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霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、マイボーム腺と言う脂肪の腺が詰まってできた脂肪のしこりで、触るとコリコリするが通常痛みはない。治療体験ルポその第二回。(→ 第一回)
初回から三日後、二回目の切開に望む
瞼を切開してから3日が経った。
前回の切開では腫瘍が固まってしまっていて、すべて取り除くことができなかったので、3日後に再来院するようにとの指示を受けていた。雨模様で鬱陶しかったが、朝一番(といっても11時から)に予約しておいたので、よっこらしょ、と出かけた。
はたして、切開後の具合は? というと、眼ヤニはやや少なくなったような感じだけど、相変わらず左目はすぐ曇ってくる。でもまあ腫れからくる痛みはほとんどなくなった。今日、も一度切って、それでも残るようならさらに切って、どんどん取り除いて行くうちに良くなるだろうと、ポジティブに考えることにした。
というわけで、本日は二回目の切開である。時代小説風に言うと「二番斬り」だ。←違うか
二回目、ということで余裕がある。痛さの加減もわかっている。前回も訊いたが、切られながらさらにいろいろ訊いてみようと、診察室に入る。
瞼の状態を診たあとで、医者の説明があった。この霰粒腫という腫瘍は、瞼の内側にできる。わたしの場合は左右の眼とも多数できている。これは他人には移らないそうだが、瞼の中では移動したり別のところにできたりするらしい。その部分を切開して内容物を取り除く作業をしているのである。
ところが4ヶ月におよぶ、ヤブ...前眼科での誤治療により、治っては腫れ、腫れては潰れ、また別のところが腫れ、それが潰れ、をくり返していたもので、腫瘍自体がぐしゃぐしゃになっているうえ、硬化していたりして、掘りだす場所の特定が難しいらしい。
医者:「前回は左上瞼の中央と目尻のところと、右上瞼の目尻のを切開したんですが、左はまだ目頭のところに残ってますから、これを今日取りましょう。んでですね、右目も目頭のところにあるみたいなんですが、はっきり場所がわかりにくくなっていましてね」
偏屈:「はあ」
医者:「だからこれはすこし切ってみて、所在を確認することにしましょう」
偏屈:「よろしくお願いします」
※前回同様、フルリクライニングシートへ、で、まず左目を麻酔する
医者:「あ、今の、痛かったですか?」
全然、痛くない。
偏屈:「いや、痛くないです左は全然。しかし前回、右のときは痛かったんですが、どうしてでしょう?」
医者:「そうですか。いやね、右のほうは、場所がわかりにくくなっているので麻酔のポイントも決めにくいんですよ」
オイオイ、ちゃんと頼むで、麻酔ッ!
瞼はヨコには切れないのだと
プチ、プチ、プツ、プツ、......
前回は最初のことで、メスを使っているのかと思ったが、このプチ、プツ、はどうやら鋏のようである。観察する余裕も出てきた。ま、瞼のことなので見て確認することはできないが... よし、なんか訊いたろ。
偏屈:「あの、いま取っていただいてる腫瘍ですけど、脂肪のようなものなんですか?」
医者:「いや、脂肪ではありませんね~ プチ、プツ、」
偏屈:「いろいろ違う場所にできるということは、アテロームみたいなもの?」
医者:「アテロームとは違います。 プチ、プツ、」
偏屈:「......」
医者:「う~ん、そうですね、強いて言えば、痰、に近いかな。 プチ、プツ、」
偏屈:「え、痰 ですか!!」
なんだ、わたしは瞼の裏に、痰を溜め込んでいるわけか、情けないのう。
偏屈:「カー、ペッ!とできない痰ですか、汚いなあ」
医者:「だからこうして...取ってるワケでして、はい次、右目ね」
いかん、右は痛かったんだ、と身構えた。
プチ、プチ、プツ、プツ、......
医者:「う~ん、右のほうは場所がはっきりしないなあ~、こうやってタテに切って探すしかないんですよ、瞼はヨコに切れないもんでね~」
ヨコに切る!、なるほど横に切れば一刀で右から左まで切開できてしまうが、それでは二重瞼になってしまうではないか! しかし、わたしは横切りと聞いて、即、サルバドール・ダリ制作の映画「アンダルシアの犬」の、眼球を剃刀で横に引き切るシーンを思いだしてしまった。う~、気分悪い。
医者:「こうやってタテに切り目が入ると、そこから目薬が染み込んで効くようになりますから、全部取り出せなくとも治療はできるんですよ。 プチ、プツ、」
わたしの両瞼の内側は、文字通り「膾斬り」になっているワケである。両瞼の裏側に限って言えば、満身創痍状態なのである。ゴルゴ13がベッドインするとき、娼婦はその体中の傷を見てオドロイたり喜んだりするのだが、両瞼をめくって無数の傷を見せても......喜ばんわなあ、娼婦。
両瞼裏を膾斬りにされたわたしは、本日の治療を終えた。
次は5日後の通院となった。待合室で鏡を見てみたら、瞼裏側の肉が少しせり出してきて、奥二重のような趣になってきている。蒙古民族の末裔の証、一重瞼よ、どうなってゆくのか!!
