◯ 仲冬の兼題は「寒波」「重ね着」「晦日蕎麦・年越しそば」です。
【寒波】
寒波来る空に国境なかりけり 天天天天地地人 喜の字
寒波来る月のしずくか流星群 天天天 山女
海黒く山白化粧寒波きぬ 天天人 雪童
アラ還や膝にチクリと来る寒波 天天 雪童
尋ね人三行広告寒波来る 天地地人人人 芝浜
きのふより干芋甘し寒波来る 天地人 菫女
出不精の心に施錠寒波来る 天 魯斗
寒波来て出棺の列くろぐろと 天 酒倒
寒波来る今日の煮物の塩辛さ 天 蝸牛
【重ね着】
重ね着が島の朝市のぞき込む 天天天人人人 仲春
逢う日には重ね着できぬ恋はじめ 天天天人人 蝸牛
居酒屋のハンガー足りぬ厚着かな 天天地人 酒倒
重ね着を脱いで話の長くなる 天地地地 魯斗
重ね着を脱皮していく露天風呂 天地 雪童
重ね着や言ひたきことは別のこと 天地 磨角
重ね着がぞろぞろぞろとぼや騒ぎ 天地 音澄
重ね着やいつもの路地は狭くなり 天地 雨不埒
床屋出て坊主頭に厚着する 天人 魯斗
重ね着や袖口ゆるきカーディガン 天人 音澄
重ね着や際立つ脚の美しさ 天 即馳
【晦日蕎麦・年越しそば】
黙しても事足るふたり晦日蕎麦 天天天天天地人人 魯斗
勘三郎ひとくち啜れよ晦日蕎麦 天天地地地人 喜の字
池之端鐘の余韻の晦日蕎麦 天天地人 喜の字
しずくごと年を振り切る晦日蕎麦 天地地地地人 呑暮
湯屋を出で鐘聞くほどの晦日蕎麦 天地人人 風写
父母も祖父祖母もなく晦日蕎麦 天地人 音澄
無き年もままあり今年の晦日蕎麦 天 菫女
「こうもり」の序曲に針や晦日蕎麦 天 磨角
起こされて寝ぼけ眼の晦日蕎麦 天 仲春
晦日蕎麦勤めを終えし箸二膳 天 蝸牛
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