方知らずの友ひとり
地 木枯しや音のずれてるチンドン屋
人 木枯しやまだ漂泊の夢を見る
漂泊者の寂寞、みんないいヤツばっかり・・・・・・・。
【七五三】
天 神前で欠伸の子等や七五三
地 七五三宮司の読めぬキラキラ名
人 七五三おばばが呉れた花草履
しきたりは結構ですが、現在のあればっかりはいただけません。グロテスクだ。
【いちょう散る】
天 散る銀杏踏む音かろき女坂
地 大木も無一物なり銀杏散る
人 銀杏散る奥の医学部解剖中
真っ直ぐで、金色に光る刃の、盛り短きところがいさぎよい。
★小間使いさんからのお知らせ-------------------------------------------
磨角さん から。
このたび2冊目の本が出る事になりました。
『相方が鉄ちゃんでして...』洋泉社
ゆる~いコミックエッセイです。
発売日に書泉グランデでイベントを開催します。
https://www.shosen.co.jp/event/7562/
ご都合よろしければぜひお立ち寄り下さいませ。