◯ 仲冬の兼題は「底冷え」「くしゃみ」「葛湯」です。
【底冷え】
底冷えや男を布団に招き入れ 天天地 磨角
底冷えや胴打ち一閃白袴 天天地 即馳
底冷えの土俵に滾る鬼の息 天天人 出船
底冷えをてけてけてけと明けの犬 天天 出船
底冷えや豆蒸す湯気の白の濃さ 天地地 音澄
底冷えや土蔵の錠前堅くなり 天地人人人 雪童
底冷えに汲む井戸水のやわらかく 天地人 音澄
底冷えやあわれメールの誤字脱字 天人 呑暮
支那そばを待つ底冷えの舗道かな 天人 芝浜
【くしゃみ】
帰り道くしゃみ一つに過去放つ 天天地人 出船
くしゃみしてハナも屁も出る老いきたる 天天地 音澄
くしゃみしてピカソの顔になりにけり 天天 仲春
納戸から小さきくしゃみかくれんぼ 天地地地地人 磨角
大くさめ気配のありて一二秒 天地人 菫女
筋肉美見せて銭湯大くしゃみ 天地 雪童
くしゃみして不運吐き出す阿吽前 天人 風写
バスの列響くくしゃみにお人柄 天人 出船
やすやすとくしゃみをしたり快癒かな 天 見燗
大小のくしゃみ白波散骨す 天 即馳
【葛湯】
匙持つ手無骨な父が葛湯練る 天天地人 雪童
葛湯飲み投網のほつれ縫い合わす 天天地人 即馳
拗ねるのと同じくちびる葛湯吹く 天地地地 磨角
薄命の友を葛湯に透かし見し 天地 風写
今朝ほどは両手に包む葛湯椀 天地 風写
舞台閉ねストリッパーの飲む葛湯 天人人 仲春
頬紅き子らの葛湯や洞の中 天 酒倒
ずる休み午前十時に吹く葛湯 天 出船
夏の日を根に蓄えて葛湯かな 天 出船
夜更かして期限切れたる葛湯吹く 天 酒倒
葛湯飲みもう一年と共白髪 天 即馳
新しい年も、変わらず淡々と続けます。
本当の宗匠である仲春さんが、皆さん腕を挙げてきたなぁ、
と申しております。
・磨角さん参加の俳句展は、こういう風景
ではでは 小間使い