◯ 晩夏の兼題は「日盛り」「草いきれ」「扇風機」です。
【日盛り】
日盛りの墓碑に動かぬ白い傘 天天天天地地地人人人 風写
日盛りを来れば茶請けの塩昆布 天天天地人人 魯斗
日の盛り山車軋みつつ曲がりけり 天天 仲春
カツ丼を喰って出ていく日の盛り 天地人 音澄
競技場に動く者なき日の盛り 天 音澄
速達をいざ出しに行く日の盛り 天 逆月
日盛りのデモに寂聴生き菩薩 天 風写
【草いきれ】
わが村は草いきれあり瀬音あり 天天天天人 菫女
草いきれ微動だにせぬ石舞台 天天 喜の字
山歩く蒸れたバンダナ草いきれ 天天 酒倒
吊橋を過ぎてふたたび草いきれ 天地地 仲春
振り向けば廃炉の屋根や草いきれ 天地人 風写
ふるさとの荷ほどくとき草いきれ 天地 小波
草いきれ草の吐息と思ひけり 天人人 魯斗
ともがきの唾のにおいや草いきれ 天 呑暮
【扇風機】
暑がりの棺に向けたる扇風機 天天天地 仲春
身の丈に合った広さや扇風機 天天 雨不埒
経を読む僧に首振る扇風機 天地地人 音澄
扇風機要らぬ知恵満つ旧家かな 天地地 仲春
扇風機宿なし猫と分かち合う 天地人 魯斗
軽き世や音の静かな扇風機 天地人 菫女
風喰えば鉄の味する扇風機 天人 酒倒
天井にただ居るだけの扇風機 天 芝浜
緊迫の最後の一手扇風機 天 小波
扇風機やがて老人眠らせる 天 喜の字
最近のコメント