◯ 初冬の兼題は「冬晴れ」「焼き芋」「賀状書く」です。
【冬晴れ】
冬晴れの出征の日や母白寿 天天地 逆月
寒日和猿も群れたる檻の角 天天人 風写
冬晴れや機窓の富士を見て飽きず 天地地 仲春
冬日和南向きたる猫の背ナ 天地人 魯斗
冬晴れやゆったり泳ぐ飛行船 天地人 喜の字
冬晴れに唸り続ける洗濯機 天地 風写
冬晴れや子規漱石の下駄の音 天地 喜の字
冬晴れやわれ満身に帯電す 天人人 呑暮
冬晴れや近くに見えて遠き嶺 天人 魯斗
あの日もまた冬晴れに雲ひとつの日 天 蝸牛
冬晴れや窓はガラスの無き如く 天 芝浜
冬晴れや千切れて届く八点鐘 天 磨角
【焼き芋】
焼き芋屋古新聞を読んでをり 天天天地 呑暮
焼き芋や社長不在の昼休み 天天地地地人人 喜の字
大きめに焼き芋分かち姉は去り 天天人 即馳
女子校の前を離れぬ焼き芋屋 天地人人 仲春
風を背に焼芋抱いて帰る子等 天地 魯斗
焼き芋やはふはふ味わう日の匂い 天地 山女
屋台引く故郷の親父似焼きいも屋 天人 雪童
半分こ嬉し焼き芋小さくて 天 蝸牛
両の手に焼き芋包み帰る道 天 風写
焼き芋の湯気を奪いし手をつなぐ 天 蝸牛
【賀状書く】
旧姓に戻りて初の賀状書く 天天天天地地人人人 芝浜
賀状書く人づてに知る彼の事情 天天 山女
病むと聞く恩師に賀状書く愁い 天地人人 音澄
万感を詰めて「元気」と賀状書く 天地 蝸牛
一年を過ごせた証し賀状書く 天人 芝浜
賀状書く子にばあちゃんの字を教え 天人 雪童
会わずして十年経つも賀状書く 天 初音
一筆を添えて絆の賀状書く 天 魯斗
賀状書き猫を飼う件思い出す 天 酒倒
賀状書く宛名の漢字忘れけり 天 山女
★小間使いさんから--------------------------------------------------
一月になったら、また晩冬の句会をします。
今年も毎月お付き合いをありがとうございました。
というより、一緒に楽しめてよかったです。
ごくごく、軽い気持ちでの作句も歓迎、
やや真剣に詠むのも大歓迎。
時々他流試合でもしながら、俳句の力をつけてください。
上手に詠めるようになると、ますます楽しいです。
では、良いお年を!