2017年1月アーカイブ


◯ 晩冬の兼題は「春いまだ」「凍港」「こたつ猫」です。

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【春いまだ/春遠し】
目覚めても無明の窓辺春いまだ     天天地地地地人  音澄
耳朶でとらえし夜風春遠し       天天地人人    小波
春いまだ漱石の鬱子規の念       天天       出船
春遠し前髪ぱつんと切りました     天天       小波
春遠し切ない話夜中に来        天地       仲春
傍らに気配なき夜春遠し        天人       見燗
すきとほる水沁み入るや春遠し     天        凛語
春いまだ女の話に尾鰭あり       天        菫女
春遠し杖の老婆は鞠のよう       天        酒倒

【凍港】
凍港にデイサービスのバス巡る     天天天地地人   出船
凍港や旅立つ勇気風に散る       天天人      好喜
凍港や燈台ひとり睥睨す        天地地      雪童
凍港や船のロープの硬きこと      天地人      音澄
凍港を奮い立たすや大漁旗       天地       好喜
凍港や訛ほどよき標準語        天地       青羽
そっと目尻なぞる男や凍港       天        磨角
凍港や魚は焼けて船は出ず       天        小波
凍港の先に浦塩カムチャッカ      天        酒倒
凍港の廃船半ば傾きて         天        芝浜

【こたつ猫】
こたつ猫蹴飛ばし詫びる独り酒     天天天人人    雪童
繰り言の聞き手を降りるこたつ猫    天天地地人    凛語
そんなこたくだらぬことよこたつ猫   天天地地     磨角
迫り来る足に怯えずこたつ猫      天天       出船
おめかしをじっと見てゐるこたつ猫   天地地人人人   小波
今朝もまたあくがるるかなこたつ猫   天人      岩牡蠣
炬燵猫となる夢をみる炬燵かな     天        芝浜
往来もこたつも知らぬCAFEの猫    天        酒倒


★小間使いさんから--------------------------------------------------------

 兼題を出す者として、「想像句」ではどういう世界を
 思い浮かべるのかと、気になったり、
 実体験で詠むとどう詠むのかと、気になり
 楽しみでもありますが、
 今回の「こたつ猫」などは、世界が狭いので
 風景が似るのはしょうがないでしょうが、
  「ハッとする」句は難しかったようですね。

 ではでは 次回はもう春、初春の句会です。

 お楽しみに。


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