◯ 初春の兼題は「冴え返る」「うぐいす」「椿」です。
【冴え返る】
海往きの列車見送り冴返る 天天地人 磨角
冴返る忘るなかれと空の言う 天天地 蝸牛
冴え返る京の露地裏鼻緒擦れ 天天地 逆月
観るひともなき無韻の詩冴え返る 天天 菫女
光芒を曳きし落日凍返る 天天 魯斗
日めくりのまだ重そうに冴え返る 天地地人人 小波
真夜中の電話の向こう冴え返る 天地地 喜の字
酔い覚めの水の匂いや冴え返る 天地人人 呑暮
法要の終えし堂内冴返る 天地 仲春
冴え返り回転木馬起きてこず 天 喜の字
【うぐいす】
笠上げて鶯聴くや托鉢僧 天天天地地人 仲春
揺れ動く木々を目で追う初音かな 天天人 雨不埒
鶯を空耳に聞く老父かな 天天人 芝浜
うぐいすの歌まだ硬き北の森 天地地 駒吉
山靴のきしむ駅舎や花見鳥 天地人 逆月
裏切らぬことのひとつは初音なり 天地人 菫女
鶯の長き静寂息とめて 天人 蝸牛
鶯の鳴く庭そこも売り家かな 天人 喜の字
うぐいすやケキョの宛字を考える 天 酒倒
うぐいすや匂い来る枝待ちわびて 天 山女
句帳開く歌詠鳥にあやかりつ 天 芝浜
【椿】
花を愛で仏に会わぬ椿寺 天天天地 音澄
古道果て平らな海や藪椿 天天地地人人人 磨角
雨粒の赤々と澄む椿かな 天天人 呑暮
老女なを欲張りを言ふ紅椿 天地 菫女
鹿威し椿一輪うかべおり 天人人 芝浜
十戸と云ふ峡の在所や山椿 天人 魯斗
息詰めて焼香するや椿の家 天 喜の字
落ちながら美醜を変える椿かな 天 音澄
待ち呉れし人無き庵の落椿 天 魯斗
雨重ね咲き満ちてゆく椿かな 天 山女
赤満ちて堪えきれずに椿落つ 天 小波
海往きの列車見送り冴返る 天天地人 磨角
冴返る忘るなかれと空の言う 天天地 蝸牛
冴え返る京の露地裏鼻緒擦れ 天天地 逆月
観るひともなき無韻の詩冴え返る 天天 菫女
光芒を曳きし落日凍返る 天天 魯斗
日めくりのまだ重そうに冴え返る 天地地人人 小波
真夜中の電話の向こう冴え返る 天地地 喜の字
酔い覚めの水の匂いや冴え返る 天地人人 呑暮
法要の終えし堂内冴返る 天地 仲春
冴え返り回転木馬起きてこず 天 喜の字
【うぐいす】
笠上げて鶯聴くや托鉢僧 天天天地地人 仲春
揺れ動く木々を目で追う初音かな 天天人 雨不埒
鶯を空耳に聞く老父かな 天天人 芝浜
うぐいすの歌まだ硬き北の森 天地地 駒吉
山靴のきしむ駅舎や花見鳥 天地人 逆月
裏切らぬことのひとつは初音なり 天地人 菫女
鶯の長き静寂息とめて 天人 蝸牛
鶯の鳴く庭そこも売り家かな 天人 喜の字
うぐいすやケキョの宛字を考える 天 酒倒
うぐいすや匂い来る枝待ちわびて 天 山女
句帳開く歌詠鳥にあやかりつ 天 芝浜
【椿】
花を愛で仏に会わぬ椿寺 天天天地 音澄
古道果て平らな海や藪椿 天天地地人人人 磨角
雨粒の赤々と澄む椿かな 天天人 呑暮
老女なを欲張りを言ふ紅椿 天地 菫女
鹿威し椿一輪うかべおり 天人人 芝浜
十戸と云ふ峡の在所や山椿 天人 魯斗
息詰めて焼香するや椿の家 天 喜の字
落ちながら美醜を変える椿かな 天 音澄
待ち呉れし人無き庵の落椿 天 魯斗
雨重ね咲き満ちてゆく椿かな 天 山女
赤満ちて堪えきれずに椿落つ 天 小波
つぶやき再録
★磨角さんの選句とつぶやき-------------------------------------------
〈冴え返る〉
天・観るひともなき無韻の詩冴え返る
地・冴返る忘るなかれと空の言う
人・風呂の湯にあちちあちちや冴え返る
つぶやき
「エアーエプロン」が検索しても正体がわからなくて気になっております。
〈うぐいす〉
天・うぐいすやケキョの宛字を考える
地・裏山の もひとつ裏から 初音かな
人・大切な話しはうぐいすの後で
つぶやき
天の「宛字」は面白いですね。ホーは「宝」「芳」「萌」あたりでしょうか。
「奉」「訪」も合いそうな。地は遠くから声がする感じが素敵です。
人の初音に気もそぞろな雰囲気が良いです。
〈椿〉
天・花を愛で仏に会わぬ椿寺
地・老女なを欲張りを言ふ紅椿
人・情熱のラスゲアードや散椿
つぶやき
天はお庭が楽しくてご本尊をスルーしてしまうことが私もあるなぁと(笑)
地の「老女なを欲張り」が枯れつつ枝に残る椿の花と重なって見えます。
人は椿のゴージャスな容姿とギターの音色が相まって”散る”が劇的で格好いいです!
★逆月さんの選句とつぶやき-------------------------------------------
果ての雪はまばゆく美しいけれど、今年はすぐ、「大変だろうなあ」と思ってしまいますね。さて今回は、「これっ!」というのがない代わりに、天地人へのノミネート句がずらりとあって迷いました。
【冴え返る】
天 光芒を曳きし落日冴え返る
地 冴え返り客なきままの朝の市
人 酔い覚めの水の匂いや冴え返る
音読してみて思わずブルッと、寒くなった句を優先しました。
ノミネートは、校庭、回転木馬、昇降機、山脈、白き雨、キース・ジャレット、ねっ、多いでしょう。
【うぐいす】
天 笠上げて鶯聴くや托鉢僧
地 鶯を聴いてシャドウの色変える
人 うぐいすに耳そば立てる塀の猫
「どこにいるんじゃ?」と、ヤキモキさせるところが春告鳥の面目です。
ノミネートは、ケキョの宛字、ママの靴、ひと鳴きを、鎌倉に、炭を焼く、裏山の、でした。
【椿】
天 待ち呉れし人無き庵の落椿
地 午睡して曇り硝子に椿見ゆ
人 十戸と云ふ峡の在所や山椿
ええ、ローカルというかフォークロアというか、景色のどこかに、春暖のひそみを感じられる句ばかり。ノミネートは、一柱を、雨重ね、仏に会わぬ、古道果て、鹿威し、赤満ちて、手水鉢。
以上です。
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「異端者三鬼」という第5章、読み始めたら面白いこと!異端者が書いた異端者の迫力です。