◯ 晩夏の兼題は「灼く」「胡瓜」「アロハシャツ」です。
【灼く】
ひっそりと引き戸のレール灼ける午後 天天地人人人 芝浜
綱手繰る潮に灼けたる深い皺 天天地人人 菫女
西域の灼けて果てなき砂の道 天天地 音澄
ハングルの空き缶錆びて砂灼ける 天天人人 呑暮
灼くる日や一顎杖に乗せて立つ 天地地地人 魯斗
風灼けて一人ひとつの黒い影 天地地地 蝸牛
滝壺の水より上の岩灼けて 天人人 音澄
風灼くる猪首の影を引き摺りて 天 魯斗
灼くる日の水弾く肌懐かしむ 天 磨角
ヂリヂリと灼けてヂリヂリ田んぼ道 天 雪童
気になるなあスマホも灼いてる若女 天 酒倒
【胡瓜】
初摘みの胡瓜の棘の強さかな 天天天天地地人 喜の字
井戸水に揺れて胡瓜や孫の声 天天地 雪童
曲がれども切れば胡瓜は胡瓜かな 天地地 風写
休む手に野良吹く風や胡瓜食む 天地人人 風写
時失くし老父が持ち来る胡瓜かな 天地 山女
父キュウリ孫はショコラのお八つかな 天人 喜の字
つつがなき日々の端々きゅうりもみ 天人 磨角
個性無く整列するや箱胡瓜 天 雨不埒
犬小屋の屋根に胡瓜の蔓の這ふ 天 魯斗
ビーバーの歯型きゅうりに三歳児 天 芝浜
出盛りに胡瓜の太きかっぱ巻き 天 音澄
【アロハシャツ】
大戦も遠くに隠しアロハシャツ 天天天人 雨不埒
アロハシャツ人の波濤を越えてゆく 天天天人 即馳
将棋指す昼の役場のアロハシャツ 天天地人人 呑暮
病棟の窓に眩しくアロハシャツ 天地地人人 風写
敗戦を嘆いた父のアロハシャツ 天地人人 喜の字
古着屋でアロハを漁る作務衣翁 天地 風写
フラ踊る老婆着こなすアロハシャツ 天人 音澄
アロハシャツはだけて孫と滑り台 天 魯斗
アロハシャツ鼻歌もでる勤務かな 天 駒吉
足取りも異国のリズムアロハシャツ 天 磨角
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