偏屈には、一重瞼がお似合いだ。第三回 につづく(2002-06-20 掲載記事を復刻)
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霰粒腫(さんりゅうしゅ)は、マイボーム腺と言う脂肪の腺が詰まってできた脂肪のしこりで、触るとコリコリするが通常痛みはない。治療体験ルポその第二回。(→ 第一回)
初回から三日後、二回目の切開に望む
瞼を切開してから3日が経った。
前回の切開では腫瘍が固まってしまっていて、すべて取り除くことができなかったので、3日後に再来院するようにとの指示を受けていた。雨模様で鬱陶しかったが、朝一番(といっても11時から)に予約しておいたので、よっこらしょ、と出かけた。
はたして、切開後の具合は? というと、眼ヤニはやや少なくなったような感じだけど、相変わらず左目はすぐ曇ってくる。でもまあ腫れからくる痛みはほとんどなくなった。今日、も一度切って、それでも残るようならさらに切って、どんどん取り除いて行くうちに良くなるだろうと、ポジティブに考えることにした。
というわけで、本日は二回目の切開である。時代小説風に言うと「二番斬り」だ。←違うか
二回目、ということで余裕がある。痛さの加減もわかっている。前回も訊いたが、切られながらさらにいろいろ訊いてみようと、診察室に入る。
瞼の状態を診たあとで、医者の説明があった。この霰粒腫という腫瘍は、瞼の内側にできる。わたしの場合は左右の眼とも多数できている。これは他人には移らないそうだが、瞼の中では移動したり別のところにできたりするらしい。その部分を切開して内容物を取り除く作業をしているのである。
ところが4ヶ月におよぶ、ヤブ...前眼科での誤治療により、治っては腫れ、腫れては潰れ、また別のところが腫れ、それが潰れ、をくり返していたもので、腫瘍自体がぐしゃぐしゃになっているうえ、硬化していたりして、掘りだす場所の特定が難しいらしい。
医者:「前回は左上瞼の中央と目尻のところと、右上瞼の目尻のを切開したんですが、左はまだ目頭のところに残ってますから、これを今日取りましょう。んでですね、右目も目頭のところにあるみたいなんですが、はっきり場所がわかりにくくなっていましてね」
偏屈:「はあ」
医者:「だからこれはすこし切ってみて、所在を確認することにしましょう」
偏屈:「よろしくお願いします」
※前回同様、フルリクライニングシートへ、で、まず左目を麻酔する
医者:「あ、今の、痛かったですか?」
全然、痛くない。
偏屈:「いや、痛くないです左は全然。しかし前回、右のときは痛かったんですが、どうしてでしょう?」
医者:「そうですか。いやね、右のほうは、場所がわかりにくくなっているので麻酔のポイントも決めにくいんですよ」
オイオイ、ちゃんと頼むで、麻酔ッ!
瞼はヨコには切れないのだと
プチ、プチ、プツ、プツ、......
前回は最初のことで、メスを使っているのかと思ったが、このプチ、プツ、はどうやら鋏のようである。観察する余裕も出てきた。ま、瞼のことなので見て確認することはできないが... よし、なんか訊いたろ。
偏屈:「あの、いま取っていただいてる腫瘍ですけど、脂肪のようなものなんですか?」
医者:「いや、脂肪ではありませんね~ プチ、プツ、」
偏屈:「いろいろ違う場所にできるということは、アテロームみたいなもの?」
医者:「アテロームとは違います。 プチ、プツ、」
偏屈:「......」
医者:「う~ん、そうですね、強いて言えば、痰、に近いかな。 プチ、プツ、」
偏屈:「え、痰 ですか!!」
なんだ、わたしは瞼の裏に、痰を溜め込んでいるわけか、情けないのう。
偏屈:「カー、ペッ!とできない痰ですか、汚いなあ」
医者:「だからこうして...取ってるワケでして、はい次、右目ね」
いかん、右は痛かったんだ、と身構えた。
プチ、プチ、プツ、プツ、......
医者:「う~ん、右のほうは場所がはっきりしないなあ~、こうやってタテに切って探すしかないんですよ、瞼はヨコに切れないもんでね~」
ヨコに切る!、なるほど横に切れば一刀で右から左まで切開できてしまうが、それでは二重瞼になってしまうではないか! しかし、わたしは横切りと聞いて、即、サルバドール・ダリ制作の映画「アンダルシアの犬」の、眼球を剃刀で横に引き切るシーンを思いだしてしまった。う~、気分悪い。
医者:「こうやってタテに切り目が入ると、そこから目薬が染み込んで効くようになりますから、全部取り出せなくとも治療はできるんですよ。 プチ、プツ、」
わたしの両瞼の内側は、文字通り「膾斬り」になっているワケである。両瞼の裏側に限って言えば、満身創痍状態なのである。ゴルゴ13がベッドインするとき、娼婦はその体中の傷を見てオドロイたり喜んだりするのだが、両瞼をめくって無数の傷を見せても......喜ばんわなあ、娼婦。
両瞼裏を膾斬りにされたわたしは、本日の治療を終えた。
次は5日後の通院となった。待合室で鏡を見てみたら、瞼裏側の肉が少しせり出してきて、奥二重のような趣になってきている。蒙古民族の末裔の証、一重瞼よ、どうなってゆくのか!!
偏屈には、一重瞼がお似合いだ。第三回 につづく(2002-06-20 掲載記事を復刻)