◯ 晩夏の兼題は「送り梅雨」「蟹」「メロン」です。
【送り梅雨】
送り梅雨靴を片手に父帰る 天天地地地人 雪童
送り梅雨白身魚を薄く引く 天天人人 呑暮
紺碧の足爪晴れて送り梅雨 天天 即馳
点滴を横目に外は送り梅雨 天地人 雨不埒
天職を求めあぐねて送り梅雨 天地人 出船
その後の言葉無くして送り梅雨 天地 磨角
濁流に赤いボールや送り梅雨 天 仲春
信濃路を別れて揖保路や送り梅雨 天 風写
送り梅雨片道だけの旅支度 天 出船
送り梅雨猛けて聴こへぬ波の音 天 仲春
【蟹】
干されたる茣蓙に蟹這ふ釣の宿 天天天天天天人人 仲春
入日影白き腹見せ蟹死せり 天天地地人 出船
小走りの蟹につけたし万歩計 天天人人 好喜
沢蟹の背なや赤々透ける水 天天人 風写
一筆と友から届き蟹二杯 天 雨不埒
【メロン】
駅前の目付き鋭きメロン売り 天地地地地人 呑暮
退職を決めし夫にメロン切る 天天人 仲春
頭数八揃ひたりメロン切る 天地人人 菫女
文机や宛てる漢字のないメロン 天地人 酒倒
初物を供へてメロン農家かな 天地 仲春
父食はぬメロン団らん不在の日 天地 好喜
メロン匂ふ夜の隙間に忍びこみ 天地 磨角
熟してもウリ科の匂いメロンかな 天 音澄
五日見てずしりと掬うメロンかな 天 出船
裏門を押される嗅がれるメロンかな 天 風写
ごめんメロン匙を差し出し兄笑う 天 即馳
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