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ヤド六はまだ寝とります。潜ったのが10月16日だから今日で39日。いつものペースならそろそろお出ましの頃合いなんだけど、まだ砂はウンともスンとも動きません。昨日急に冷えたから出るのをためらっているのか、それともついに強運が尽きたか...ま、ご本人の赴くままにどうぞ。
仕方ないんで、今回と次回はオカヤドカリの寿命についての妄想を。あたしはまったくもって勉強不足で、科学的な目で観察しているわけじゃないから、「妄想」としときます。勝手な思いつきを並べて無責任に書くわけですから、アタマから信じ込んで人に話さないよ〜に。ハジかきますよ。
ヤド六の長生きの理由についてや、オカヤドカリの寿命について思ったことは、いままでにも本編に何回か書きました。たとえば「第40話:長生きの秘訣」とかに。しかしこの記事書いたの、もう2年以上前になるんですなあ。ヤド六も今よりずいぶん幼げな顔をしてます。ま、それは置いといて。
専門知識はないものの、生き物好きなのは変わりないんで、それからもたくさんの本を読みました。生物多様性なんかに関する新書とかですけど。読みながら、生物の寿命や生き様の話が出てくるたびに、ウチで飼っている金魚やヤドカリのことに重ねて思いを馳せてしまうんですよ。つまり妄想です。全然違う種の生き物の話を読んでるんですからね。
それで、どんな妄想かと言うと...まず、生き物は自分の遺伝子を次に残すために生きているんだということから。オカヤドカリが臆病なのも、砂に潜って慎重に脱皮するのも、大潮を敏感に察知するのも、それらはすべて繁殖のために備わっているものだと思って間違いないでしょう。となるとオカヤドカリが20年以 上(たぶん)も生きるというのは、一回に大量の幼生を海に放しても、その生存率がうんと低くて、そのことがあらかじめ遺伝子にインプットされていると考えてもいいんではないでしょうか。だから何回も何回もしつこめに放幼できるように長寿が用意されているのではないかと思うのであります。そのあたりは、みー ばい亭さんの繁殖ドキュメントを拝見しても頷けます。海に入ったり上陸したりしなきゃならないぶん、他の海棲生物より成体になるまでのイベント数が多くて不利な生き様を選んでいるように感じますね。まあ首尾よく貝殻を背負うとこまで来りゃ「ぼうぎょ」は強力なんですが。
生物の寿命は、とりあえず子孫を残せばその一個体の命は終わってかまわない、という感じになってるのが普通です。人間だけは別なんで全くタチの悪い生物なんですが...だから一年スパンの昆虫や二年程度で息絶えるげっ歯類なんかは、キッチリたくさんの子を残して早めに寿命を終えてしまいますけど、そういう小さな生き物から大 きな体の動物まで、生物の種や大小を問わず、おおむね生涯に打つ心臓の総心拍数は似たようなもんなんだそうです。また自分で体温を調節できない生物たちは体が高温にさらされている時間が長いほど早く生命力を消費してしまうようです。
だから生き物が長生きするためには、のんびりゆっくり心臓 を節約して動かし、頭もぼんやりさせといてなるだけアフォでいたほうが良いんだそうですな。冬眠して長生きするカメなんかその典型だそうです。一年や半年 で繁殖を終えて死んでしまう虫なんかは、ド早く心臓を動かして必死で飛び回り交尾や産卵を終えて死ぬ太く短い一生を送っているんだそうです。まあ天才の夭折に似てますな。いや長生きの人が能無しとは言いませんよ。でもストレスが健康に大きくかかわるというのは、このあたりとつながってるのかもしれません。
オカヤドカリにしたって、毎年放幼して子を残してる個体であれば、たぶん「もう何時死んでもいいや」という体(てい)になってることでしょう。それに産卵するたびに体内のパワーや栄養分は多く失われていることでしょうから、上記の例に嵌めれば、生命力も多く消費していることでしょうし、繁殖行動のたびに動物性タンパク質もたくさん補給し消費して来たことでしょう。こりゃ疲れますなやっぱり。
しかしてヤド六はといえば、もはや生後13年くらい生きているメスでありながら、いまだ一度も交尾や産卵をしたことがありません。ということは、生物個体としての義務を果たしていないわけですから、「まだおいそれとクタバルわけにはいかん!」のであります。そして来たるべき日のために、体力を温存し、深く物事を考えず、脱皮潜りも長湯治してパワーセーブしながらのんびりと生きるようなスイッチに切り替わっているのではないか。だからお肉はあんまり食べる必要がない。今むやみに内臓を酷使しエネルギーを燃やしてちゃイカン、てなことになってて、ガジュマルや水草ばかり喰ってるのではないかと思うんです。またアフォなところもしかりで、脳みそ使ってる場合じゃないんです。
