◯ 初夏の兼題は「麦秋」「初鰹」「かみなり」です。
【麦秋】
古書棚にまだ陽は射して麦の秋 天天天人人 風写
麦秋や岬の果てはずっと青 天天地地地人 酒倒
乗り継いで乗り継いで麦秋の駅 天地地人 喜の字
麦の秋いよよ色深む雨重ね 天地 山女
山脈の影濃く落ちて麦の秋 天地 逆月
どこまでも道どこまでも麦の秋 天人人 魯斗
日食の育ちゆく宙麦の秋 天人 駒吉
金色の慎太郎刈り麦の秋 天人 音澄
麦秋といえど麦なき干拓地 天 音澄
麦秋の下に腕ぶす蟲の精 天 酒倒
【初鰹】
枡の縁まろき居酒屋初鰹 天天天天地地人人 豆蛙
初鰹これが最後と言ふ母と 天天天地 魯斗
鉄の香をかすかに秘める初鰹 天地人 音澄
ただ一艘錦の舟出や初かつお 天地人 風写
初鰹まだ伸ばす気の寿命かな 天人 豆蛙
哀れなりカルパッチョだと初鰹 天 音澄
初鰹黄緑の木々目に染みる 天 駒吉
所帯など持とうとするな初鰹 天 呑暮
【かみなり(雷)】
雷の掴みかかるや黒き海 天天地人 音澄
迅雷や街はキリコの絵となりて 天天人 磨角
遠雷や脱藩の道急ぐ声 天天 駒吉
山門の雷神雲に駆け上がり 天地地 音澄
雷来たる宙に電気は山とあり 天地人 酒倒
遠雷や大工は煙草を一服す 天地 喜の字
いかずちや殺し文句を探しをり 天 逆月
雷や頬のうぶ毛の濡れ光り 天 呑暮
雷鳴に風なまぐさく膨れくる 天 魯斗
落雷に一新したき我が身かな 天 風写
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