◯ 晩秋の兼題は「秋祭り」「野の錦」「栗羊羹」です。
【秋祭り】
輪の中に久しき顔や秋祭り 天天地地人人 逆月
中食も燗酒になる秋祭り 天地地 雨不埒
屋台組む音にはじまる秋祭 天地 魯斗
同輩も名士となりて秋祭 天人人 酒倒
神の名は知らず綿あめ秋祭り 天人 音澄
この村にこれほどの人秋祭り 天人 音澄
五十円握る手うれし秋祭り 天 蝸牛
ドドーンドン朝鳴る合図や秋祭り 天 山女
太鼓の音高く放たれ秋祭り 天 磨角
若き禰宜所作たどたどし秋祭り 天 雪童
シャガールの牛宙を飛ぶ秋祭り 天 菫女
【野の錦】
うたた寝の醒めて車窓は野の錦 天天天地地地人人人人 酒倒
散るものの散りて華やぐ野の錦 天天地地人 魯斗
木道を曲がるたび濃く野の錦 天天地人 仲春
野の錦栞に摘みし黄と赤と 天地地人人 魯斗
尼寺へゆるき坂選り野の錦 天地 磨角
病床に持ってゆきたし野の錦 天人 蝸牛
野の錦街の錦へ拡がりぬ 天 駒吉
天も地も湖も溶け野の錦 天 逆月
休耕田化して果て無き野の錦 天 音澄
野の錦防災無線こだまする 天 菫女
【栗羊羹】
はからずも巴里で虎屋の栗羊羹 天天天地人 喜の字
栗羊羹蒔絵の空に月浮かぶ 天天天地 芝浜
普請場の槌音止んで栗羊羹 天天地地地人人 魯斗
刃を入れてしかと手応へ栗羊羹 天地地人 仲春
おほかたは適当が善し栗ようかん 天人 磨角
切り口に満月のある栗羊羹 天 音澄
故郷の誇り詰め込み栗羊羹 天 駒吉
栗羊羹次の言い訳浮かばずに 天 蝸牛
茶を淹れる骨太の手や栗羊羹 天 逆月
★逆月さんの選句とつぶやき-------------------------------------------
逆月です。つぶやきは選択のキーワードのみです。
【秋祭り】
天 ドドーンドン朝鳴る合図や秋祭り
地 秋祭り出稼ぎお父駅に立つ
人 帰る日を明日と定めて秋祭り
キーワードは「身体を奔るよろこび」
【野の錦】
天 うたた寝の醒めて車窓は野の錦
地 散るものの散りて華やぐ野の錦
人 野の錦わたる颪にさんざめく
キーワードは「もう、ただただ目も眩み」
【栗羊羹】
天 栗羊羹次の言い訳浮かばずに
地 普請場の槌音止んで栗羊羹
人 はからずも巴里で虎屋の栗羊羹
キーワードは「粋なミスマッチ」
★小間使いさんから----------------------------------------------------
つぶやきならぬ、独り言。
魯斗さんから届いたメールの一部です
皆さんの句を読ませていただき、ちょっと悩んだのが幾つか。
「秋祭り」の「山車」「神輿」「清々し」「燗酒」
これって季重ねなんだろうかなぁ・・・。イイ感じなんだけどなぁ・・・。
あと、「出稼ぎのお父」なんですが、
農繁期、収穫期の秋祭りに戻ってくる父ちゃんの「本職」が気になったです。
出稼ぎって冬の農閑期のイメージが強かったモノでして。
正月とか種まきや植え付け前のちょっと早めの春祭りならなぁ、と。
どうも細かなことが気になりだしたのは、老化の証しかもしれない・・・たはは
※小間使い
祭りにつき物の、神輿、山車、など春の祭りであろうが、夏祭りであろうが「そこにあるもの」なので、難しいなぁ、と思いましたが、魯斗さんの指摘は正しいと思いました。
五七五の中に、「季語を一つ」という基本、これが大切。季重りするのであれば、それなりに覚悟が必要のようです。
次回は、もう、初冬です。
毎月25日締め切りの「山本海苔の俳句庵」への投句。
メールで投句できますので、どうぞ。
優秀句だと海苔がもらえる!!
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