ツイート
スポンサードリンク
高性能ラジオブームの旗手SONYスカイセンサー5x00シリーズ
あたしの青春時代、五感のうちの嗅覚についての象徴といえば、"花王フェザークリームリンス"だったのだけれど、匂いは書いてもわかんねえだろな~。ま、似たようなものだけど今回は、 "音"に纏るおはなし。
今でこそ、音を我がものにするには、MPEGやらなんやら、どえらいテクノロジと多数の選択肢が溢れかえっている感があるが、当時はいたってシンプルなのであった。小学低学年の頃はオープンリール録音機の時代で、一般家庭ではよほどのマニヤオヤジがいる家か、日舞や長唄のお師匠さんちでしか、自分で録音するなんてことは叶わなかった。
なので大概のガキはそういうことを望みもせず、ラジオのメカに痺れていたのである。むろん、レコードオーディオは今以上に盛り上がっていたが、ガキの手にかなう価格のオモチャではなかったし。ポータブルプレイヤーで雑誌付録のソノシートなんかを聴くのが関の山だった。
その後、当時の若者の流行情報源であったところの深夜放送需要をあてこんでか、高性能ラジオが相次いで発売された。AM/FM/短波3種受信なんて多バンドラジオのたぐいである。SONYの「スカイセンサー5x00シリーズ」が代表株か。ナショナルの「吠えろクーガ!」とか、それはもう賑やかだった。
ところが、1970年ごろからだったか、コンパクトカセットがイキオイ普及しだして、いわゆるラジカセに焦点が移行する。しかしあの頃の日本の(特にSONY)インダストリアルデザインの押せ押せムードは勢いがあったし、オトナはともかく我々ガキの心にはズシン!と響いたなあ。ツマミに触れる触感なんかに痺れたモノである。「ど~だい!え! メイド・イン・ジャパンだぞ」って、made in Japanの感じが誇らしかったものなあ。
※photo:SONY CF1900と筆者(1981年)
東芝「Scoop」から SONY 「Pro1900」へ
裕福な家庭に育ったわけではなかったので、高級な機種を手に入れたことはない。だけど何故かラジカセには強い思い入れがあったのだ。一番最初は小学校の4,5年だったか。まだ深夜放送に染まるトシでもなかったのだが、わが家にコンパクト・カセットコーダーがやってきた。これは所謂ラジカセ(ラジオ・カセット・テープレコーダー)ではなく、単なるカセットレコーダー&プレイヤーである。
大きさはVHSテープをふた回りほど大きくしたくらい。当時としてはかなり小型化されていた機種で、たしか東芝製の「scoop(スクープ)」という製品だったと思う。貧乏なくせに英語でも学ばせておこうという、親のムリな皮算用であったのだろうが、あたしはこれで英語を学んだ記憶はない。
小学校の学芸会などで活用したのち中学になり、深夜放送全盛期に入って、ラジカセが主流になりだしたのだが、早期から「scoop」を与えられていた手前、新しいラジカセをねだるわけにはいかなかった。
友人達が自分の5バンドラジオなどを自慢しだすころになっても、あたしはひたすら耐えた。安物のラジオの前に「scoop」を置き、物音を立てないようにしてラジオ番組や曲を録音していたのだ。これを勝手に「空気録音」と呼んでいた。録音中、オカンの「ご飯やで~」の声に激怒したことが数知れずあった。何故イヤホンジャックとマイク端子を繋がなかったって? 意地ですね。そのうち最高のラジカセを手に入れてやる、という。
あの頃ってば、穴の開くほどカタログを見つめたものだ。ラジカセに限らず、単車やクルマでもだが。今の物価と比較するとかなり高価なものだったし、それだけに自分にとって完璧な選択が必要だったのである。で、あまり記憶がさだかではないのだが、あたしが「コレダ!」と惚れ込むラジカセがなかなか登場しなかった。
SONYの「Studio 1700」(CF1700)というのが発売されたとき、かなり心が動いたが、ボディが大振りなのと、円筒形のボタンと、オンオフのときの触感が少し理想と違うと思い耐えた。このあたりの前後関係がどうもよく思い出せないのだが、先にコンポステレオセット(SONY Listen 2000)を買ってしまったのかもしれない。
そうして満を満を満を持して待ちに待ち、発売されるなり「コイツヤ~ぁ、コイツヤっ!」(←くしゃみ講釈)と即購入したのが、「SONY Pro1900」であった。テープ駆動ボタンのメタル質感がやや気に入らなかったが、あとは完璧!!であった。つまみのグレーのトーンといい、スライドする感じといい、デザインサイコー。一日中眺め続けたものである。
それだけ愛したPro1900なのであったが、結局、あっさり誰かに譲ってしまったなあ。その後、あれより欲しいと思う製品に出会った覚えがない。ま、ラジカセ自体に興味が無くなったのでしょうねえ。
当欄を書くにあたりウエブをうろついてましたら、見つけました。ラジカセサイト!なので、こちらに紹介しておきます。当欄本文中に記述のある機種画像も見られます。昔のラジカセに思い入れのある方はお時間のある時にぜひ一度。→「初期ラジカセの研究室」
「ラジカセ」という言葉はパイオニア株式会社の商標らしいです。(2003-04-02 掲載記事を復刻)
