2017年10月アーカイブ


◯ 晩秋の兼題は「十月」「公孫樹散る」「新酒」です。

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【十月】
十月やうねのこすれたコーデュロイ   天天天天地    音澄
大伽藍十月の空切り取りて       天天地人    雨不埒
十月の淡き影踏む海にをり       天天地      磨角
十月の雨踊り出す池之端        天地地人人   雨不埒
十月の暮れの早きを肴にし       天地地      呑暮
十月や自転車の風首すくみ       天地人人     雪童
十月を匂いて犬は空を知り       天人人      出船
十月は黄昏の国長き影         天人       芝浜
花の種揉み蒔き散らす十月の庭     天        山女
十月の庭は名知らぬちさき花      天        菫女

【公孫樹散る】
散る公孫樹膝にあつめて足湯かな    天天天      仲春
公孫樹散る世界一周さかあがり     天天地      青羽
公孫樹散る踏みつよけつつ老夫婦    天天地      好喜
職場去る毅然たるひと公孫樹散る    天地人人     出船
それでいいそれでいいよと公孫樹散る  天地人      即馳
片想ひおほいつくして公孫樹散る    天地       芝浜
走り行く車にスタンプ公孫樹散る    天人       山女
夜通しの風に銀杏の裸体かな      天人       風写
天空に線画を描き公孫樹散る      天人      雨不埒
公孫樹散る渡り廊下の三人衆      天        磨角
澄む朝の路面も見せず散る銀杏     天        風写

【新酒】
憂き節も胃の腑に落とす新酒かな    天天地地人人  雨不埒
膝小僧くっつく席の新酒かな      天天人      磨角
表情の硬き杜氏の新酒唎く       天地地地地人人  音澄
新酒酌む猪口選びつつ夕間暮れ     天地地      好喜
清貧も壺覗きこむ新走り        天地       風写
酒林くぐりて多摩の新酒きく      天地       菫女
新酒得て早めにつかる湯舟かな     天人人      仲春
新酒酌み過ぎて無体な自己主張     天人       酒倒
杉玉を見て購いし新酒かな       天        酒倒
風土濾し新酒の風味ほのかなり     天        即馳
定番の説教かわし新酒酌む       天        好喜
新酒かな杯わたる風香る        天        山女
新酒の会一斗で居並ぶ恵比寿さん    天        雪童


★小間使いさんから--------------------------------------------------------

 うっかりでしょうけれど、
 「湖面に沈む」という句がありました。
 沈むなら、湖底ではないでしょうか。
 湖面であれば、浮かぶか映るか。
 詠む人も選ぶ人も、もう少し注意深く。

 それから「五七五」になっていない句が多いです。
 私のスタイルはそれだ、といわれればそれまでですが
 韻文の俳句は、まず五七五にととのえるのが基本。
 山頭火も放哉ももとは五七五の句を詠んでいます。
 推敲を重ねてなお五七五にならないのかどうか、
 ぜひ切磋琢磨を。

 台風が去り、秋が深まり。次回はもう初冬の句会です。


コダーマンの雑貨屋・頑固堂

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