◯ 仲秋の兼題は「初雁」「青蜜柑」「秋の田」です。
【初雁】
初雁の鳴きて仰いだ空の碧 天天地地地 岩牡蠣
初雁の点描失せし虚空かな 天天地 出船
初雁をいそぎ描き足す水彩画 天天人人人人人 音澄
空を切る一列ゆるり雁渡る 天天 山女
雁が音や湖面に降りて昇る月 天地人人 風写
はつかりの飛行機雲と交錯し 天地人 酒倒
初雁の夕空の元魚焼く 天地人 菫女
阿武隈の翳濃き雲に雁渡る 天地 仲春
初雁や国境の無い地球旅 天人人 雨不埒
初雁や行く先示す渡りかな 天 雨不埒
初雁や指差す吾子の三輪車 天 青羽
【青蜜柑】
青みかん世間話の手に転ぶ 天天天地地地 酒倒
青みかん揉みつ睨むや将棋盤 天天地地 青羽
青みかんマニキュアの爪香りづく 天天地人人人 山女
路線バスすれすれ通る青みかん 天天地人人 仲春
青みかん暦に赤の増える月 天天地 呑暮
見え隠れ葉裏に恥じて青みかん 天地人 風写
四度目の縁談来たり青みかん 天地人 好喜
諍いの声消え夜半の青みかん 天 出船
ジョギングに目覚めたる朝青みかん 天 出船
【秋の田】
秋の田や風の姿を写しとり 天天天地地 即馳
秋の田の西に汽水湖ひかり満つ 天天地地地 音澄
秋の田や空の境に実りあり 天天地地人 呑暮
秋の田の干す穂に隠れ子ら遊ぶ 天天 岩牡蠣
秋の田や田を継がざりし子の負い目 天地地人人人 仲春
稔田や幾千本の風の道 天地人人人 好喜
秋の田の黄金の風や笛・太鼓 天地人 風写
秋の田や幼なじみのかげぼうし 天人 青羽
秋の田や口笛吹けば風歌う 天 呑暮
秋の田や影になるまで刈ってをり 天 仲春
ナマイキですが苦言を。
選句が少し安易な気がします。「私がいいと思ったんだから、いい」
のですが、俳句として変な句、また、同じ着想の有名な句がすでにある句。
想像句の「想像が」現実離れしすぎている句が選ばれています。
選句の力をつけることが俳句上達の道と教わりましたし、多くの宗匠が
そう言っています。はい、ナマイキな苦言でした。
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