Tweet
スポンサードリンク
高性能ラジオブームの旗手SONYスカイセンサー5x00シリーズ
あたしの青春時代、五感のうちの嗅覚についての象徴といえば、"花王フェザークリームリンス"だったのだけれど、匂いは書いてもわかんねえだろな~。ま、似たようなものだけど今回は、 "音"に纏るおはなし。
今でこそ、音を我がものにするには、MPEGやらなんやら、どえらいテクノロジと多数の選択肢が溢れかえっている感があるが、当時はいたってシンプルなのであった。小学低学年の頃はオープンリール録音機の時代で、一般家庭ではよほどのマニヤオヤジがいる家か、日舞や長唄のお師匠さんちでしか、自分で録音するなんてことは叶わなかった。
なので大概のガキはそういうことを望みもせず、ラジオのメカに痺れていたのである。むろん、レコードオーディオは今以上に盛り上がっていたが、ガキの手にかなう価格のオモチャではなかったし。ポータブルプレイヤーで雑誌付録のソノシートなんかを聴くのが関の山だった。
その後、当時の若者の流行情報源であったところの深夜放送需要をあてこんでか、高性能ラジオが相次いで発売された。AM/FM/短波3種受信なんて多バンドラジオのたぐいである。SONYの「スカイセンサー5x00シリーズ」が代表株か。ナショナルの「吠えろクーガ!」とか、それはもう賑やかだった。
ところが、1970年ごろからだったか、コンパクトカセットがイキオイ普及しだして、いわゆるラジカセに焦点が移行する。しかしあの頃の日本の(特にSONY)インダストリアルデザインの押せ押せムードは勢いがあったし、オトナはともかく我々ガキの心にはズシン!と響いたなあ。ツマミに触れる触感なんかに痺れたモノである。「ど~だい!え! メイド・イン・ジャパンだぞ」って、made in Japanの感じが誇らしかったものなあ。
※photo:SONY CF1900と筆者(1981年)
東芝「Scoop」から SONY 「Pro1900」へ
裕福な家庭に育ったわけではなかったので、高級な機種を手に入れたことはない。だけど何故かラジカセには強い思い入れがあったのだ。一番最初は小学校の4,5年だったか。まだ深夜放送に染まるトシでもなかったのだが、わが家にコンパクト・カセットコーダーがやってきた。これは所謂ラジカセ(ラジオ・カセット・テープレコーダー)ではなく、単なるカセットレコーダー&プレイヤーである。
大きさはVHSテープをふた回りほど大きくしたくらい。当時としてはかなり小型化されていた機種で、たしか東芝製の「scoop(スクープ)」という製品だったと思う。貧乏なくせに英語でも学ばせておこうという、親のムリな皮算用であったのだろうが、あたしはこれで英語を学んだ記憶はない。
小学校の学芸会などで活用したのち中学になり、深夜放送全盛期に入って、ラジカセが主流になりだしたのだが、早期から「scoop」を与えられていた手前、新しいラジカセをねだるわけにはいかなかった。
友人達が自分の5バンドラジオなどを自慢しだすころになっても、あたしはひたすら耐えた。安物のラジオの前に「scoop」を置き、物音を立てないようにしてラジオ番組や曲を録音していたのだ。これを勝手に「空気録音」と呼んでいた。録音中、オカンの「ご飯やで~」の声に激怒したことが数知れずあった。何故イヤホンジャックとマイク端子を繋がなかったって? 意地ですね。そのうち最高のラジカセを手に入れてやる、という。
あの頃ってば、穴の開くほどカタログを見つめたものだ。ラジカセに限らず、単車やクルマでもだが。今の物価と比較するとかなり高価なものだったし、それだけに自分にとって完璧な選択が必要だったのである。で、あまり記憶がさだかではないのだが、あたしが「コレダ!」と惚れ込むラジカセがなかなか登場しなかった。
SONYの「Studio 1700」(CF1700)というのが発売されたとき、かなり心が動いたが、ボディが大振りなのと、円筒形のボタンと、オンオフのときの触感が少し理想と違うと思い耐えた。このあたりの前後関係がどうもよく思い出せないのだが、先にコンポステレオセット(SONY Listen 2000)を買ってしまったのかもしれない。
そうして満を満を満を持して待ちに待ち、発売されるなり「コイツヤ~ぁ、コイツヤっ!」(←くしゃみ講釈)と即購入したのが、「SONY Pro1900」であった。テープ駆動ボタンのメタル質感がやや気に入らなかったが、あとは完璧!!であった。つまみのグレーのトーンといい、スライドする感じといい、デザインサイコー。一日中眺め続けたものである。
それだけ愛したPro1900なのであったが、結局、あっさり誰かに譲ってしまったなあ。その後、あれより欲しいと思う製品に出会った覚えがない。ま、ラジカセ自体に興味が無くなったのでしょうねえ。
当欄を書くにあたりウエブをうろついてましたら、見つけました。ラジカセサイト!なので、こちらに紹介しておきます。当欄本文中に記述のある機種画像も見られます。昔のラジカセに思い入れのある方はお時間のある時にぜひ一度。→「初期ラジカセの研究室」
「ラジカセ」という言葉はパイオニア株式会社の商標らしいです。(2003-04-02 掲載記事を復刻)