脳神経外科の入院生活【脳梗塞入院記3】

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リハビリテーションが始まるまでは、ひたすら安静の日々が続く。眩暈さえ治まってくれば食べ物も美味しくいただける。脳梗塞の発症から退院までの体験ルポルタージュ6回シリーズその三。

看護師がラップトップでやってくる♪

あたしは今まで、さしてたいそうな病気にかかった事がなかった。入院となると、なんと25年以上前に食中毒で世田谷のタレント御用達某胃腸科外科病院に入院して以来である。

ミーハーだからそこへ行ったのではなく、単にその近くに住んでいたからで、未明の強烈なノンストップ下痢嘔吐にもう死ぬかと思い、匍匐前進で必死に辿り着いて警備門を叩いたのがソコだったのである。入院中、病室でドラマのロケなんかがあって、女優のナースが本物に混ざって歩き回っているというヘンな病院だった。

その後、知人や家族の入院の見舞いや付き添いの経験はあるのだけれど、自分が入院することはなかった。今回の脳梗塞が生涯2度目つうことになるわけだが、四半世紀がたった今、久々に入院してみて、病院のシステムが様変わりしていることを実感した。

ひと昔前の大病院といえば、轟音とともに廊下の天井を縦横無尽に走るカルテ輸送用モノレールの軌道が印象的で、これの走行を眺めるのが好きだった。当時は未来的にも思えたものだが...。

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廊下にノートPC。個人情報大丈夫か?

今回、あたしが運ばれた病院は二三年前に移転新築された私立病院であって設備はかなり新しい。ま、今日日のこっちゃしそらそやろ、とは思うが、もはや天井カルテ軌道は廃線。病院の医療情報システムはすべてデジタルネットワーク化されている。

まず入院と同時に、腕に、ビニール製の「患者IDバーコード入りブレスレット」がパチンと装着される。これは退院時にハサミで切断するまで外す事はできない。

ナースや医者は回診の折、ラップトップパソコンを載せたキャスターをゴロゴロ転がしてやってくる。端末にはバーコードリーダーが付いていて、これを患者の腕の、IDバーコード入りブレスレットにピッとやると、ディスプレイにその患者の医療情報と次に施すべき治療等が表示される。

これは誤投薬防止などにも利用されているようで、点滴のときなども、まずはIDバーコードにピッ!そんでもって点滴ボトルにピッ!とやって間違いがなければそのまま「投薬よし!」つうことになるようである。

まあ便利なシステムだが、ナースがあわててステーションに取って返す理由としていちばん目立ったのが「パソコンのバッテリーの充電切れ」つうのもご時世だなあと思った。

医療情報のITネットワーク進行中

国民総背番号制なんつうとやや物騒な感じがするが、入院患者なんてのはある意味囚人みたいなもんだから、早く治して娑婆に戻りたいという気持ちの方が大きく、プライバシー云々で文句を言う気にはあまりならない。この腕に装着されたIDバーコードはある意味むちゃ便利なのである。

たとえばあたしの場合、入院中のこの際ついでに受けといたれ!とメインの脳神経外科以外の外来、呼吸器科と皮膚科と耳鼻咽喉科の診察を受けたのだけれど、ふらりと該当受付に行き腕を差し出し、ピッ!で、現在投薬中のクスリ、血液検査の結果、体温、血圧などのカルテデータがすべて他科の医者のパソコンにさっと表示される。

これで処方する薬のバッティングを避ける事ができ、また診察スケジュールも一覧できるので、他科の医者は、その場で次回の診察を同日の時間順に設定する事が可能なのである。段取り頗る良し。なんで役所はコレが出来んのかね!と思う事請け合いだ。

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病院食メインおかずの選択画面

病室のあたしのベッドの脇には、スイングアームの付いたカード課金の液晶ディスプレイがあって、これでテレビやDVD映画が見られる。病院内オールマイティーのプリペイドカードにチャージしておけば、テレビや DVDのみならず、冷蔵庫、自動販売機、インターネットコーナー、食堂や喫茶店、院内にあるローソンにまで使用可能だ。

バーコードリーダーはベッドにも付いていて、これで自分のIDを入力すると、液晶ディスプレイに自分の医療情報が表示される。次の治療スケジュールや、検査の結果一覧、はたまた病院食のメニューまで。

この病院食のおかずは二択ながら、ディスプレイをタッチする事で自分の好きなものを選ぶ事ができるのだ。いやはや、病院もかわったもんだ。ああ、いつまでも入院していたかった!(2008−02-23 掲載記事を復刻)


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このブログ記事について

このページは、cave(管理人)が2015年7月 2日 05:00に書いたブログ記事です。

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