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妄想の続きおば。ヤド六のオネンネは継続中です。本日で潜ってから45日が経過しました。まあ好きにさせておきましょう。さて、オカヤドカリの寿命についての「妄想」の後半であります。今回は飼育環境のことについて。いわゆるオカヤドカリ水槽のレイアウトのことを書くことにします。
当欄オカヤド記事本編を順に見てゆくと分かるんですが、ヤド六姐さんは、やってきた1999年の初夏から現在まで、ずっと同じデスクボーイ水槽で暮らしてき ました。初期に半年ほど金魚用の縦型オールインワン水槽に引越したり(1〜4話)、居候ヤドカリさんの越冬来宅で二世帯住宅化したり(17〜19話)、レ イアウト変更期間に仮設ヤド舎に仮住まいしたり(33話)しましたけれど、33話〜36話あたりのレイアウト試行錯誤期間を経てからは、レイアウトはロフ トに入れる砂の種類以外は全く変えていません。
流木の位置までずっと同じのまんまなんですが、長く観察していると、どうやらこの「不変」 が良いように感じられてきたのです。その間、ヤド六も成長してどんどん大きくなって来たので、断面の小さなデスクボーイでは流木に貝殻がつっかえたりして最近はますます手狭なんですが、金魚用の60cm水槽が空いているにもかかわらず、本ヤド舎には採用せずにヤド六の時々の遊び場にしていたのも、このレイアウト不変のメリットに気づきはじめていたからなんです。
デスクボーイ水槽がオカヤドカリの一匹飼いの「理にかなっている」というのは以前に何度か書きました。かいつまんでいうと、小さくて軽いのでひょいと抱えられて丸洗いメンテが楽ちん。空間が狭いので冬の温度の維持管理がしやすい。水槽が左右に長いので場所によって温湿環境に変化がつき、そこそこ運動もできる。奥行きがないのでヤドカリ個体の状態を常に観察しやすい。てなところです。でもこれはみんな飼育者目線の「良さ」なんですね。そこで今回の妄想はヤド六目線のデスクボーイヤド舎の住み心地です。
とはいえ、あたしはヤド六じゃないんで勝手に妄想するわけなんですけどね。まず、ここ数年のヤド六は脱走しようとしなくなりましたんです。飼いはじめの頃は 「ヤド研」直伝のヤドカリ返しを設置しても、ちょいちょい破られ、深夜に耳を澄ましたり、カーテンのうえを探しまわったり、よくしたものですが、それも今や懐かしい想い出です。こちらのセキュリティは断然ルーズになっているのに脱走しませんねえ。もちろん天井を歩き回ったり、ガラスの隙間をこじあけようとしたりは、大潮の日とかにやってますけど。
こちらがうっかりフタをするのを忘れて寝てしまい、ヤド六が隙間から水槽の外に出てしまっても、朝見に行くとフタの上に登ってその場でぼんやりしています。いくらでも逃げられるチャンスなのに逃げません。これ、水槽外の世界が不安なんだと思うんですよ。なにせもうベテランですからねヤド六は。海水風呂に入ったり、ベランダで遊んだりさせるとその時はバタバタするんですけど、デスクボーイに帰すと、すぐに落ち着きを取り戻して触角の手入れをしたりしてますから、ヤド六は11年も暮らしているこのヤド舎のレイアウトに安心安全の認識を持っているのだと思わずにいられないのです。そう言うわけなんで、狭くともまあすこやかに暮らせているんでしょうな。
また、永らくレイアウト不変にしているせいか、水槽内の位置関係を憶えて暮らしているような動きをします。たとえば脱皮潜りからでてくると、餌場の皿に直行します(カラでも)。海水浴から帰ってしばらくすると水場へ直行、真水を掬ってます。隠れたいときや無防備で眠りたい時は餌場の奥の流木の陰へ。夏の暑い日に涼む流木の上の場所もおおむね決めているようです。こういうふうにどっしりした生活をされてしまうと、もうおいそれとレイアウトの変更も水槽の更新もできません(笑)。
ちょっと前に旭山動物園名誉園長の小菅正夫さんが話してたのを聴いたんですが、苦心してサバンナを再現した広い新運動場にゾウを放っても、象はゾウ舎から一歩も出ようとしないそうです。いくら追いやろうとしても頑として動かないんだそうで、素晴らしい環境を用意しても、 最初はやっぱり警戒して脅え、ストレスが生じるんでしょうね。あんなデカイどん柄してるのにねえ。またアザラシは陸上ではたいへん警戒心が強く、決して人に心を許さない動物なんだそうですが、一緒にプールに入るとあちらから馴れ馴れしく近づいてくるらしいです。水中なら自分が勝つんで安全だというのを知ってるから心を許し人を怖れないんだとおっしゃってました。ほお、なるほどな、と。
ここで大形哺乳動物とオカヤドカリを一緒くたにしてしま うのが妄想の妄想たる所以です。陰性な生き物のオカヤドカリにとっては、自分がいま安全な場所にいるという認識、これがすこやかに生きる重要なポイントなんだと思うわけなんです。数年レイアウト不変のデスクボーイ舎が、ヤド六のストレスを少なくして、安全で気儘な毎日を提供しているのであれば、案外そこが長寿のキモになってるのかな、などと思ったりしてるわけなんでありますよ。