ヤド六は、大命題である自分の遺伝子を残すため に、今の境遇でできる最善のエコな生き方をしているのではないかと思うわけなのであります。それがヤド六を長生きさせているのではないかな、と。妄想ですけどね、妄想。あと、もう一つ長寿の理由として、ヤド六がずっと暮らしているデスクボーイ水槽の環境についても思い当たることがあるんですけど、長くなるんでその話は次回にしましょう。それまでに出てくるかなあヤド六。もうしばらくゆっくり潜ってていいよ。
本編:オカヤドカリの飼育
ヤド六はまだ寝とります。潜ったのが10月16日だから今日で39日。いつものペースならそろそろお出ましの頃合いなんだけど、まだ砂はウンともスンとも動きません。昨日急に冷えたから出るのをためらっているのか、それともついに強運が尽きたか...ま、ご本人の赴くままにどうぞ。
ヤド六姐さん、もうストック写真あんまり残ってへんでー(09.09.12撮)
ヤド六の長生きの理由についてや、オカヤドカリの寿命について思ったことは、いままでにも本編に何回か書きました。たとえば「第40話:長生きの秘訣」とかに。しかしこの記事書いたの、もう2年以上前になるんですなあ。ヤド六も今よりずいぶん幼げな顔をしてます。ま、それは置いといて。
専門知識はないものの、生き物好きなのは変わりないんで、それからもたくさんの本を読みました。生物多様性なんかに関する新書とかですけど。読みながら、生物の寿命や生き様の話が出てくるたびに、ウチで飼っている金魚やヤドカリのことに重ねて思いを馳せてしまうんですよ。つまり妄想です。全然違う種の生き物の話を読んでるんですからね。
それで、どんな妄想かと言うと...まず、生き物は自分の遺伝子を次に残すために生きているんだということから。オカヤドカリが臆病なのも、砂に潜って慎重に脱皮するのも、大潮を敏感に察知するのも、それらはすべて繁殖のために備わっているものだと思って間違いないでしょう。となるとオカヤドカリが20年以 上(たぶん)も生きるというのは、一回に大量の幼生を海に放しても、その生存率がうんと低くて、そのことがあらかじめ遺伝子にインプットされていると考えてもいいんではないでしょうか。だから何回も何回もしつこめに放幼できるように長寿が用意されているのではないかと思うのであります。そのあたりは、みー ばい亭さんの繁殖ドキュメントを拝見しても頷けます。海に入ったり上陸したりしなきゃならないぶん、他の海棲生物より成体になるまでのイベント数が多くて不利な生き様を選んでいるように感じますね。まあ首尾よく貝殻を背負うとこまで来りゃ「ぼうぎょ」は強力なんですが。
生物の寿命は、とりあえず子孫を残せばその一個体の命は終わってかまわない、という感じになってるのが普通です。人間だけは別なんで全くタチの悪い生物なんですが...だから一年スパンの昆虫や二年程度で息絶えるげっ歯類なんかは、キッチリたくさんの子を残して早めに寿命を終えてしまいますけど、そういう小さな生き物から大 きな体の動物まで、生物の種や大小を問わず、おおむね生涯に打つ心臓の総心拍数は似たようなもんなんだそうです。また自分で体温を調節できない生物たちは体が高温にさらされている時間が長いほど早く生命力を消費してしまうようです。
だから生き物が長生きするためには、のんびりゆっくり心臓 を節約して動かし、頭もぼんやりさせといてなるだけアフォでいたほうが良いんだそうですな。冬眠して長生きするカメなんかその典型だそうです。一年や半年 で繁殖を終えて死んでしまう虫なんかは、ド早く心臓を動かして必死で飛び回り交尾や産卵を終えて死ぬ太く短い一生を送っているんだそうです。まあ天才の夭折に似てますな。いや長生きの人が能無しとは言いませんよ。でもストレスが健康に大きくかかわるというのは、このあたりとつながってるのかもしれません。
オカヤドカリにしたって、毎年放幼して子を残してる個体であれば、たぶん「もう何時死んでもいいや」という体(てい)になってることでしょう。それに産卵するたびに体内のパワーや栄養分は多く失われていることでしょうから、上記の例に嵌めれば、生命力も多く消費していることでしょうし、繁殖行動のたびに動物性タンパク質もたくさん補給し消費して来たことでしょう。こりゃ疲れますなやっぱり。
ポップコーンを転がすのはいいけど、水場に落とすのは堪忍してや(09.09.12撮)
ヤド六は、大命題である自分の遺伝子を残すため に、今の境遇でできる最善のエコな生き方をしているのではないかと思うわけなのであります。それがヤド六を長生きさせているのではないかな、と。妄想ですけどね、妄想。あと、もう一つ長寿の理由として、ヤド六がずっと暮らしているデスクボーイ水槽の環境についても思い当たることがあるんですけど、長くなるんでその話は次回にしましょう。それまでに出てくるかなあヤド六。もうしばらくゆっくり潜ってていいよ。
本編:オカヤドカリの飼育