2014年4月アーカイブ


◯ 晩春の兼題は「花筏」「蛍烏賊」「春の虹」です。

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【花筏】
花筏美しことのは子に伝へ      天天天天      菫女
ゆらゆらと宴連れ行く花筏      天天天天      蝸牛
花筏夕闇誘う黄泉の舟        天地地       蝸牛
石垣を這い登るほど花筏       天地        音澄
好きという代わりに見せる花筏    天地        小波
橋いくつくぐり海へと花筏      天人       喜の字
約束はひととせを越へ花筏      天         逆月
深山から息吹の便り花筏       天         魯斗

【蛍烏賊】
一湾はひかりの器ほたる烏賊     天天天地地地人人 喜の字
ビル地下の小さき季節やほたるいか  天天地人人人人人  菫女
もてなしは闇夜にたゆたふ蛍烏賊   天天地       魯斗
蛍烏賊きっと何かを言ふてをり    天地地       逆月
立山と共に生きるや蛍烏賊      天地地       酒倒
ほたるいか入り日のあとを受け光る  天地        魯斗
居酒屋の壁に新顔ほたるいか     天人        小波
ほたるいか旅路の夢に灯をともす   天         好喜
ほたるいか世は不可解を騒ぎおり   天         菫女
ほたるいか果ては醤油に溺れけり   天         芝浜

【春の虹】
春の虹振り向けばもう空ばかり    天天地       音澄
豆腐屋の声や表に春の虹       天天人       呑暮
根元には夢を埋めて春の虹      天天        芝浜
春の虹少女に還る一日あり      天天        磨角
初恋や肩でこゑ聴く春の虹      天地人       逆月
父無き子乗せてやりたし春の虹    天地        仲春
吉野山息切らし来て春の虹      天地        好喜
春の虹追いて少女は屋上へ      天地        蝸牛
地下鉄を駆け上がるとき春の虹    天人        小波
人のもつ脆き肉体春の虹       天         菫女


◯ つぶやき再録 ◯

★逆月さんのつぶやき一瞬選句未練-------------------------------------------

【花筏】
天 石垣を這い登るほど花筏
地 内堀に六曲一双花いかだ
人 くるくると風が通って花筏

世の俳句読みの常識では、「花筏」は「花」の傍題として、市民権を得た季語ですよね。でも、私めが持っている歳時記、季寄せの中で、「花筏」が季語として載っていたのは、山本健吉の「季寄せ」だけでした。それも花の傍題。淡緑色の花を葉(筏に見立てた?)の上につける全く別の植物であること、知りませんでした。どのようなことになっているのか知りませんが、もうちゃんと入れてもいいのではと思いました。

天は「這い登るほど」がニクイです。地の「六曲一双」、人の上五中七、静と動が感じられてダイナミック。

【蛍烏賊】
天 一湾はひかりの器ほたる烏賊
地 瀬戸黒に星三つほどのホタルイカ
人 ビル地下の小さき季節やほたるいか

天の「雄大」を、読み知ってから、ビル地下で一献。

【春の虹】
天 父無き子乗せてやりたし春の虹
地 春の虹振り向けばもう空ばかり
人 地下鉄を駆け上がるとき春の虹

天。明るいねえ。こんなのがつくれるのは「いい男」だろうね。(おんなだったりして!)


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