◯ 晩夏の兼題は「朝焼け」「夏薊」「日焼け止め」です。
【朝焼け】
朝焼けやきょうも命の入れ替わり 天天天天地人 音澄
山城に湧く雲染めて朝焼ける 天天 酒倒
木の間より朝焼けの色地にこぼれ 天地地地 音澄
朝焼けや病いつしか治まりぬ 天人人 出船
朝焼けや病気の猫の息を見る 天人人 蝸牛
朝焼けや微睡み覚ます夜行バス 天人 好喜
朝焼けや不忍池のひとしずか 天 磨角
朝焼けや雲間にオレンジ光つぼ 天 山女
朝焼けや緋色と藍の幕を引き 天 雪童
【夏薊】
弾みつけ降りるリフトや夏薊 天天地人 仲春
むきだしの愛の疲れや夏薊 天天人人 蝸牛
夏薊風に遅れて揺れにけり 天天人 見燗
夏薊爆ぜし原子炉従へり 天天 出船
夏薊折りてあの日の香りあり 天天 見燗
伏せられしまなじりの青夏薊 天地地 磨角
鉄路錆び枕木割りて夏薊 天地人人 雪童
夏薊やや武装して色保つ 天地 菫女
【日焼け止め】
光合成要らぬ人類日焼け止め 天天地地 音澄
波音や鼻歌も混ぜ日焼け止め 天天地人人人 好喜
日焼け止め恋は矛盾に満ちしもの 天天 出船
日焼け止め塗りて墓参の列につく 天地地人 菫女
触れたくて夕日悲しき日焼け止め 天地地人 酒倒
一心に日焼け止め塗る坊主かな 天地 出船
ためらいを隠すゆびさき日焼け止め 天人人 磨角
柔肌やかひな抱かれ日焼け止め 天 即馳
日焼け止め白浮き肌の授乳中 天 蝸牛
日焼け止め塗り残してや肩甲骨 天 芝浜
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