本編:オカヤドカリの飼育もくじ
妄想の続きおば。ヤド六のオネンネは継続中です。本日で潜ってから45日が経過しました。まあ好きにさせておきましょう。さて、オカヤドカリの寿命についての「妄想」の後半であります。今回は飼育環境のことについて。いわゆるオカヤドカリ水槽のレイアウトのことを書くことにします。
ヤド六姐、寛いでますね〜表情でなんとなく分かります。新しいガジュマルの葉が入ると
なおさらですな。でも喰いまくるので葉っぱが3日と持たんのが難点。(09.9.12撮)
なおさらですな。でも喰いまくるので葉っぱが3日と持たんのが難点。(09.9.12撮)
当欄オカヤド記事本編を順に見てゆくと分かるんですが、ヤド六姐さんは、やってきた1999年の初夏から現在まで、ずっと同じデスクボーイ水槽で暮らしてき ました。初期に半年ほど金魚用の縦型オールインワン水槽に引越したり(1〜4話)、居候ヤドカリさんの越冬来宅で二世帯住宅化したり(17〜19話)、レ イアウト変更期間に仮設ヤド舎に仮住まいしたり(33話)しましたけれど、33話〜36話あたりのレイアウト試行錯誤期間を経てからは、レイアウトはロフ トに入れる砂の種類以外は全く変えていません。
流木の位置までずっと同じのまんまなんですが、長く観察していると、どうやらこの「不変」 が良いように感じられてきたのです。その間、ヤド六も成長してどんどん大きくなって来たので、断面の小さなデスクボーイでは流木に貝殻がつっかえたりして最近はますます手狭なんですが、金魚用の60cm水槽が空いているにもかかわらず、本ヤド舎には採用せずにヤド六の時々の遊び場にしていたのも、このレイアウト不変のメリットに気づきはじめていたからなんです。
デスクボーイ水槽がオカヤドカリの一匹飼いの「理にかなっている」というのは以前に何度か書きました。かいつまんでいうと、小さくて軽いのでひょいと抱えられて丸洗いメンテが楽ちん。空間が狭いので冬の温度の維持管理がしやすい。水槽が左右に長いので場所によって温湿環境に変化がつき、そこそこ運動もできる。奥行きがないのでヤドカリ個体の状態を常に観察しやすい。てなところです。でもこれはみんな飼育者目線の「良さ」なんですね。そこで今回の妄想はヤド六目線のデスクボーイヤド舎の住み心地です。
もう数年レイアウト不変のデスクボーイヤド舎。
水槽のレイアウト不変がオカヤドカリの寿命をのばす?(09.9.12撮)
水槽のレイアウト不変がオカヤドカリの寿命をのばす?(09.9.12撮)
とはいえ、あたしはヤド六じゃないんで勝手に妄想するわけなんですけどね。まず、ここ数年のヤド六は脱走しようとしなくなりましたんです。飼いはじめの頃は 「ヤド研」直伝のヤドカリ返しを設置しても、ちょいちょい破られ、深夜に耳を澄ましたり、カーテンのうえを探しまわったり、よくしたものですが、それも今や懐かしい想い出です。こちらのセキュリティは断然ルーズになっているのに脱走しませんねえ。もちろん天井を歩き回ったり、ガラスの隙間をこじあけようとしたりは、大潮の日とかにやってますけど。
こちらがうっかりフタをするのを忘れて寝てしまい、ヤド六が隙間から水槽の外に出てしまっても、朝見に行くとフタの上に登ってその場でぼんやりしています。いくらでも逃げられるチャンスなのに逃げません。これ、水槽外の世界が不安なんだと思うんですよ。なにせもうベテランですからねヤド六は。海水風呂に入ったり、ベランダで遊んだりさせるとその時はバタバタするんですけど、デスクボーイに帰すと、すぐに落ち着きを取り戻して触角の手入れをしたりしてますから、ヤド六は11年も暮らしているこのヤド舎のレイアウトに安心安全の認識を持っているのだと思わずにいられないのです。そう言うわけなんで、狭くともまあすこやかに暮らせているんでしょうな。
ちょっと前に旭山動物園名誉園長の小菅正夫さんが話してたのを聴いたんですが、苦心してサバンナを再現した広い新運動場にゾウを放っても、象はゾウ舎から一歩も出ようとしないそうです。いくら追いやろうとしても頑として動かないんだそうで、素晴らしい環境を用意しても、 最初はやっぱり警戒して脅え、ストレスが生じるんでしょうね。あんなデカイどん柄してるのにねえ。またアザラシは陸上ではたいへん警戒心が強く、決して人に心を許さない動物なんだそうですが、一緒にプールに入るとあちらから馴れ馴れしく近づいてくるらしいです。水中なら自分が勝つんで安全だというのを知ってるから心を許し人を怖れないんだとおっしゃってました。ほお、なるほどな、と。
ここで大形哺乳動物とオカヤドカリを一緒くたにしてしま うのが妄想の妄想たる所以です。陰性な生き物のオカヤドカリにとっては、自分がいま安全な場所にいるという認識、これがすこやかに生きる重要なポイントなんだと思うわけなんです。数年レイアウト不変のデスクボーイ舎が、ヤド六のストレスを少なくして、安全で気儘な毎日を提供しているのであれば、案外そこが長寿のキモになってるのかな、などと思ったりしてるわけなんでありますよ。
本編:オカヤドカリの飼育もくじ