◯ 仲冬の兼題は「霜枯れ」「行火」「鏡餅」です。
【霜枯れ】
霜枯や老いたる歌手は旅にあり 天天地人人 喜の字
バス降りて霜枯れに染む空の青 天天 好喜
霜枯れや更地に記憶乱さるる 天地地地人 呑暮
霜枯れや川霧立てる日の光 天地地人 風写
霜枯れやビー玉ひかる池の中 天地 雪童
霜枯れて赤ばかり減る毛糸かな 天地 小波
霜枯や田畑売るか売るまいか 天 喜の字
霜枯れや松越し望む二重橋 天 星目
「熊に注意」霜枯るる道山に消ゆ 天 好喜
冬野菜霜枯れ前に藁囲い 天 山女
【行火】
白い灰ひと夜の夢見行火かな 天天天地 山女
老い猫の寄り添う行火そのままに 天天地地人 音澄
海鳴りの行火の宿で逢ひにけり 天天 磨角
蹴り出さるものよ行火と親心 天地人人 呑暮
果てしなや行火の上の紙相撲 天地人 仲春
行火抱きお医者は嫌と泣く子かな 天人 仲春
夜抱かれ朝蹴り出さる行火かな 天人 酒倒
炭くべる姐やは行火に顔を寄せ 天 雪童
【鏡餅】
床の間に光射しけり鏡餅 天天天地地人 酒倒
刃を入れて抜き差しならぬ鏡餅 天地地人 仲春
魂祭る二十八日鏡餅 天地地 星目
蓋開けぬピアノの上の鏡餅 天地人 音澄
橙を回してみたり鏡餅 天地 磨角
鏡餅実物知らぬ子が描く絵 天人 岩牡蠣
もち直せ反核世界へ鏡餅 天 風写
モニターに鏡餅映し席外す 天 音澄
搗き立ては撫で擦りたや鏡餅 天 雪童
過ぎし年潔かしや鏡餅 天 星目
皆様方はどうなのかわかりませんが、投句よりも選句の方が毎度毎度苦悶します。
自分でひねり出した句は満足できるかできないかの違いはあれど最後はえいや!で出してしまうからいいのだけど、たくさんの句の中から選ぶ作業というのは本当に難しい。
まず意味がわからない言葉がある。何が何やらわからない句もある。
素直に理解できて映像も浮かびいい句だなあと感じる句もあるけれど、意味を調べたりしているうちに、あー、なるほど、そういうことなのかあ、そこに目を付けたのかあ、なかなか味わい深いぞ、となることもある。
何やら良さげではあるけれど自分の想像力が足りないために、何だかよくわからん、で済ましてしまっていることもある。
自分がこれはいいと思った句に全然票が入ってない。その逆も多い。
新聞や本やテレビなど、極力俳句に触れるようにはしているものの、まだまだ味わう力、すなわち審美眼が足りてないとつくづく思う。
上級者や偉大な俳人たちの句を数多く味わって養っていくということしかないのでしょうかね。
★小間使いさんから--------------------------------------------------------
ということで、一年間楽しめましたか。
季重なり、文語の間違い、旧仮名遣いの間違いなどなどもありましたが
ますます研鑽を重ねて、俳句を楽しく詠んでください。
新年、いつものように17日あたりに兼題をお届けします。
風邪などひかぬよう。
良いお年を!
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